10月20日(日)、菊花賞・GⅠが京都競馬場で行われる。
菊花賞とは、皐月賞・日本ダービーとあわせた“クラシック3冠”の最終戦。特徴は3000mという長距離戦で、スピードだけでなくスタミナも必要とされるため、「最も強い馬が勝つレース」と表現される。
ダノンデサイル クラシック2冠目達成へ

その菊花賞、まず注目はダノンデサイル(牡3)だ。クラシック2冠目にあたる5月の日本ダービー・GⅠで皐月賞馬ジャスティンミラノ(牡3)を抑え、見事に世代の頂点に立った。
その日本ダービーからトライアルを挟まず直行で菊花賞に挑むことになるが、3冠馬を除き日本ダービー&菊花賞の2冠制覇となれば、1973年タケホープ以来51年ぶりの快挙となる。

横山典弘騎手:
――― ひと夏越えたダノンデサイルの印象
放牧から帰ってきたとき、遠目から見たらスッキリした格好でした。重いというより、大きくなったような感じで素晴らしい体になっていました。
―――ダービーよりも距離が伸びることについて
何も不安はないです。折り合いの方も、何度も乗せてもらっているのでコンタクトは取れると思っています。とても楽しみです。
――― ダノンデサイルの良さ
能力ですかね。今回も休み明けで速く感じなくても素晴らしい時計が出るあたり、絶対値が違うと思います。

安田翔伍調教師:
――― ダービーから菊花賞直行への経緯
ダービーを終えた時点で、今年の夏は暑くなるだろうと予測できました。暑い中、1走(トライアルに参戦)することが、今後の競走生活において負担になる恐れがありました。菊花賞を直接目標にしても、納得いく準備と牧場との連携ができる確信がありました。
――― 調整過程について
菊花賞だから特別どういう状況に仕上げようというよりも、この夏を越えて変化したダノンデサイルの良い雰囲気だけを求めて、トレーニングのスケジュールを組んできました。馬も気負いすぎず、とぼけすぎない状況を求める中で立てた計画ですね。
――― ダノンデサイルの魅力
将来性ですかね。今も変化を起こしながら調教でも感触を与えてくれている。その反面、直してほしい部分もあり成長の余地を残してくれている部分が魅力だと思います。
トライアル組がレースのカギ
ダノンデサイルはトライアルを挟まずに菊花賞へと臨むが、気になるデータもある。
菊花賞過去10年の結果をみると、3着以内に入った全30頭中、前走でトライアルレースを経験した馬が21頭となっているのだ。歴史を紐解くと、決して一筋縄ではいかないかもしれない。
それでは、鍵を握るかもしれないトライアル組から注目馬を挙げてみたい。
アーバンシックGⅠ初タイトル獲得へ

まずは、トライアルに当たる9月セントライト記念・GⅡを制し、菊花賞の切符をつかんだアーバンシック(牡3)。
皐月賞4着と、GⅠでも戦えることは既に証明済み。更に心強いのが、秋華賞を制したC.ルメール騎手(45)騎乗という点。アーバンシックと共に、2週連続GⅠ制覇&菊花賞連覇となるか。

C.ルメール騎手:
――― 初挑戦の京都3000m
この間乗った時、ゴール後でもまだ走れそうで距離が伸びても全く問題ないと感じました。3000mでも最後に良い脚を使えると思います。
――― アーバンシックの強み
中山で良い瞬発力を使ってくれました。体が大きい分、力がある。今年(2024年)GⅠ、GⅡのトップレベルのレースでたくさん経験を積んできました。その経験が今回も大事になってくると思います。
コスモキュランダ 経験値を結果へつなぐ

続いては、同じくトライアルの9月セントライト記念・GⅡで2着に入ったコスモキュランダ(牡3)。
4月皐月賞では2着に入っており、こちらも実力は本物だ。そして、このコスモキュランダは、メンバー最多キャリアとなる10戦の経験値を持って大舞台へと挑む。もし菊花賞を制覇すると、2009年スリーロールス以来15年ぶりとなる「10戦以上のキャリアでの制覇」となる。
春クラシックの雪辱を秋で晴らす メイショウタバル

最後は、皐月賞17着&ダービー出走取消という状況から、トライアルの9月神戸新聞杯・GⅡで勝利し、菊花賞の切符をつかんだメイショウタバル(牡3)。
最終戦で、春クラシックの雪辱を果たせるか。また浜中俊騎手(35)は、2009年菊花賞でJRA・GⅠ初勝利を挙げている。15年の時を経て2度目の制覇を目指す。
ベテランジョッキーが揃う菊花賞

今回の菊花賞には、柴田善臣騎手(58)、横山典弘騎手(56)、武豊騎手(55)、A.シュタルケ騎手(50)、岩田康誠騎手(50)という5人の50代ジョッキーが参戦。
(A.シュタルケ騎手は9月21日(土)から11月8日(金)までの短期騎手免許取得で来日中)
菊花賞における騎手最年長優勝記録は、2019年の武豊騎手で50歳7カ月6日。この5人の中の誰かが勝てばさらに記録が更新され、新たな歴史が誕生することになる。

なお、この5人の中の1人である岩田康誠騎手(50)と共に2004年菊花賞でGⅠ初制覇をしたデルタブルースが10月8日に23歳でこの世を去った。岩田康誠騎手はデルタブルースの思いも胸に20年ぶり菊花賞制覇に挑む。
そして10月17日(木)、注目の枠順が確定。
ダービー馬ダノンデサイルは2枠4番、2週連続GⅠを狙うルメール騎手とアーバンシックは7枠13番、神戸新聞杯を制したメイショウタバルは5枠10番、コスモキュランダは5枠9番から出走となる。
第85回 菊花賞(GI)京都競馬場・芝3000m
1枠1番 ピースワンデュック(牡3・柴田善臣)
1枠2番 ノーブルスカイ(牡3・池添謙一)
2枠3番 アスクカムオンモア(牡3・北村友一)
2枠4番 ダノンデサイル(牡3・横山典弘)
3枠5番 ハヤテノフクノスケ(牡3・岩田望来)
3枠6番 ミスタージーティー(牡3・坂井瑠星)
4枠7番 ビザンチンドリーム(牡3・A.シュタルケ)
4枠8番 ウエストナウ(牡3・西村淳也)
5枠9番 コスモキュランダ(牡3・M.デムーロ)
5枠10番 メイショウタバル(牡3・浜中俊)
6枠11番 ショウナンラプンタ(牡3・鮫島克駿)
6枠12番 シュバルツクーゲル(牡3・松山弘平)
7枠13番 アーバンシック(牡3・C.ルメール)
7枠14番 メリオーレム(牡3・藤岡佑介)
7枠15番 エコロヴァルツ(牡3・岩田康誠)
8枠16番 ヘデントール(牡3・戸崎圭太)
8枠17番 アドマイヤテラ(牡3・武豊)
8枠18番 アレグロブリランテ(牡3・横山和生)
果たしてクラシック最終戦を制するのは? 菊花賞は、10月20日(日)15時40分に発走する。
みんなのKEIBA 菊花賞・GⅠ
10月20日(日)15時からフジテレビで生放送
https://www.fujitv.co.jp/sports/keiba/index.html