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YKK APは、ビル用の窓サッシやカーテンウォール(以下CW)を製造しており、世界各地のシンボリックな超高層建築物にも多く採用いただいています。日本では、「東京スカイツリーⓇ」など高度な技術とデザイン性が求められる建築物にも採用されているほか、シンガポールの中心地のオフィス街に建つ国内2位の高さ280mを誇る地上51階の複合ビル「CapitaSpring」、台北市の中心地に建ち272mの高さを誇る「臺北南山廣場(台北南山広場)」など、世界各地の建築物に採用されています。

今回は、YKK APのCW事業への挑戦の歴史と、さらなる事業成長を目指した海外会社との連携の取り組みについて紹介します。

カスタム・オーダーメイドCW事業への参入と世界での挑戦

◆カーテンウォール(CW)とは

CWとは、高層ビルなどで用いられる、建物の荷重を直接負担しないカーテンのような外壁のことです。一般的に高層建築物は、高さが高いほど全体の重量が重くなり、柱も大きくなっていくため床面積が狭くなります。これを避けるために、コンクリートの壁より重量が軽く、柱などの構造体を軽量化できるアルミやガラスなどの材料を用いたCWが多く採用されています。これにより、室内スペースの確保や空間設計における意匠性を向上させることもできるのです。


◆高層ビルのCW事業への参入

1960年後半以降、国内外で高層・超高層ビルの建設が始まりました。

YKK APが国内で初めて高層ビルの外壁にチャレンジしたのは、1977年に完成した「阪急グランドビル」です。当時、レディメイド商品(既製品)である集合住宅向けのサッシに関しては多くの実績を持ち合わせていましたが、物件ごとのカスタム・オーダーメイド対応が中心になる高層ビルのCWは経験が無く、未経験の分野に挑むことになりました。


国内では「施工実績が無い」としてCWメーカーとして無名だったYKK APが、どのようにして世界の高層建築物に採用されるようになったか、グローバル展開による強みを活かし、今後どのような挑戦を考えているか、グローバルCW本部長である上席執行役員 北野 和浩さんに聞きました。


◆海外での高層建築物への挑戦

(北野)この事業に参入した当時、実績や施工例を求める国内の建築業界では、なかなか参入のチャンスがめぐってきませんでした。そこで、経験・実績を積むための最初の舞台となったのはシンガポールです。1976年、海外で初めてアルミ建材(主にビル用サッシ)の生産・販売を目的に、海外初の事業会社であるYKKインダストリーズ・シンガポール社(現 YKK AP FACADEシンガポール社)を設立。シンガポールの象徴的な建築物で実績を積むと同時に、1990年代には北京、香港、台湾で当時一番高い建物のCWを担当するなど、海外で高層ビルのCWの設計・施工に挑戦し、着実に実績を積み重ねていきました。


これらの実績により日本でも物件を受注できるようになっていき、現在では、カスタム・オーダーメイド対応のCW事業として日本・アメリカ・中国・タイの4拠点で製造、6カ国/地域の事業拠点で販売しています。CWに求められる性能は、世界一律ではありません。たとえば、地震、ハリケーンが多い地域では強度が、寒冷地では断熱性能が求められるなど、国や地域で異なる条件に対応する技術や性能が必要になります。YKK APは、その土地の気候や文化に合わせたCWを、各地の商流に合わせて供給しています。


YKK APのグローバルCW事業展開


◆世界各地でのチャレンジが強みに

(北野)世界各地での経験・実績の積み重ねによるYKK APのCW事業の強みは、カスタム・オーダーメイド注文に対する提案力、お客様要望への設計対応力、それらを実現するための技術力、製造力に裏付けられた品質、世界4箇所の製造拠点によるフレキシブルな生産体制、プロジェクトを納期通りに進める工程管理力、実績を証明するための大型物件実績などが挙げられます。また、CW業界は世界各国からモノを調達するため、各地に拠点があるYKK APは調達能力・供給対応力の高さだけでなく、カントリーリスク対応、BCP・BCMなどリスクの観点でもフレキシブルに対応可能な点も強みとなっています。


グローバル展開の強みを活かしたさらなる挑戦

国内外の事業会社が連携し、この強みを活かしてさらなる相乗効果を出すために、2023年4月に「グローバルCW本部」を新設


(北野)超高層ビルなどの大型物件は工期が長くなるため、売上の山谷が大きく、安定経営をするのが難しいビジネスです。そこで、YKK APの強みである製販技一体で利益を出すビジネスモデルを世界に展開し、海外の事業会社を含め安定経営できる事業にすることが、本部設立のスタートでした。

新設した本部では、「世界の建築プロジェクトを通じて、都市空間づくりに貢献するという使命のもと、製・販・技でステークホルダーの想いを具現化し、世界No.1のCWサプライヤーを目指す」というビジョンを掲げました。このビジョンを実現するため、製造・販売・技術のノウハウをグローバルに水平展開し、グローバルなサプライチェーン体制構築と基盤整備を推進し、安定経営をしていきます。


設計者が足りないのも、この業界の世界共通の課題です。物件ごとにオーダーで対応するCW設計は、オーナーや設計者が求める外装を一から作るため性能・デザインが非常に難しいものになり、このような高度な設計ができる人が非常に少ないのが現状です。そこで、設計者不足への対応でもグローバル連携し、事業会社間で設計リソースを融通し合う事を考えています。

労働力不足の問題もあります。日本は少子高齢化の影響が大きいですが、労働人口が多い海外でも人の動きが激しいため、人材確保のためには企業ブランディングやエンゲージメントの向上も重要になります。これらの問題にもグローバルで対応していこうと思います。


また2023年12月には、タイのCWメーカーである「YHSインターナショナル社(YHSI)」およびその製造会社である「サイアムメタル社(SM)」が仲間に加わりました。CW設計・製造・販売・施工・においてタイ最大手の会社と一緒に、グローバルでの安定供給体制を構築するとともに、高い品質を追求し、アジア地域でのCW事業のさらなる拡大を進めます。



◆「Global Curtain Wall SUMMIT 2023」を開催

2023年12月1日、富山県黒部市のYKK50ビルにて「Global Curtain Wall SUMMIT 2023」を開催しました。9カ国/地域10社の CW事業に携わる事業会社の責任者および現地社員65名が一堂に会し、世界各国での課題や社会的要請にグローバルで連携しながら対応し、「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」というYKK APのパーパスを実現していくことを確認。各拠点の市場動向、各社の強み、課題などの共有、工程管理手法、グローバルサプライチェーンマネジメント、デジタル活用など共通する課題についての討議を行いました。

(北野)CWに携わる世界の事業会社が一堂に会すのは初めてで、ミッションを達成するために単独では解決できない事を、グローバルで連携して一緒に解決していくきっかけになりました。サミット後、事業会社同士の情報交換、現地視察などが活性化しており、今後のシナジー効果が楽しみです。非常に良い機会になったので、サミットは今後も継続して実施していきたいと考えています。

現在、米国には米国向けの、アジアにはアジア向けの商品やビジネスモデルがありますが、事業会社間で強み・弱みを共有・補填し合いながら、モノづくり、商品、設計のプラットホームを作り共通化することで、世界の建築プロジェクトに挑戦していきます。


デザイン・性能への要望に対応し、建築の価値向上を目指す

(北野)ビルを建てるのはオーナー、それをデザインするのは設計者で、我々は外装のサブコントラクター(サブコン)。オーナーや設計者の夢・想いを具現化するのが我々の仕事です。高度になっていくデザイン・性能への要望に対応し、その要望に応えられる外装サブコンでありたいと思っています。また、ゼネコンや設計者が外装サブコンを選ぶ基準は、やはり実績の有無です。カスタム・オーダーメイドCWで後発だったYKK APは、実績がない中で世界に出て行ったわけですが、その時の先人たちの苦労は非常に大きい。その苦労の上に得た経験・実績によって蓄積してきた製販技のノウハウを強みに更に実績を積み、選ばれ続ける会社でありたいと思います。


◆世界の建築プロジェクトを通じて、都市空間づくりに貢献する

(北野)我々は、世界一高い建築物を担当したいわけではありません。都市を印象付けるような建物、街に貢献できるビルの外装をやっていきたいです。地域のランドマークになるような建物は、地域の人の誇りになり、地域や人々を活性化させることもできると考えています。携わった人にしかYKK APが担当した建物かどうかは分からないのですが、「あのビルのCWはうちの会社が担当した」と言える建築物が世界にあるというのはCWメーカーの誇り。歴史に残り、人々に愛され、都市空間を鮮やかにするビル建築に世界中で携わっていくことが夢です。


YKK APはこれからも、高層建築のCWやオフィスビル・マンションなどの外装デザインで、美しく機能的な都市空間の創造に寄与するとともに、世界中の各国/地域に合わせたビジネスモデルによる事業展開で、各地の社会課題や市場ニーズに応じた高品質な商品を提供し、建築の価値向上に貢献していきます。




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