犯罪防止?壁が透明なトイレが登場

駅や公園などにある公衆トイレ。いろいろな場所に設置されていることから、誰もが一度は利用したことがあるのではないだろうか?

そのような中で今、Twitterに投稿された、ある公園のトイレが話題となっている。

なんじゃこの公衆トイレは!?工事中だった公園の新しいトイレはまさかの中が丸見え?と思ったら、鍵をかけると、一瞬で中が見えなくなる仕組み!これはすごい。

防犯効果目的ですかね。ここまでやるんですね、渋谷区。
誤作動で入ってる最中に透明になっちゃったりしないのか、心配になるw

大槻幸夫(@yukio)さんがコメントともに投稿した画像には、たしかに、便器などが見えるほど壁が透明なトイレが映っている。投稿には、Twitterユーザーからの「犯罪防止のためかな?」「入るの躊躇する」「時間制限あるのかな?」などのコメントが並び、25万以上のいいねが付いている。(8月6日現在)

このトイレ、使用前はトイレの中が丸見えだが、中に人が入ると透明だった壁が不透明になるという仕組みなのだそう。

使用前:透明の状態(はるのおがわコミュニティーパーク)。提供:大槻幸夫さん  
使用前:透明の状態(はるのおがわコミュニティーパーク)。提供:大槻幸夫さん  
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使用中:不透明の状態(はるのおがわコミュニティーパーク)。提供:大槻幸夫さん  
使用中:不透明の状態(はるのおがわコミュニティーパーク)。提供:大槻幸夫さん  

こんなトイレを見つけたら誰でも驚いてしまうだろう。まずは大槻幸夫さんに話を聞いた。

鍵を閉めると不透明になると知って驚き

ーーこのトイレを初めて見た時の感想を教えて

鍵を閉めると不透明になると知って驚きました。以前は普通の壁のトイレが設置されていた場所です。

しばらく工事中で壁で囲われていたのですが、囲いが取れた姿を見たときに中が丸見えの状態になっていて、これはいったいどういう事?と驚きました。まだ工事の途中なのかな?とも思いました。


ーー透明なトイレをどう思いますか?

Twitterでの反応を見ていると、女子トイレ内での待ち伏せ行為を防ぐ防犯目的と知り、とても良い事だなと思いました。

明るく光っているので周囲も明るくなるため、脇を歩いて通るだけでも安心です。

ただ、何かの不具合で見えてしまうということはないのかなという点はみなさん感じる不安のようで、こういった新しい製品(習慣)が定着するまでは、違和感が付き纏うのかなと思いました。

あと、直射日光に照らされているので、真夏の内部の暑さも気になります。

“透明トイレ”は日本財団のプロジェクト

とても興味深い仕組みだが実はこのトイレ、日本財団による、誰もが快適に使用できる公共トイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の一環。

大槻さんが投稿した時はまだ工事中で、8月5日に渋谷区内の恵比寿公園、代々木深町小公園、はるのおがわコミュニティーパークの3カ所に公衆トイレが設置されていたのだ。そのうち代々木とはるのおがわの2カ所が“透明トイレ”だという。

恵比寿公園のトイレ外観。トイレの起源となる縄文時代の川に直接用便する「川屋」をイメージしているという(提供:日本財団)
恵比寿公園のトイレ外観。トイレの起源となる縄文時代の川に直接用便する「川屋」をイメージしているという(提供:日本財団)

どのようなプロジェクトかも知りたいが、気になるのは、“透明トイレ”が使用中に不具合で透明に戻ってしまうことがあるかどうか。

これらの気になる疑問を、日本財団の担当者に聞いてみた。

「トイレの中が見えれば安心」

ーープロジェクトを実施する理由を教えて

トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴。しかし、多くの公共トイレが暗い、汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られている状態にあります。

日本財団では、渋谷区の協力を得て、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを区内17カ所に設置することにいたしました。

恵比寿公園のトイレ内観(提供:日本財団)
恵比寿公園のトイレ内観(提供:日本財団)

世界で活躍する16人のクリエイターに参画いただき、優れたデザイン・クリエイティブの力で、インクルーシブな社会のあり方を広く提案・発信することを目的としています。

加えて、従来に比べ清掃をはじめとしたトイレの維持管理を強化することで、訪れた人々に気持ちよく利用していただき、さらに利用者自身が次の人のためを思う「おもてなし」の心の醸成も目指していきます。

はるのおがわコミュニティーパーク(提供:日本財団)
はるのおがわコミュニティーパーク(提供:日本財団)

ーー壁が透明な理由は?

公共トイレに対して暗い、怖いというイメージをお持ちの方も多いと思います。トイレの中が見える状態であれば、安心して利用いただけるのではないでしょうか。


ーーこのトイレに込めた思いは?

デザインした建築家・坂茂さんはこのように語っています。
「公共のトイレ、特に公園にあるトイレは、入るとき2つの心配なことがあります。一つは中が綺麗(クリーン)かどうか、もうひとつは中に誰も隠れていないかどうか。
新しい技術で作られた鍵を締めると不透明になるガラスで外壁を作ることで、トイレに入る前に中が綺麗かどうか、誰もいないか確認でき、その2つの心配をチェックすることができます。そして夜には、美しい行灯のように公園を照らします。」

代々木深町小公園(提供:日本財団)
代々木深町小公園(提供:日本財団)

通電すると壁が透明になる仕組み

ーー災害時はどうなるの?

通電すると透明になる壁なので、停電時は不透明となります。ご利用中に停電になり、中が見えるということはございません。
 

代々木深町小公園のトイレ内観(提供:日本財団)
代々木深町小公園のトイレ内観(提供:日本財団)

ーー誤作動が起きることはある?

停電時には曇るようになっておりますので、故障発生時に利用していても外から見えることはございません。誤作動が起きないようにしっかり維持管理してまいります。


ーー不透明状態に時間の制限はある?

時間制限は設けておりません。多目的トイレ内で非常用ボタンが押された場合は外についているパトライトがアラートを出すようになっております。

代々木深町小公園のトイレ施錠前(提供:日本財団)
代々木深町小公園のトイレ施錠前(提供:日本財団)
代々木深町小公園のトイレ施錠後(提供:日本財団)
代々木深町小公園のトイレ施錠後(提供:日本財団)

近づいても外から見える心配はない

ーートイレ内で壁に近づくと外から見えたりする?

私共も実際に試しましたが、壁に近づいても外からは見えないようになっておりました。もちろん便器自体は壁から離れていますし、使用に支障はございません


ーー透明だと直射日光で暑くなったりしないの?

室温の検証は特別に行っておりませんが、外壁にUVカットフィルムを使用しており、換気扇によって空気の循環も常に行われているため、外気と同じ程度の室温かと思われます。


ーーネットで話題になっているけど、どう思う?

驚きました。せっかくご関心を持って下さった皆さまに、ぜひこのプロジェクトの目的や、意図を正しくお伝えできればと思っています。

代々木深町小公園のトイレ(提供:日本財団)
代々木深町小公園のトイレ(提供:日本財団)

なお、2021年の夏までに計17カ所全てのトイレを渋谷区内に設置していくという。今後どのような個性的な公衆トイレが姿を現すか、今から楽しみだ。
 

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。