西日本豪雨から6年…。
当時、大きな被害がでた東広島市河内町の沼田川にアユが育つ環境が”復活”しました。
バケツの中から一斉に泳ぎだすアユ…。
地域の様々な思いが込められました。
(2018年)
「茶色く濁った水が完全に街を覆っている状況です」
6年前の西日本豪雨で氾濫し広範囲に浸水被害をもたらした沼田川。
古くからアユ釣りで親しまれてきた川ですが、災害によって環境は大きく”一変”しました。
【沼田川漁業協同組合・後藤正則組合長】
「やっぱり寂しい感じがします」
川のすぐそばにある漁協は被災し、養殖場のアユが全滅。
川の中でも砂が堆積したことで産卵が行えない状況に陥り、この先”どれほど元に戻るのか”と心配されていました。
(2022年)
そして、おととし…。
子どもたちの手によって災害後、初めてアユが放流されました。
【提供:沼田川漁協】
豪雨で流出した護岸は新たに整備されています。
【後藤組合長】
Q:アユ放流が復興の第一歩?
「第一歩も二歩もです。河内町はアユ(が有名)ですので、早く川がきれいに復旧して元の川になってもっときれいな川にしたい」
アユのエサは「コケ」。
しかし、この時はまだ石に泥が付くほど汚れた川で、これが改善されないとアユが大きく育てない状況でした。
【野川アナ】(東広島市河内町・9日午前)
「東広島市を流れる沼田川です。西日本豪雨の後に作られた護岸もだいぶ馴染んできました。川岸に目を移しますと緑もだいぶ増えてきたなという印象を受けます」
【後藤組合長・野川アナ】
「(泥で)真っ黒だったが、最近は下が網泥がとれて綺麗なコケが付くようになった」
「ちょっとこのあたりを触ってみますね」
「ツルツルになっていいコケがついている」
「そうですね。ツルツルしていますね」
「以前はそれが全部下もザラザラだったんです」
Q:それが戻ってきた?
「戻ってきた。去年まではこのヨシが生えていなかったが、ここも(今年は)ヨシが復活してくれたからありがたいなと。ヨシが水を綺麗にしてくれるし、大雨で水が出たときにこのヨシの下で魚が休んでくれる」
その場所で今年は河内小学校の児童64人がアユを放流…。
地域の人の思いが込められたアユはかつての姿を取り戻しつつある川を泳ぎだしました。
【アユを放流した児童・野川アナ】
「いけいけGO!GO!」
「あ!元気に泳ぎ出していますね。澄んだ水ですから非常にアユたちの動きもよく見えます」
Q:綺麗になったと思う?
「綺麗になったと思う」
Q:どんな川になってほしい?
「アユがもっと返ってきてほしい」
「いま返ってくる数よりももっと返ってきてほしいな」
<スタジオ>
【野川アナ】
アユを送り出す子どもたちのキラキラとした笑顔が印象に残った。
沼田川漁協の後藤さんによるとアユというのは通常、1か月で15センチくらい2か月で25センチくらいになるということだが、西日本豪雨以降のアユはエサがないため20センチくらいまでしか成長していなかった。
しかし、去年の秋に31センチのアユが久しぶりに確認されるなど、アユが大きく育てる環境に戻ってきていると実感。今年は大いに期待している。
また、天然のアユの遡上も10匹中2匹くらい交じっているということで、組合長はこちらの現象から見ても、元の環境が戻っているといっていいんじゃないかと笑顔を見せていた。
沼田川の環境の回復を今後も注目して行きたいと思う。