今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。5月8日のテーマは岡山県と岡山市の間で意見が対立している都市公園事業の負担金についてです。担当は白井記者です。

(白井大輔記者)
この負担金問題、岡山市が、県から請求があった2023年度分については、いったん支払いましたが、今後の協議の結果によっては県を相手に訴訟を検討しているとして、抜本的な解決に至っていないのが現状です。

(岡山市 大森雅夫市長)
「当該負担金の納期限は本日(4月15日)になっており、納付しない場合、あすから延滞金が発生する。無用な市民負担の発生を防止するため、不本意ながら一旦払った上で協議を続ける」

4月15日、岡山市の臨時市議会で23年度の都市公園事業の負担金、4045万円を支出する補正予算案が可決されました。

岡山県と岡山市で意見が対立しているのは岡山市北区の県総合グラウンドの照明と火災報知器の更新費用の負担割合です。施設の維持には年間約5億1000万円かかりますが、その7割は部品の交換費用などで、県が負担しています。

問題となっているのは、大きな設備更新に必要な残りの3割の部分。条例では、半分を国、残りの半分を岡山県と岡山市が折半するとしています。

この条例が定められたのは1990年。なぜ、今になって意見が対立しているのか・・・

2022年12月に県と市が交わした合意文書の存在があります。

「2023年度以降の支払いは、県と市の協議の結論に基づき行う」

(岡山市 大森雅夫市長)
「結論が出ていない中、請求されることはいかがなものか」

(岡山県 伊原木隆太知事)
「合意を必要とするため、協議はするということで文書は交わした。そもそも条例通り支払うことになぜ交渉が必要なのか、そんなややこしいことはしないでほしいというのが率直な思い」

こうした中、岡山県は岡山市に請求書を送り、市は、支払い期限を過ぎると延滞金が発生するため、いったん支払った上で県に返還を求めていく方針に転換しました。

(岡山市 大森雅夫市長)
「結論が得られていないにも関わらず、県が請求してきたことは非常に残念。我々としては、延滞金を発生させずにこれからの交渉、必要ならば訴訟という形を取らざるを得ない」

県有施設の地元市町村の負担割合をみてみると倉敷市は岡山市と同じ一律50%、それ以外は一律15%~30%を負担することになっています。岡山市は、他の県と比べても負担割合が大きいとして県に見直しを求めています。県は、県総合グラウンドの利用者は70%~80%が岡山市民で市の負担割合は大きくないとしています。

行政の専門家は、事業内容によって、負担割合を柔軟に変えるべきと指摘します。

(岡山大学学術研究院 中村良平特命教授)
「条例は見直すべき。(県は)市に対して負担を求めているのであれば協議して、一応基準を決めて上下の幅を持たせる、事業ごとにある程度弾力性を持った条例、負担割合を決めることが必要だと思う。悪影響を受けるのは、市民・県民なので早めに決着してほしい」

(中塚美緒キャスター)
大森市長が合意文書の記載内容の協議を求めている伊原木知事とのトップ会談が実現していないということで、かなり根深い問題ですね。

(白井大輔記者)
はい、岡山県と岡山市で対立している問題が他にもあります。市が整備を検討している新アリーナです。市は、県に整備費用の一部の負担を求めていますが県は、財政支援する必要性を感じていないなどとして応じていません。今回の負担金を巡り、岡山市が訴訟を起こした場合、膨大な時間と労力がかかる上に、費用は税金で賄われることになります。

(岸下恵介キャスター)
中村特命教授も話をしていましたが、誰が影響を受けるのかというと、県民・市民なんですよね。

(白井大輔記者)
はい、こうした状況が長引くことで県と市に軋轢が生まれ、協力が必要な時に支障が出る恐れもあります。互いに納得のいく協議を続けていくことが必要と強く感じます。

以上、急上昇ニュースでした。

岡山放送
岡山放送

岡山・香川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。