電気・ガス・水道が通っていない“自給自足ホテル”とは。

緑豊かな木々に囲まれ、ぽつんとたたずむ一軒家。
テラスの向こうには夕日に照らされた広大な海が広がっている。

建物の中も広々としていて眺望も抜群。

外には露天風呂もあるなど、なんともぜいたくな空間だが、実はここに最先端の技術を駆使した地球に優しいある秘密がある。

2022年、静岡・西伊豆にオープンしたのが、1日1組限定のホテル「WEAZER西伊豆」。

壁一面の窓の向こうには、雄大な駿河湾。
室内にはキッチンのほか、シャワーも完備していて、伊豆の豊かな自然の中で優雅なひとときを過ごすことができるが...。

ホテルを運営する(株)ARTH・高野由之代表取締役CEO「電気もガスも水道も一切頼ってなく、自然エネルギーや雨水だけで完全に自給しています。世界中の美しい場所、でもそこには電気とかガス、水道がない場所に滞在できるような、そんな場所を作りたいと思ってここに作りました」

WEAZER西伊豆は、電気や水道など既存のインフラは一切整備されていない、いわゆる“オフグリッド型”の居住空間。

電気は屋根の上の太陽光パネルで発電し、蓄電設備にためて使う。

さらに使わない電気をEV(電気自動車)に充電することができるほか、緊急時にはEVから建物に電気を供給することも可能。

そして雨水をためておくための巨大なタンクもある。

雨水をろ過・滅菌して使用し、客室内で使った水は特殊な装置を使って浄化する。

汚水を出さず環境を傷めることもない。

そしてもう1つの特徴はこの建物。
巨大なコンテナがベースになっていて、工場で製作したユニットを現地に運ぶため最短2日で設置が可能。

新たに電線や水道を通す必要もなく、まさに“置くだけ”なので世界中どこにでも設置できる夢の居住空間となっている。

デザインを手掛けた乃村工藝社・井上裕史デザイナー「立地を自由に選べるというシステムになりますので、この眺望を最大限、魅力に変えられるように、最初にドアを開けたときの印象が一番高まる形で、インテリアのデザインをさせていただいています」

自然の力と最新テクノロジーが融合したこのホテル。

ディナーは、近くにある元は古民家だったレストラン「LOQUAT西伊豆」で、地元伊豆の食材をふんだんに使ったコース料理を堪能できる。

このレストランの隣には、元は蔵だった建物をリノベーションした風情たっぷりの宿泊施設「LOQUAT西伊豆 二ノ蔵」もある。

置くだけホテルをはじめ、どの施設も、今ある自然や建物のよさを最大限に生かした地球に優しいものづくりの心が生かされている。

(株)ARTH・高野代表取締役CEO「一般の住宅や、オフィスや店舗での相談もありますし、災害時の避難場所とか、いろんな形で今ご相談いただいています。今、日本の全国・地方は少子高齢化でどんどん人が減っている。そういった限界集落化していく日本の地方に、既存のインフラに頼らず営みが続けられるような分散型の滞在空間の提供というのは、日本の社会のすごく大きい課題解決の一つになると思っています」

さまざまな社会課題の解決にもつながる置くだけホテル。
年内には近くに2つ目の施設もオープン予定で、今後もさらに広がっていきそうだ。

フジテレビ
フジテレビ

フジテレビ報道局が全国、世界の重要ニュースから身近な話題まで様々な情報を速報・詳報含めて発信します。