一律20万円じゃ「割に合わない…」
全国の新型コロナ感染者が3日連続で1000人を超える中、過去最多となる463人の感染が確認された東京。営業時間の短縮を要請された飲食店からは困惑の声が上がっている。
若者の街・渋谷を7月31日取材すると、ある変化が起きていた。16日に同様の取材をした際には、渋谷駅周辺で東京都の感染防止徹底ステッカーを貼っている飲食店は5軒ほどしか見つけられなかったのだが…
海老原優香アナウンサー：
こちらのビルの看板には感染防止徹底ステッカーが4軒貼られています
渋谷センター街周辺で今回ステッカーを確認できたのは32店舗。
小池百合子都知事は20万円の協力金を支払うことを約束し、飲食店やカラオケ店に午後10時までの営業時間短縮を呼びかけた。
小池百合子都知事：
営業時間の短縮要請に伴いまして、協力金を一律20万円支給する…
新型コロナの新規感染者が463人と初の400人台となった東京都。
渋谷区の飲食店「山家 支店」では、3密を避けるためテーブルごとにビニールシートで区切り、消毒や換気を行うなどの感染防止対策を講じて営業しているという。
都の要請に従い、8月3日から営業時間を午後10時までに短縮する考えだが、感染防止ステッカーの申請はまだできていないという。
海老原優香アナウンサー：
ステッカーはお店に貼っていますか？
山家 支店・倉橋 初店長：
今は貼っていないですね。それは（これから）申請してもらう予定になっています
協力金20万円を受け取るには感染防止ステッカーを貼ることが条件の一つ。しかし…
山家 支店・倉橋 初店長：
到底20万円じゃ全然足りないです
海老原優香アナウンサー：
先のビジョンは見えていますか？
山家 支店・倉橋 初店長：
全然見えていないですね
困窮する飲食店にとって20万円の協力金は決して十分ではないという。
既にステッカーを貼り、時短営業に備えている渋谷区の「ビストロ 千」でも…
ビストロ 千・青木 浩店長：
人件費と家賃を考えるとやはり20万円じゃ、うちの店では少ないというのはありますね
協力金20万円では2週間分の人件費だけにしかならないという。
大阪や沖縄も休業要請や時短営業要請へ
こうした飲食店などへの要請は東京都以外にも広がっている。
大阪市は休業要請に応じた店舗に1日1万円の支援金を出す方針。
さらに沖縄県の玉城知事は30日、那覇市内の接待を伴う飲食店に休業を要請することを発表。協力した場合20万円の協力金を支給するとしている。
こうした動きに複雑な心境を明かすのは“夜の街”で働く人たち。
那覇市の“夜の街”で働く人：
（休業要請が出たので）感染拡大防止に向けては安心はありますけど、生活をみるとやっぱり苦しいので…
那覇市の“夜の街”で働く人：
（協力金20万円は）圧倒的に足りないというのはあります。（休業要請には従う？）もちろん従います。優先順位はどうしても健康とか命が大事なので…
その沖縄県では、31日新規感染者が一気に70人を超え、71人と過去最多となり、県独自の緊急事態宣言を出す方針となった。
東京や沖縄と国の対応にズレも…
同じく新規感染者がまたしても過去最多の463人となった東京都の小池知事も…
小池都知事：
状況さらに悪化しますとですね、都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるを得なくなる
しかし、国としての緊急事態宣言について、菅義偉官房長官は…
菅義偉官房長官：
現時点で緊急事態宣言を再び発出し、社会経済活動を全面的に縮小させる状況にあるとは考えておりません
31日小池都知事のほか、大阪府の吉村洋文知事も参加して行われた政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会。その中で、感染状況をレベル0からレベル3の4段階に分けることが話し合われた。
今回、東京と大阪は下から2番目のレベル1「感染漸増段階」。その他の地域がレベル0「感染ゼロ散発段階」にあたり、より深刻なレベル2「感染急増段階」、レベル3「感染爆発段階」の地域はまだないとしている。
新型コロナウイルス対策分科会・尾身茂会長：
（レベルが）この次の段階に移る予兆があった場合、予兆を見つけて常に先取りをした介入をしていただきたいということです
時短要請で困窮する飲食店の活路はあるのか？
Live News it!のスタジオではマーケティングアナリストの原田曜平さんに話を聞いた。
加藤綾子キャスター：
原田さんは今回の営業短縮要請についてはどうご覧になりますか？
原田曜平さん：
やっぱり20万円じゃ足りないと思います。とはいえ今は経済を少し抑えてでも感染者拡大を抑えるという意味でいうと、ニューヨークほどではないにせよ、多少飲食店にとって厳しい状況にならざるを得ないというのがあって。僕はすごくテイクアウトを楽しみにしているんですけど、もっとテイクアウトできる店も増えるべきだし、そこを中心に接客する分、空いた時間を何かほかのことに使うとか…
加藤綾子キャスター：
活用していくというか工夫していくしかないのかもしれないですね
原田曜平さん：
消費者もテイクアウトで家族時間も増えますしね
（Live News it! 7月31日放送より）
