私たちの住む場所でも、いつ巨大地震が起きてもおかしくない。
目の前で巨大地震が起きたとき、あなたは何ができるだろうか?

「newsランナー」の吉原功兼キャスター、谷元星奈キャスターと、はるな愛さんが、震災直後を想定した訓練に参加した。訓練を通して、改めて考える。

https://youtu.be/pdPIAbe-tgI

■訓練で震災直後の様子を再現、体験していく

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体験型の防災学習施設の一部を借りて、震災直後の様子をリアルに再現してもらった。

甚大な被害をもたらすことが予想される南海トラフ巨大地震など、関西にも、地震の脅威は迫っている。

そこで今回は、「大阪市内で震度7クラスの地震が発生」というケースを想定した訓練を実施。

何も知らない3人の前に、多くの困難が待ちうける。

はるな愛さん:ちょっと怖いですね。
吉原キャスター:何が起こるかわからない。
谷元キャスター:何も聞いてないですからね。

2022年に防災士の資格を取得している谷元キャスターは、「机の上での勉強は一生懸命してきたつもり、実際に体験するのは初めて」と話した。

訓練を行ったのは、家庭で火事が起きた時の消火方法を学んだり、震度7の揺れを体験することができる施設「あべのタスカル」。

■訓練がスタート直後からハプニング

訓練が始まると3人の目の前にあらわれたのは、多くの建物が崩れた街だった。

事前に、防災教育が専門の兵庫県立大学大学院の阪本真由美教授や、大学院生が、「巨大地震で起こりうること」について検討。また、建築防災工学が専門の摂南大学の池内淳子教授にも協力を依頼し、「災害直後の街」を再現した。

はるな愛さん:中に誰かいますかー?いらっしゃいますか?

建物の中に声をかけながら道を進む。

すると…。
「あのすみません、向こうで友達がけがしちゃって、手を貸してくれませんか?」と女性から声をかけられた。

そこには崩れたがれきで、足をけがした女性の姿が。
女性:止血方法わからないですか?
谷元キャスター:圧迫しましょうか。
吉原キャスター:救急には電話しました?
女の子:さっきしたんですけど、つながらなくて。
谷元キャスター:圧迫しないといけないですよね。愛さんわかりますか?

近くにあったタオルを使って止血を試みる。
谷元キャスター:これ衛生的にアレかもしれない。

近くにある建物が、崩れそうになっていることに気がつき、ケガ人を移動させることにした。

谷元キャスター:一回ここの危ない場所から離れましょう。動けますか?あんまり動かさない方がいいかな。
吉原キャスター:いやでもここから離れたほうがいい。

この様子を見て、兵庫県立大学大学院の阪本真由美教授は「これはよかったと思います。倒れてきたり、外壁が落ちてきたら危ないですよね。ケアしている人も、ケガしてしまう可能性がある」と言う。

■地震発生後には通話が困難になる

吉原キャスター:電話かけました?
女性:もう1回かけてみます。親にも状況伝えたいんですけど…。ネットはつながるかもしれないです。
谷元キャスター:じゃあSNS使って、お母さんに電話かメッセージしてもらっていいですか。

災害時に起こる、「通信」の問題。

東日本大震災では、固定電話の約120万回線、携帯電話の基地局の約1万5000局が利用できなくなり、能登半島地震でも、伝送網が断線したことで大きな影響が出た。

通信会社も対策を進めているが、南海トラフ地震の発生直後には、大部分の通話が困難になると想定されていて、すぐさま「救助」が呼べる状況ではなさそうだ。

谷元キャスター:どうしよう全然わからない。うわー、どうしたらいいんだろう。

■燃えている住宅に飛び込もうとする男性

その後も、トラブルは続く。

吉原キャスター:どうしました!?

そこには、家が燃えていることに気付いた夫婦が。
男性:お金置いたままや。とりにいかな!放してよ!

男性を落ち着かせようと試みるが…。

谷元キャスター:あなたの命よりも大事なものはないから、1回とまってください。お金よりもあなたの命のほうが大事です。
男性:でもすぐそこなんや、玄関入ってな。

愛さん、その勢いに思わず、立ち尽くしてしまう。

■頭が真っ白になってしまう現象「凍りつき症候群」

そんな中、緊急地震速報の警報音が鳴った。

はるな愛さん:地震だって、建物から離れて
谷元キャスター:皆さん姿勢を低くしてください。

しばらくすると、大きな揺れが。建物からガラスが落ちてくる。

揺れがおさまると、呆然と立ち尽くす学生を発見した。

被災したときに、頭が真っ白になってしまう現象は「凍りつき症候群」と呼ばれ、東日本大震災では、多くの人がこの状態になったとされている。

はるな愛さん:親との連絡の仕方、事前に約束していることはない?
女の子:電話とか一応。
吉原キャスター:例えば地震が起きたら、ここにいようねっていう話はしてないですか?
女の子:してない。

「凍りつき症候群」には、身体をゆすったり、具体的な指示を出して行動を促すのも重要だ。

■海外からきた人も被災して混乱

さらに、混乱は広がる。けが人の応急処置をしている谷元キャスターのもとに、外国人の男性がやってきた。

谷元キャスター:Are you OK?

 海外からきた人が、被災して混乱しているようだ。谷元キャスターはその場に座るよう伝える。

■「津波避難ビル」を日ごろからチェック

そして…、津波警報を示すサイレンが鳴り響く。 しかし、どこに逃げてよいのかわからない。 南海トラフ地震では、大阪市に最短110分で1メートルの津波(想定死亡率100%)が押し寄せてくると言われている。

谷元キャスター:あ、津波避難ビルです、津波避難ビルがあります!

谷元キャスターが発見したのは、「津波避難ビル」。 「津波避難ビル」とは、緊急の避難先として、あらかじめ指定された建物です。

兵庫県立大学大学院 阪本真由美教授:一般の方が外階段を使って、逃げられるビルって多くないんですよ。あのマークを探していくっていうのが、結構大事です。住んでいる人は普段からチェックする。街中歩くときとか

3人は、近くにいる人をサポートしながら、高台まで避難。 ここで、訓練が終了した。

■「いろんなことが同時に起きているから、パニック」

訓練を終えた3人は安どの表情だった。

吉原キャスター:愛さーん。これ涙、流れます

はるな愛さん:怖い。ほんま怖いわ。なんもできんかった

谷元キャスター:あつい。めちゃくちゃ汗かいた

はるな愛さん:本当にお恥ずかしい。何にもできなくて、あたふたしていたと思います。まず、そこにかけ寄っていいのかって思うし。困っている人もここにもいるけどこっちにもいるし。いろんなことが同時に起きているから、パニックって本当に、このことだなって初めて思いました

谷元キャスター:あれだけ勉強してても、止血の方法がパッとわからなかったり、知識を持っていることと、こういうケースに出くわすことは全く違うなって思いました

吉原キャスター:自分でできることは、ある程度限られている中で、助けを求めている方が、次から次へときて、いま自分がどう動けばいいか、答えが全く見えないまま、ただその状況に向きあっていた

訓練を通して気が付いたことがたくさんあったようだ。

■災害に備えておくことで、直面した時に行動ができる

南海トラフ巨大地震が起きた時、通信はどうなるのか? 国によると、電話は地震直後からアクセスが集中して通話が困難になる。

一方、インターネットは電波がストップする基地局割合が最も高くなるのは、実は災害直後ではなく、1日後だということだ。

非常用電源が切れることなどが理由だそう。 そこで、通信が遮断される前に、能登半島地震でも活用されたLINE安否確認や災害用伝言ダイヤル(171)を活用するようにしてほしい。

災害発生直後は混乱するが、こういうことを事前に知っておくことで災害時の行動に結び付けてほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年3月11日放送)

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