大阪湾に入り込んでいたクジラが死んだことが確認され、大阪府は埋設して処分することを決めた。
大阪府によると、18日、海上保安庁に「クジラが動いていない」との通報があり、大阪港湾局が実際に船から動きがみられないことを確認した。 そして19日、大阪府は午前10時半ごろから、海洋生物の専門家とともにクジラの生死を確認する調査を行い、死んだことを確認した。
「埋設」「焼却」「別の海域に移動させて沈める」の3つの対応策

クジラについて、大阪府は1月26日の会議で、「埋設」「焼却」「別の海域に移動させて沈める」の3つの対応策を示した上で、どの対応策が最も適切か検討を進めていた。
「焼却」については、大阪府の吉村知事は2月7日の定例会見で、死んだクジラを受け入れてくれる焼却場を見つけるのが困難といった理由から、「埋設か海洋投棄かどちらかになると思う」との見解を示していた。
また、大阪府の担当者は、別の海域に移動させて沈める海洋投棄についても、「コストがかかるほか、沈める海域や移動ルートについて事前に海上保安庁や他の自治体、漁協などと協議が必要になる」と話していた。
去年1月、淀川の河口に迷い込んだ「淀ちゃん」が死んだケースでは、大阪市が紀伊水道沖まで運び、海に沈めたが、約8000万円の費用がかかっている。大阪府は最終処分の方法を検討するための会議を19日午後に開き、大阪・堺市内の埋め立て地にある産業廃棄物の最終処分場に埋めて処分することを決めた。数年後に掘り起こし、骨格標本として大阪市の自然史博物館に提供される予定だ。
■「埋設」は費用などの面から決定

会議の後、大阪府の吉村知事は次のように語った。
大阪府 吉村洋文知事:くじらが死亡したことは本当に残念。できれば外洋に戻ってもらいたかったが、これはどうしても自然の世界における出来事で仕方がない。

大阪府 吉村洋文知事:万が一に備えてどうするのか1月下旬に実務的な会議をした。埋設・焼却・他海域に戻すなど検討してきた。埋設は、悪臭や爆発の恐れあるため場所選定に時間がかかるということだったが、今回は『淀ちゃん』の場合と違って1カ月以上時間があったので、きちんと調整してもらえた。
(埋設する)堺第7・3区は、立ち入りも禁止されているので適地。埋設によって数年後、自然史博物館に提供でき、学術価値あるので適切と思う。費用、埋設費用については、海に戻すより費用がかさまない。この3点から埋設が適切
■死因は「餓死」とみられる

19日午前、大阪府の調査で現地に船で入り、死んだことを確認した大阪市立自然史博物館の鍋島靖信外来研究員は、以下のように話し、死因は餓死とみられるとした。
大阪市立自然史博物館 鍋島靖信外来研究員:完全に口が、ガバッと開いていまして、それと息をしない。体の表面から泡、血液とか、脂がにじみ出ていたりしてたんですよね。そういうところで死んだと判断しました。2月上旬、上からの体型を見ると普通のマッコウクジラよりもかなり細かった。これは1か月から2か月ぐらいはエサを食べてないだろうという状況だった

クジラの死骸は、19日午後に堺市内の埋め立て地、7・3区の岸壁まで運ばれた。今後埋設の作業が行われる予定だ。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月19日放送)