あなたには「解体」したい想い出はあるだろうか。過去を断ち切り、新たな一歩を踏み出すきっかけになるかもしれないイベントが2月に開催される。

未練を断ち切る「想い出の解体工事現場」

元恋人や昔の夢など過去の未練が詰まった“想い出の品”は、捨てたくてもなぜか捨てることができないことが多い。

そんな品がある人には絶好の機会となりそうなイベントが「想い出の解体工事現場」だ。なんと“重機”を使って想い出の品を解体するというのだ。

ショベルカーを遠隔操作して解体する!
ショベルカーを遠隔操作して解体する!
この記事の画像(19枚)

参加者は、東京・渋谷の会場に設置された操縦席から、千葉・柏市にある無人のショベルカーを遠隔操作する。操縦席のモニター映像を見ながら4本のジョイスティックを操り、ゲーム感覚で想い出の品を砕いたりつぶしたりできるという。

操作方法については、コラボする建設機械の遠隔操作ソリューションを開発・提供する「ARAV株式会社」のスタッフが指導。そのため重機を操作したことがない人でも安心だ。

想い出の品を解体して未練を断ち切る
想い出の品を解体して未練を断ち切る

なお、解体した品は運営スタッフで処分するため、想い出は手元には残らない。

またショベルカーは自動車も解体できるのだそう。ただ未練を断ち切るだけでなく、そんな重機を操作できるというワクワクも感じることができるのではないだろうか。

モニター映像を見ながらゲーム感覚で操作できる
モニター映像を見ながらゲーム感覚で操作できる

イベントは2月8日、13日、14日の3日間、マイラボ渋谷で開催。参加は事前応募制で、マイラボ渋谷HP内のイベントページにあるフォームから、1月25日の18時まで応募することができる。なお、応募数が多くなった場合は抽選になるとのことだ。

発案は「重機を一般の人が使いたくなるシチュエーション」

新たな一歩を踏み出す機会となりそうな重機を使った壮大なイベントだが、どのようなきっかけで企画が生まれたのだろうか?現在の反響も気になる。イベントを企画した「株式会社人間」の岡シャニカマさんに話を聞いた。


ーーどのような経緯で、「想い出の解体工事現場」を開催することに?

弊社は、通信サービスmineoを提供する株式会社オプテージが運営する実験型施設「マイラボ渋谷」のプロデュースを担当しております。この施設では、クリエイターや企業との「共創」、実験に参加したユーザーとの「共創」によって、前例のない未来を実験的に創り出す体験イベントを繰り返し開催しています。

今回のイベントは、遠隔重機の技術を開発する「ARAV」様の最新技術に関心を抱き、5G時代の未来世界を体験できる実験イベントを共に実現したい旨を、マイラボ渋谷からARAV様にコラボレーションを持ちかけて実現しました。

これまで遠隔重機は「安全な場所にいながら作業ができる」という点で、現場作業者の方にとってのメリットが注目されてきました。ただ、そのメリットを一般の方が聞いても自分ごとにはなりません。一方で「危険を伴わない」ということは「誰でも操作できる」ということでもあります。これは一般の方でも関心を持ってもらえるポイントです。普段は操作できない「重機」の圧倒的パワーを使えば自動車もペシャンコに出来ると聞いたので、まずは『一般人が重機で何かを破壊するイベント』がしたいと思いました。

未練の強いものを木っ端みじんに粉砕
未練の強いものを木っ端みじんに粉砕

ーー「重機」で「想い出の品」を解体。このアイデアはどのように思いついた?

ARAV様の技術とmineoの通信技術をベースに、人々のもつ潜在的な悩みや困りごととを組み合わせて、「重機を一般の人が使いたくなるシチュエーション」という観点から企画を考えました。

また、イベント開催の時期がちょうどバレンタインに近かったので、バレンタインシーズンに破壊したいものは?と考えているうちに「元パートナーにもらったもの」など、未練の強いものを木っ端みじんに粉砕するイベントの企画になった次第です。


ーー想い出の品を処分することには、どのような効果が期待できる?

私自身も失恋の経験や夢を諦めた経験がありますが、「想い出の品」を残しておくことで、その品物を見るたびに後悔してしまったり、諦めきれずに過去の幻想に執着してしまうことがあります。そういった品物を処分することで、最初は焦燥感にもかられると思いますが、それ以降に想い出す機会が圧倒的に減るので、未練も自然消滅してくれるのではないでしょうか。

「遠隔操作」と「重機」という2つの要素が大事とのこと
「遠隔操作」と「重機」という2つの要素が大事とのこと

ーー“重機で”という部分は重要?

もちろん、重機でなくてもアルバムやコップは破壊できますし、破壊しなくても処分することは容易ですが、今回は「遠隔操作」と「重機」という2つの要素が大事だと考えています。

まず「遠隔操作」という部分では「間接的に解体する」ということが可能になります。イベントでは渋谷にいながら千葉県の品物を解体するわけなので、いい意味で臨場感が少なく、変に躊躇(ちゅうちょ)することなく、自らの手で解体することが可能です。

そして、「重機」を使うことで「自分ではない物の力で解体する」ということになります。力加減が難しくゲーム感覚で楽しめるので、操作しているうちに「想い出の品」なんてことはどうでもよくなり、重機を操作すること自体を楽しみながら解体作業を完了できるのではと考えています。

ほとんど解体できないものはない

ーー解体できない物が出てくる可能性は想定している?

ARAV様からは「自動車でも解体できる」と伺っていますので、ほとんど解体できないものはないと考えています。

指輪など小さすぎるものは難しいのですが、品物によって解体できるよう、こちら側で準備もする予定ですし、ショベル部分だけでなくキャタピラで踏みつぶしたりすることも可能なので、安心して応募いただければと思います。また、実際に解体される方の操作によっては、何度も操作する必要があると思いますが、現場では専門スタッフのサポートもございます。


ーー解体に不向きなもの、最適なものを教えて。

事前に解体テストをしてみたところ、次のものは重機での解体には不向きだとわかっています。

・指輪やアクセサリーなどサイズが小さいもの
・服やぬいぐるみ、クッションなどの柔らかいもの

それ以外はどんなものでも安心して解体いただけると思います。

柔らかいものは解体に不向きだそうだが、キャタピラで踏みつぶしたりも可能
柔らかいものは解体に不向きだそうだが、キャタピラで踏みつぶしたりも可能

ーーちなみに、おすすめのものは?

コップやお皿などの陶器は、バキバキに割れるので達成感も感じやすいと思います。また、ベッドやテーブルなど大型の家具であれば、重機ならではの解体が見られると思います。実際、テスト破壊では比較的小さな木製の家具で試してみましたが、綺麗に解体されていました。

陶器はバキバキに割れるので達成感がある
陶器はバキバキに割れるので達成感がある

ーー応募状況はどう?

募集3日経過(1月19日)時点で9名(男性3名、女性6名)の応募者がいらっしゃいます。現状、全員が元恋人や憧れの人からもらった品物を壊したいと仰っています。

元恋人との品物を捨てられずに持っている方が多いこと、また、このような機会があれば潔く解体したいと思っている方は一定数いることは予想通りで、実はもっとたくさんいるのでは?と思います。今回参加してくださる方々が実際どんな気持ちで申し込んでくれたのか、当日お伺いできるのが楽しみです。

想い出の解体工事現場
想い出の解体工事現場

解体には操作の説明を含めて約10~20分の体験時間になる見込みだそう。1日7人(最終日のみ6人)、3日間で計20人が参加できる予定とのことだ。

“未練をきっぱり断ち切る”だけでなく“重機を操作してみたい”という気持ちから、参加を考えてみるのもいいかもしれない。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(19枚)
プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。