横浜市都筑区の閑静な住宅街で9日、自宅にいた60代の女性が侵入してきた3人組の男に襲われ、貴金属などが奪われる強盗事件が発生した。Mr.サンデーは、強盗グループの動きを捉えた防犯カメラの映像を入手。そこには強盗グループの怪しげな行動、そしてその一部始終が記録されていた。
被害者宅を何度も“下見”
9日午前5時46分。被害者宅のすぐ近くにある防犯カメラが捉えたのは、まだ薄暗い住宅街をゆっくりと走る、白いワンボックスカーだ。
車は被害者宅の直前でいったん止まると、ゆっくりと通り過ぎていった。
その後、強盗グループとみられる車は、さらに現場を2度行き来した。下見を繰り返している様子が分かる。
次に行動に出たのは午前7時28分。路上に止めた車から出てきたのは、派手な黄色いパーカーの男だった。フードを目深にかぶり、口元を隠した男は、ゆっくりと被害者宅の方へと向かった。およそ30秒後、足早に戻ってきた男は、車に乗り、その場を立ち去った。
それから1時間半後の午前9時、再び路上に止めた車からは、あの“黄色いパーカー男”が出てきた。またしても30秒ほど被害者宅を見た後、車に戻り、走り去った。
そして午前9時18分、大胆にも被害者宅の駐車場に車を入れると、この直後、強盗に押し入ったのだ。
そこで何が起きていたのか。関係者などへの取材を進めると犯行の詳細がわかってきた。
3人組の強盗の他に“運転手”も
自宅1階のリビングでテレビを見てくつろいでいたという住人の女性。家族は外出し、家に1人だったという。すると、庭に突如現れた3人の男たちがバールで窓ガラスを割り、部屋に侵入した。
1人は目出し帽に黒い服装。残りの2人は、黄色いパーカーと白いパーカー姿で、2人ともフードを被りマスクを装着。侵入する際、1人が割れたガラスでケガをし手から血を流していたという。
すると、男たちは「金庫はあるか！」と女性に声をかけた。女性が「金庫はない」と答えると、男たちは室内を物色。「おとなしくしていれば何もしない」と言われ、それに従い抵抗しなかったという女性は、男たちが持ってきた延長コードで手を縛られたという。
3人組がアクセサリー類などを物色する中、1人の男は、他の2人から「先輩」と呼ばれていたという。
この時、被害者宅の駐車場に止められていた車は動き出し、住宅街を一周。3人組とは別にもう一人、運転手もいたことが分かる。
男たちは30分ほど家を物色すると、帰り際、侵入する際のケガで床に落ちた血を拭き取り始めたが、被害女性が「拭かないで早く出て行った方がいいんじゃない？」と声をかけると、そのまま出て行ったという。
防犯カメラには、強盗犯が乗ったとみられる車が、9時49分に被害者宅から出て行く様子が捉えられていた。
白昼堂々、何度も下見をした上で、強盗に入ったとみられる犯行グループ。しかし、事件はこれだけではなかった。
5時間半後に近隣で強盗未遂
最初の犯行からおよそ5時間後の午後2時40分ごろ、2キロ離れた横浜市緑区でも強盗未遂事件が発生した。
「『お届け物です』とかピンポンされたので玄関の入口を開けただけですけどね。出ようとしたらそういうふうにちょっとここ（腕を）触られて握られた」
強盗未遂の被害に遭った80代の女性は、玄関のドアを開けたところ、男から腕をつかまれたという。女性は当時の状況についてこう振り返った。
「『金庫はどこにあるか？』そんなことを最初に（聞かれた）。他の人がもう1人いたの。外にです。危害は何も加えないんですけどね」
複数の共通点…闇バイトによる犯行か
立て続けたに起きた2つの事件には、「複数人のグループ」、「最初に金庫の在りかを聞く」、「大きな危害を加えない」といった複数の共通点があった。
元埼玉県警捜査一課警部補の佐々木成三氏は、「闇バイトに絡む若者の犯罪手口によく似てるなと感じる」と述べ、闇バイトによる犯行の可能性を指摘する。
「犯行に使用した車が、何回も下見などで行き来している。しかも被害者宅前に（車を）止めるということは、かなり証拠を残している。手口はかなり素人ということもありますし、主体性が実行犯にあるわけではなくて指南役にあって、実行犯というのは、まずは多くの貴金属・現金を奪うことだけを考えている。そのような手口だなという感じはします」
（「Mr.サンデー」11月12日放送より）
