茨城県つくば市で起きた暴行事件の容疑者として警察が追っていた男を、隣の牛久市で銃刀法違反容疑で逮捕した。その直後、男の自宅から頭部に傷のある高齢男女2人の遺体が見つかった。逮捕された男の両親と見られている。一家に一体何があったのか。

『新選組のようなことをやりたい。自警団を作らなきゃいけない』

逮捕された男はつくば市にある神社の職員に次のように話していたという。

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神社の職員:
彼を最後に見たのは11月2日。『新選組のようなことをやりたい。自警団を作らなきゃいけないんで一緒にやりませんか?』と誘われました。

神社の職員に謎の誘い文句を口にした40歳の男は、その8日後に逮捕された。

今月9日、茨城県つくば市で起きた暴行事件の容疑者として、警察が男を追っていたところ、10日、隣の牛久市(うしくし)の路上で男を発見。

アウトドアナイフを所持していたとして銃刀法違反で現行犯逮捕した。

だが、事件は思わぬ経過を辿る。

男の自宅から両親とみられる高齢男女2人の遺体発見

男が逮捕された、わずか40分後。

容疑者の自宅へ捜査に入った警察官が2階の寝室で発見したのは、頭部に外傷がある高齢男女2人の遺体だった。

まだ身元は明らかになっていないが、逮捕された男の両親とみられている。

近所に住む女性:
夫婦もいい人だったよ。普通の家。息子さんも普通だよ。だからいきなりきのう(10日)、何だろうと思ってびっくりしたよ。みんなびっくりしてると思う。

“普通”だったという高齢の両親と40歳の息子に、何があったのか?
近隣を取材すると、今年2023年、家族にある変化が起きていた。

町内会でも評判の工務店

近所に住む男性:
我々の町内会としては結構評判で、あの人(父親)に家を建て替えてもらったとか、話を聞いたことありますよ。

父親は腕のいい大工で、家族で工務店を営んでいたという。
そして息子は…。

近所に住む女性:
旦那さんと息子さん、よく車に乗って仕事行ったり。

3年ほど前まで、仕事で一緒になることもあったという男性は、当時の親子関係について。

親子と仕事をしたことがある近所の人:
お父さんの手伝いをしよったね。大工見習いやね。私は電気屋しよったんだけど、(一緒に)あちこち行きました。親は息子さん、子供がかわいいから、ちゃんと一人前にしようと思って、(息子は)お父さんの言うことは「はいはい」言って、お父さんが命令したら運転もしてたし、反発はしたことなかった、反発はね。口争いもなかったしね。

近隣の住民によると、容疑者は10年以上前から父親に付いて仕事をしていたというが。

親子と仕事をしたことがある近所の人:
こんなこと言ったら失礼にあたるけど、もうちょっとやなという感じはしてた。仕事ぶりもそうだし、ハキハキしたところもなかったし、おとなしい人だなと思った。私らしょっちゅう大声をあげたり、「コラー」って言ったりするんだけど、そういう人じゃなかった。だから内へ内へこもったのかもしれんけどな。

家族に起きた変化

職人気質の父親と内気な息子。
そんな日常に異変が見られたのは、今年2023年6月頃のこと。

近所に住む女性:
息子さんが車をぶつけて破壊したんです。夜11時頃、ガシャーンと音がして。

容疑者自宅から約50メートル離れた建物は、工務店の物置として使われていて、階段付近を見ると、崩れているのが分かる。

2023年6月頃、容疑者が車をそこにぶつけていた様子が目撃されている。

夜中、車が壊れるほどの事故を起こしたという容疑者。

これと、時を同じくして、工務店と取引のあった不動産会社では、「6月以降、7月に発注しても受けられないと断られた」という。

近所に住む女性:
6月頃からかな、お父さんの具合でも悪いのか、仕事ピタッとやめたみたいです。どうしたんだろう?って心配でした。

そしてその後、近隣住民に目撃された容疑者の姿は、「仕事がなくて、フラフラしていた」「たまに、息子さんがこの辺でウロウロしていた」という。

近隣や公民館に警視総監宛の文書投函 「大罪を犯していません」

そんな容疑者の姿は、つくば市の神社にも。
ここで行っていたというのが、おはらいだった。

神社の職員:
容疑者は厄除けのおはらいに来ていました。いつも1人でした。
10月16日には2トントラックに乗ってきて、交通安全のおはらいをしました。

父親の仕事がストップしていたとみられる中、資材などを積んだトラックのおはらいに来ていたという容疑者。
何とか仕事を再開しようとしていたのだろうか…。

その一方で、近所で不可解な出来事が。

2カ月ほど前、容疑者の名前が記された文書が公民館や近隣の住宅に複数投函されていたという。

そこに書かれていたのは…。

近所に住む男性:
A4サイズの大きさに、自分(容疑者)の名前がわかるようなことで、『僕は何もしてない』とか、『何もしない』とかいうような中身だったと。(彼のものだと)はっきり分かりますよ。自分の名前書いてあるもの。

その文書の宛名は、「警視総監」。手書きでこう綴られていたという。

私は天地神明に誓って大罪を犯していません。

実際に誰が書いたのかは不明だが、何を釈明しようとしていたのか。
警察は、今後両親とみられる遺体の司法解剖を行い、殺人の可能性も含め、調べを進めるとしている。

(「Mr.サンデー」11月12日放送より)

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