6月17日に行った福島県民世論調査で、「F-REI(エフレイ)」の名前や取り組みをどの程度知っているかを聞いたところ、7割を超える人が「知らない」と回答。福島国際研究教育機構「F-REI」で、いま何が行われているのか取材した。

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研究開発・人材育成の拠点

「F-REI」は、福島そして世界の課題解決を目指す、研究開発・人材育成の拠点として福島県浪江町に設立。具体的な役割は「ロボット」「農林水産業」「エネルギー」「放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用」「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」

福島や世界の課題解決を目指すための研究開発・人材育成の拠点
福島や世界の課題解決を目指すための研究開発・人材育成の拠点

この5分野で研究開発・人材を育成する司令塔として期待されている。今後7年間の計画では、約500の学術論文の発表、企業や市町村などと30以上の協定を結び、福島や東北の復興に結び付けるとしている。

扱う5分野での司令塔としての役割を期待されている
扱う5分野での司令塔としての役割を期待されている

F-REI最初の研究グループ

F-REIではどのような研究がスタートしているのか?福島県立医大の敷地内にある分室を訪ねた。ここでは東京電力・福島第一原発周辺で採取した土壌や食品などに含まれる放射性物質の量を調査・研究している。

福島県立医大の敷地内にある分室
福島県立医大の敷地内にある分室

福島県内で採取したキノコに含まれる放射性物資・ストロンチウム90の量を分析。カサル・サラユ研究員は「福島事故後の環境の試料分析を行っている。例えば、浪江町・大熊町・双葉町などの試料採取をした」と説明してくれた。

カサル・サラユ研究員「事故後の環境の試料分析を行っている」
カサル・サラユ研究員「事故後の環境の試料分析を行っている」

2人の研究者を含む5人のスタッフが在籍し、F-REI最初のそして現時点で稼働している唯一の研究グループだ。原発事故直後、放射線物質への不安から水や食品を口にせず健康被害を引き起こすケースもあったことから、正しい情報を医学分野などと連携し発信しようとしている。

正しい情報を医学分野などと連携し発信へ
正しい情報を医学分野などと連携し発信へ

複数の研究者で問題解決へ

F-REI放射生態学ユニットの青野辰雄ユニットリーダーは「一つの施設ですべてを網羅することはできない。複数の研究分野の人たちが色々な目線で見ることによって、問題を解決していかなくてはいけないと考えている」と話す。

F-REI放射生態学ユニットの青野辰雄ユニットリーダー
F-REI放射生態学ユニットの青野辰雄ユニットリーダー

F-REIの役割の一つが、これらの研究分野をつなぐ「司令塔」。ロボットや農業の分野をはじめとして、将来的には成果の産業化を目指している。

F-REIの役割の一つが研究分野をつなぐ「司令塔」
F-REIの役割の一つが研究分野をつなぐ「司令塔」

ニーズを把握し効果的な研究を

F-REIの山崎光悦理事長は「こんな新しい産業が興ったんだというところに少し手が届く、芽が出るというところを、まずは10年とか十数年とかのスパンで期待してほしい」と話す。

F-REIの山崎理事長
F-REIの山崎理事長

2030年度までに、浪江町に建設を予定するF-REIの研究施設。県内の産業が求めるものを把握しながらより効果的な研究を行える施設にしようと設計を検討している。

求めるものを把握しより効果的な研究を行える施設に
求めるものを把握しより効果的な研究を行える施設に

山崎理事長は「認知度が低いことに、ショックを受けたことがあった。すこし前のめりに、いろんな研究機関の片隅をお借りしながら、我々のミッションである研究をしっかりと、一日も早く軌道に乗せていきたい」と語った。

ミッションである研究を一日も早く軌道に乗せていきたい
ミッションである研究を一日も早く軌道に乗せていきたい

世論調査では4割が期待

F-REIでは「研究が産業界のニーズとずれないようにしたい」と、関係機関との協議を重ねているということだが、具体的な活動が見えてこないというのも事実。世論調査では約4割が「期待している」と回答しているので、引き続き情報発信をしながら事業を進めてもらいたい。

(福島テレビ)

福島テレビ
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