HISが海外出張代行サービスを開始

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国と国の行き来が難しい状態が続いている。

現在も世界の多くの国で海外渡航を制限しており、日本も多くの国・地域からの入国拒否の措置を取っている。このような状況にあるため、海外への出張を控える企業は多いことだろう。

そうした中、大手旅行会社HISは法人企業向けに新たなサービスの提供を始めた。

それが海外リモート出張代行サービス「レンタルHIS」で、同社が展開する世界70か国、海外163都市271拠点(2020年6月1日時点)の海外ネットワークを活用するという。

企業が出張先の海外で行う案件や業務を、HISの海外拠点スタッフが代行・サポートするもので、6月1日からサービスを開始した。

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一昔前に流行った墓参り代行や結婚式出席代行といったものなら誰でもできそうだが、企業に代わり出張先での業務を行うことはビジネスのスキルも必要となってくるはず。

HISのスタッフがどこまで業務の代行することはできるのか? そして、既に日本の企業から問い合わせはあるのか? HIS広報室に詳しく話を聞いてみた。

海外での事業展開が困難な状況に対応

――コロナ禍による旅行全体の影響はどれほどだった?

観光庁の発表で、出国者数・訪日外客数が発表されております。

3月の訪日外客数は、193,700人(前年同月比93%減)、出国日本人数は272,697人で(同85.9%減)。4月の訪日外客数は、2,900人(同99.9%減)、出国日本人数は3,900人で同99.8%減。

こちらでわかる様に、コロナ禍の影響により多くの国において海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られていることや、 日本においても検疫強化、査証の無効化等の措置の対象国が拡大されていることから、双方向による行き来が停止している状況です。


――レンタルHIS、なぜ始めることにした?

コロナ渦の影響に伴い、世界各地で国境閉鎖や出国制限措置により航空便の減便や運航停止などから、海外出張を控えざるを得ず、海外での事業展開が困難な状況が世界規模で続いています。

また、国内外で現在リモートによる業務が推奨されておりますが、リモートワークでは実施が難しい「営業代行」「市場調査」「現地視察」といった業務を含めて、今ある海外ビジネスの継続や発展のためにはどうすれば良いのかの手段が求められていることから、企業のビジネスの機会損失を少しでも防ぎ、出張先で行う予定だった業務の代行、サポートしたいと思い、サービスをスタートさせていただきました。

営業代行、市場調査、現地視察などを代行

――レンタルHISではどんなことができる?

・自社商品の営業代行
・市場調査レポートやライブ中継
・現地視察
・輸出入代行スキームの構築
・サンプル買い付け・仕入れ
・オンライン商談のアレンジ
・現地取引先候補のリストアップ
・日本への各国の渡航制限の調査 などが一例としてございます。

――HISのスタッフにこれらのノウハウはあるの?

2015年より調査代行をはじめとする海外ビジネス支援の業務をスタートさせており、これまでに1300件以上のご依頼をいただいています。この実績を活かし、更に企業様のお役に立ちたいと感じています。

問い合わせのある企業は様々「間違いなくニーズはある」

――第三銀行や名古屋銀行、十六銀行との業務提携が決まっているとのことだが、どんなことをする?

以前から金融機関との連携は強めており、金融機関のクライアント様の海外に於ける業務サポートを弊社現地法人のリソースを活用し行っています。


――他に、問い合わせはどれくらいある?

既に数件問い合わせをいただいています。お問い合わせいただく業種は様々ですが、直近では製造メーカーからの問い合わせが増えており、間違いなくニーズはあると感じています。

「観光のニューノーマル」に適応すべく始動

――このサービスは、新しい働き方の1つになりそう?

日系企業の海外事業の継続・拡大を支援し、ニューノーマルな海外ビジネスを提案していきたいと考えています。


――まだまだツアーの催行中止が続くが、夏休みに向けて海外旅行の対策は?

HISの全世界の支店において新型コロナウイルスの対策は始めており、2008年に設立した「いい旅研究室」と連携し「観光のニューノーマル」に適応すべく、すでに始動しています。

新しい衛生基準での車両クリーニング、従業員スタッフへのヘルススクリーニングの実施、
収容施設の人数制限など行う予定です。
 

HISでは、各地域の主要店舗とコールセンター、オンライン予約サポートセンターで営業を再開しているものの、多くの店舗で休業状態が続いている。海外旅行におけるパッケージツアーは、アジア、ハワイ、グアム他ミクロネシア方面は7月15日 日本出発分まで、それ以外の国と地域は7月31日 日本出発分までは催行中止となっている。

プライベートな旅行は状況を見極めながらになるが、一方で、経済活動は維持していかねばならない。そうした中で、日本の企業が海外ビジネスする際、海外出張代行サービスを使うのもウィズコロナ、アフターコロナの中の新しい働き方の1つになるかもしれない。
 

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プライムオンライン編集部
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