仕事を辞めたいけど、会社に直接言えないという人に代わって、会社側に意思を伝える“退職代行サービス”。ブラック企業やパワハラに悩む人たちからの需要があり、ここ数年、急速に退職代行業者は増えている。

この退職代行サービス、実は新型コロナウイルスの影響で利用者が増えているという。
北海道、愛知に次いで、感染者の多い大阪で退職代行サービスを行う「退職代行Jobs」に話を聞いたところ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、会社からの指示でテレワークや自宅待機する人が辞めるケースが多いという。

一体、どういうことなのか?退職代行Jobsで年間約1000件の退職代行を行う責任者の佐藤さんに詳しく話を聞いてみた。

なぜ自分で言わない?

――そもそも退職代行はどのように行われる?

利用者の方からLINE、メール、電話などで問い合わせいただいた後、利用者の方とコンタクトを取って、会社を辞めたい理由や不安な点、会社の連絡先などヒアリングします。

その後、我々から会社に“利用者が退職したいという意思”や“本人から郵送される退職届の手続きのお願い”などをお伝えして退職代行を行っていきます。

――利用者は、なぜ自分で会社に言わず、退職代行を頼む?

大きく三つのパターンに分けられます。
一つ目は、いわゆるパワハラに対する脅威です。普段から高圧的な上司に対して、言い出せないとう状況です。

二つ目は、何度も引き止めにあっていて、ご本人様の中では、もう何度言っても無理だ、という心境になっているケースです。退職代行というサービスの是非はよく問われるところですが、これらのケースに遭遇された方には、ご利用いただく意味は大きいと思っています。

三つめは、ご本人様の中で言い出した後のことを想像して、「自分からは言い出したくない」と感じているパターンです。

一つ目や二つ目のような結果を想像されています。正直、企業の方と話してみて、「普通に退職できたのでは」と感じることもあります。

「例年に比べ、2月3月は2割程度増えています」

――新型コロナの影響で本当に、退職代行の利用者は増えている?

爆発的に増えているわけではありませんが、前よりは増えている印象はあります。例年に比べ、2月3月は2割程度増えています。

――実際、どんなケースで退職している?

元々辞めたい気持ちを持っていた人が、テレワーク自宅待機になったことをきっかけに辞めています。

退職する人の中には、突然会社に行かなくなるケースが多いんです。もちろん、彼らはいきなり行かなくなることで職場に迷惑をかけるので、後ろめたさを感じています。

しかし、自宅待機ということで、いきなり会社に行かなくなるものに比べて後ろめたさが軽減され、退職が言いやすくなっているのではないでしょうか?

社員雇用する派遣会社や介護職の人が辞めるケースも

――他にはどんなケースがある?

社員雇用する派遣会社で働く方が辞めるケースもあります。派遣会社の正社員として他の企業へ勤務する方々です。

例えば、土木などの肉体労働されている方、彼の場合、派遣先の企業がないため、所属する会社で事務処理することになり、自分には合わないので辞めたいということでした。

今、コロナの影響で派遣先の企業が減っているため、派遣先の企業に行けず、所属する会社で自分に合わない仕事をしている。そういったケースで辞められる方もいらっしゃいます。

――退職する人が多い職種は?

最近、介護系の職種で辞める人が増えています。
名古屋市の介護施設での集団感染や兵庫県でデイケアを利用した方が亡くなったことなどがニュースで取り上げられています。この影響もあるのかもしれません。
「このご時世ですので…」と言って退職代行を頼まれる方もいらっしゃいました。

――「コロナ感染拡大地域への出張」といった会社のパワハラで辞める人はいた?

もしかしたら、潜在的にあるのかもしれませんが、直接そういった意見を聞いたことはありません。

――辞める人の共通点は

潜在的に辞めたいという思いがあった人たちで、今回の新型コロナウイルスの影響が一つのきっかけになったのではないでしょうか。



退職代行を依頼する人は、元々会社を辞めたいと考えている人が多いそうで、今回の新型コロナウイルスの影響による仕事減など経済的な問題もあるが、「テレワーク、自宅待機」でいきなり辞めることの後ろめたさが減り、結果として彼らの背中を押している現状もあるようだ。


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