大打撃の観光業…創業190年の老舗旅館が「新しいおもてなし」で営業を再開

新型コロナウイルスの影響で、国内有数の観光地として知られる三重県鳥羽市も、例外なく大きな打撃を受けた。

大型連休中に主な観光施設を訪れた客と宿泊者の数は、前年比でマイナス96%とマイナス99.5%、そんな中、老舗旅館の戸田家が、22日から週末限定で営業を再開した。新型コロナの感染を防ぐための「新しいおもてなし」のスタイルとは?

離島の島々をのぞめる、伊勢志摩の玄関口「鳥羽湾」。

その景色を一望できる「戸田家」は、創業190年の老舗旅館だ。

新型コロナウイルス感染拡大のため、4月20日から休業を余儀なくされていたが、5月22日、約1か月ぶりに営業を再開した。

戸田家の支配人:
今日から改めて営業再開ということになります

さっそく朝早くから感染拡大を防ぐための会議が開かれ、そこで示されたのが。

戸田家の寺田社長:
今日は新しいスタイルの中で、接遇様式で進めていただかなければならないだろうなと考えております

老舗旅館が始める、「新しいおもてなし」。人が最も密集するロビーでは、間隔をあけてテーブルに座れるよう、目印を。受付では、飛沫感染の防ぐためアクリル板で区切ったほか、客全員に消毒や検温などを行うことに。さらに…。

受付担当の従業員:
本来でしたら、なるべくお客様とお話をしながらご案内ができればいいですけれども、なるべく密接を避けるために、部屋案内をなくしました

従業員が客室まで案内するという、これまで通りの接客では「密」となる。そのためしばらくは、口頭で客室までのルートを説明する方法に変えた。

それでも宿泊客が迷わないよう、館内の至るところに従業員を配置することにしている。密を避けるための、「新しいおもてなし」だ。

「お客さまの笑顔を見たい」…期待と不安の中で営業を再開

再開に向けた準備で大忙し。

男性スタッフ:
ずっと不安だったので、お客さんの姿を見ると、やっぱり安心感がある、嬉しいですね

女性スタッフ:
やっぱりお掃除自体が楽しいし、楽しい気持ちで、再開にあたって仕事させていただいています

お客さまの笑顔を早く見たい、スタッフの思いは一つ。

阿竹節さん、81歳。ロビーや部屋を飾る生け花の手入れを、20年以上にわたって担当してきた。

宿泊客を招き入れるロビーに飾ったのは「ひまわり」だ。

阿竹さん:
ひまわりのように明るく元気になるようにと思いまして、お迎えの花をさせていただきました。ようやくきょうから再開させていただいて、嬉しく思っております

創業以来「初」となった休業。これまでで失った売上は、10億円にもなる。

期待と不安の中、ついに営業が再開。チェックイン開始の午後3時。次々と宿泊客が訪れた。アルコール消毒と検温をして、受付に案内する。

宿泊客の夫婦:
赤ちゃんができて初めての旅行だったので。懐石料理と聞いたんですけど、実際どんなのが出てくるか楽しみではあります

受付の従業員:
いま南館の1階、フロントでございまして、お部屋が嬉春亭の9階になります

三重県菰野町から来た夫婦。戸田家に来るのは初めてです。無事、9階の客室まで到着できた。

県内旅行なら、との思いで決めた旅行。この後は懐石料理が待っている。

奥さん:
(電話を受けた後)夕食は隣(の部屋)、飲み物は時間の前にまた電話しますと。ふつうやったら聞きに来るけどね。(新しいおもてなしは)気にならない、これでいいです。あまり接触しない方がいい

旦那さん:
あんまり中途半端に(客室まで)送ってもらうよりは、鍵だけもらって(客室まで)行ったほうが気楽でいい

新しいおもてなし、評判は上々のようだ。

戸田家の寺田社長:
できるだけ接客の距離をおこう、接客する時間もできるだけ少なくしようと。少しずつ新しいやり方を考案しながら進めていきたい。来たお客さまに感謝をもって、喜んで帰っていただいて、『鳥羽がいいね、旅館は戸田家がいいね』と、また来ていただければなと、そんな思いがさらに強くなったというのが、今の気持ちですね

戸田家は当面は週末だけの営業となるが、6月4日から平日も含めて全面的に営業を再開する。

(東海テレビ)