2022年の年末に一時的に注意が呼びかけられた、磐梯山(福島県)の火山活動。その要因にあるのが「火山性地震」 2023年に入り減少傾向となり、火山活動が活発化する様子は確認されていないが、専門家は引き続き注意が必要と話す。

火山性地震とは

火山性地震とは、地下のマグマの移動など、火山活動によって発生する地震のこと。

火山活動により発生する地震
火山活動により発生する地震
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磐梯山では、2022年12月27日から火山性地震の回数が増え、28日には速報値で観測史上最多の780回に達した。そのため仙台管区気象台は、噴火警戒レベルを現在の「1」の「活火山であることに留意」から「2」の「火山周辺規制」に引き上げる”可能性がある”と注意を呼びかけた。
その後は426回、160回、12回と減少傾向に転じ、2023年に入ってからは4日の1回だけと火山活動が活発化する様子は確認されていない。

磐梯山の火山性地震回数(12月27日~1月6日)
磐梯山の火山性地震回数(12月27日~1月6日)

専門家が感じた”違い”

地元の専門家は「長い目で火山と付き合う必要がある」引き続き注意を呼び掛けている。
長年にわたり磐梯山を見守り続けている、磐梯山噴火記念館の佐藤公館長。
今回の火山性地震を「かなり驚いた」と話す一方で、これまでとの違いも感じていた。

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長
磐梯山噴火記念館・佐藤公館長

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
2000年の時は、実は400回くらい火山性地震が発生して。そのときは火山性微動も起きていたので、私たちは本当に危険な状態だと思いました。今回はその微動がきていないので、回数は多いけども今すぐ噴火するのかどうなのか、ちょっとその辺はわからないなと見ていました

「前回は危険だと思ったが…」
「前回は危険だと思ったが…」

磐梯山 過去には入山規制も

1888年の噴火で477人が犠牲になった磐梯山。

1888年の噴火では477人が犠牲に
1888年の噴火では477人が犠牲に

最近では、2000年8月に「小規模な水蒸気爆発の可能性も否定できない」として入山規制が行われた。この時は、一日400回以上の火山性地震だけでなく、マグマの移動などにより継続時間の長い振動が起こる「火山性微動」も観測されていた。

2000年8月には入山規制
2000年8月には入山規制

2022年の年末からの活動についても「火山性地震」だけでなく「火山性微動」なども観測されていれば、噴火警戒レベルが初めて「2」に引き上げられた可能性がある。

警戒レベルが引き上げられた可能性も
警戒レベルが引き上げられた可能性も

冬は融雪型火山泥流の危険性も

特に注意が必要なのは“冬”の時期。
万が一の噴火の際には、積もった雪が一気に溶け、大量の泥流が麓に流れ下る「融雪型火山泥流」と呼ばれる現象が起こる可能性がある。

冬は融雪型火山泥流の危険
冬は融雪型火山泥流の危険

「ハザードマップ」では、猪苗代湖まで達するとされていて、広範囲に深刻な被害が及ぶと想定されている。

融雪型火山泥流は猪苗代湖まで
融雪型火山泥流は猪苗代湖まで

実験で被害想定を確認

それでは今回震源と推定された、山頂から北西に2キロ・深さ2キロの地点で噴火が起きた場合、どのような被害が想定されるのか?
「融雪型火山泥流」に見立てた液体を流して、実験した。

震源と推定された地点で噴火が起きたら
震源と推定された地点で噴火が起きたら

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
泥流ですから、水を含んでいます。低い方を目指しますから、谷を沿って流れていきますので、こういった方角に流れ下るわけです

泥流は低い方を目指す
泥流は低い方を目指す

今回の場合は、泥流はより標高が低い北塩原村の方へ。

より標高が低い方へ
より標高が低い方へ

しかし、地震の震源から必ずしも噴火するとは限らず、マグマの状況などでは違う被害となるケースも十分考えられるため、改めてハザードマップの確認が大切になる。

噴火の場所・マグマの状況で変わる
噴火の場所・マグマの状況で変わる

専門家は注意を呼びかけ

また佐藤館長は、引き続き注意を払う必要があると呼びかけている。
磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
人間の感覚で言うと「もう落ち着いたからいいよね」と思いがちですが、火山の時間で考えたら数日なんていうのは、ほんの数秒みたいなものなのです

落ち着いたからいいと思わないで
落ち着いたからいいと思わないで

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
ですからこういった状態があとどのくらい続くのか、注意深く見ておくことが、私たち人間が火山との付き合い方としてはとても大切だと思っています

状況の注視を
状況の注視を

磐梯山の想定火口周辺に4つのスキー場

さらに磐梯山の場合、想定火口の周辺に複数のスキー場があるため、影響は観光客にも広がることになる。磐梯山の場合、想定される火口エリアから1キロの範囲で立ち入りが規制されることになっていて、このエリアには現在4つのスキー場が営業している。

火口エリアから1キロにはスキー場
火口エリアから1キロにはスキー場

仮に噴火警戒レベルが「2」に引き上げられた場合、福島県や市町村はスキー客などの避難誘導や、山道・道路の閉鎖などを行うことになっている。

「噴火レベル2」県・自治体の対応
「噴火レベル2」県・自治体の対応

義務付けられる避難確保計画

またスキー場については、利用者の安全を守るための「避難確保計画」の作成が義務付けられている。磐梯山の4つのスキー場は、すでに作成が完了しているが、磐梯山・安達太良山・吾妻山の対象となっている13の施設のうち9施設は作成途中だという。福島県は早期の作成に向けてアドバイスなどを行っていく方針。

利用者の安全を守るための避難確保計画
利用者の安全を守るための避難確保計画

(福島テレビ)