休校3カ月は「失われた時間」ではない

仙台市など、宮城県内の多くの学校6月から授業を再開する。
新型コロナウイルスの影響で、異例ずくめとなった2020年の新学期。
再開する学校生活に向けてどんな点に注意すべきか、専門家に話を聞いた。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
私は、子どもの力というか、それを信じたいと思っています

児童教育にくわしい、宮城学院女子大学の磯部裕子教授。

東日本大震災の被災地で幼児教育の支援を続けている磯部教授は、臨時休校となった3カ月間は、子どもたちにとって「失われた時間」ではないと強調する。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
学校に行けなかったり、幼稚園・保育園に行けなかったということはあったと思うのですけど、その全てがマイナスとは思いません。
子どもたちは今の生活の中でも確実に学んでいること、経験していることをプラスにしていく力はあると思いますので、そこは子どもの持っている力を信じたいなと思っています

“感染”の怖さ 体験から防ぎ方を学んで

一方で、学校再開に伴い、子どもたちの感染リスクを懸念する声もある。
磯部教授は、子どもたちが危険性を学ぶための準備が必要だと指摘する。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
例えば公園で遊んでいても、学校や幼稚園で遊んでいても、全くケガをしないとか、全く危なくない環境を用意するのは難しい。いろいろなものがある中で、子どもなりに危険を回避しながら遊ぶ。どうやったらケガをしないかなとか、子どもが体験しながら学んでいくことなので。
そういう意味では、コロナは確かに怖いけれども、どうやったら防げるかということをちゃんと学んで、自分で準備していくことができるようにしていければいいのかなと思います

新1年生には「楽しさ伝えて」初めての学校生活へ

こうした中、初めての学校生活を迎えるのが小学校の新1年生。
磯部教授は保護者に対し、子どもに学校での注意点よりも楽しさを伝えてほしいと話す。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
学校ではこんなふうにちゃんとやらなきゃダメだよとか、頑張らなきゃいけないよとかってしていくのではなくて、『学校には楽しいことがいっぱい待ってるよ』ということを伝えていくことではないかなと思います

大切なことは「学習の遅れ」よりも「生活リズム」

一方、2年生以上の保護者が気になるのは、学習の遅れについて。
これに対して、磯部教授は、学習よりも学校生活のリズムを取り戻すことが大切だと言う。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
親御さんとしてみれば、この3カ月止まった学びを一刻も早く取り戻そうと思われるかもしれませんけれども、そうではなくて、学校生活の中で緩やかに元に戻していくことが優先されるべきと私は思います

度重なる延期により、約2カ月遅れで始まる新学期。
磯部教授は、震災後の被災地と同じように、不登校や休みがちな子どもが増える恐れがあるとした上で、日常を取り戻すまでは、保護者がゆっくり見守ることが必要だと助言する。

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
(保護者に必要なのは)ゆっくり子どもたちを見守ることだと思うんですね。3カ月、家でずっと過ごしていたわけですから、朝早く起きて、時間までに準備をして、出かけるということだけでも、ハードルがあります

宮城学院女子大学 磯部裕子教授:
私たち大人も今まで経験したことのない、いろんなストレスを抱えていますね。子どもたちも同じだと思う。ですから、すぐには3カ月前に戻れないと思いますけれど、そこはゆっくり見守りながら、少しずつ学校生活、あるいは幼稚園・保育園の生活に戻していくこと(が必要)かなと思います。『早く早く』とか、言わないということでしょうかね

(仙台放送)