新型コロナの影響で通販を始めるもノウハウがない…

緊急事態宣言が解除されたが、今だ外出自粛の動きが続いている。
飲食店にとって苦しい状況の中、インターネット通販に取り組む店が増えているが、難しさもあるようだ。老舗や新しい店の通販への挑戦とそれを支える取り組みを取材した。

新潟県内が緊急事態宣言の対象から外れ、初めての日曜日となった17日。県の休業要請も全て解除されているが、街の賑わいは戻っていない。

新潟市中央区の本町通り商店街に隣接し店を構える「うどん屋キツネ」。

うどん屋キツネ 中島淳店長:
かけつゆの方をこだわって作らせてもらっているが、いろんなところから鰹節とか炒り子だったり揃えさせていただいている

4種類の鰹節を使ったつゆと弾力の強い麺でこだわりのうどんを提供する店だが…

うどん屋キツネ 中島淳店長:
売り上げは2月と比べ40~50%減だと思う

ーー今のような状況になるのは予想していた?

うどん屋キツネ 中島淳店長:
それはさすがに全くわからなかった

苦笑いを浮かべる店長の中嶋淳さん。実は前職の営業の仕事を辞め、今年2月にこの店の経営を始めたばかりだ。その直後の2月29日に県内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された。

軌道に乗り始めていた店は間もなく客足が減り、今も営業時間の短縮を余儀なくされている。

うどん屋キツネ 中島淳店長:
結構何回も来てくれるお客さんとかもいて、固定のお客さんとか常連さんもできてきたところだったんで…

それでも念願叶って持つことができた自分の店を続けるため、中嶋さんが取り組むことに決めたのがインターネット通販。しかし、元々全く頭になかった通販。難しさもある。

うどん屋キツネ 中島淳店長:
これが生麺ですね。こちらが店で一回ゆでた麺を凍らせたものです

こだわりの麺を冷凍し送ることを考えているが、生めんのまま冷凍するのか、一度茹でたものを再び冷凍するのか決めかねている。

うどん屋キツネ 中島淳店長:
生麺のほうを冷凍した方が味はいい。その代わり、届いてから茹でる時間がちょっとかかっちゃう

ーーお客さんのほうでかかる手間をとるのか、味をとるのか?

うどん屋キツネ 中島淳店長:
そうですね

さらに悩みは商品そのものだけでなく。

うどん屋キツネ 中島淳店長:
通販になると、届いた時のインパクトとか見た目も出てくると思うので

パッケージに使いたいデザインのイメージはあるものの箱にするのか包装紙にするのかなどノウハウがない。

ーーそう思うと、色々考えることってやっぱり通販となるとありますね?

うどん屋キツネ 中島淳店長:
そうですね

悩みを抱える飲食店の支援に乗り出した企業

こうした悩みを抱える飲食店の支援に乗り出した企業が新潟市にある。新潟市西区の「クーネルワーク」。県産品を集めたインターネット通販サイト「新潟直送計画」を運営している。400店以上が出店するこのサイトだが、今、大きな変化が現れていた。

クーネルワーク 谷俊介社長:
3月、4月で150~200%くらいの流通額の伸びがあるので、需要は高まっていますね

外出自粛により需要が高まる通販を通し、苦しむ飲食店を支えられるのではないか。そこで、クーネルワークは新潟直送計画への飲食店の出店料や出品料を無償にする支援策を始めた。

商品の企画やパッケージについてなど通販のノウハウも提供していて、うどん屋キツネも支援を受け、相談を重ねながら通販に向けた備を進めている。

クーネルワーク 谷俊介社長:
多種多様な個性豊かな飲食店がたくさんあるというのは新潟県の魅力の一つだと思うし、それを守りたいというのもあるし、そこの力になれたらいいなと思っています

三条市に店を構える割烹料亭「遊亀楼魚兵」もクーネルワークの支援を受ける飲食店の一つだ。明治元年に創業し、150年以上に渡り地域で親しまれてきたが、そんな老舗も苦境に立たされている。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
お座敷の予約が全くない状況なので売上自体は70%減ですね

店舗営業の休止も余儀なくされる中、テイクアウトに加え通販に取り組むことにした。一足早く支援を申し込んだ魚兵では通販に出す商品も完成している。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
作るのに手間がかかってしまうようなものをパックさせていただきました。うちのお座敷で実際に出している料理

販売するのはこちら。鮭のみそ漬けや豚の角煮など、家でも本格的な料亭の味を楽しんでもらおうとこだわりの惣菜10品を詰め合わせた。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
手の込んだ料理が面倒くさいという方とか、買い物行くのも大変という方に使っていただければと思っています

商品作りと並行し通販サイトに欠かせないのが掲載する店の紹介文。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
お店についてとか、商品についての説明とか、作り手の紹介もどんな人が作ってるのかという私たちの自己紹介とかを書いてあります。結構時間がかかってこういうのが一番苦手なんですよね。

これまで店舗営業では必要なかった作業に労しながらも新たな挑戦をする裏には老舗としての強い思いがある。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
祖母は戦争を経験しているので、「その後どうやって商売していたの」っていうのを聞いたりして、「魚売り歩いていた」と聞いたのでやろうと思えば何でもできるんだなっていう。新型コロナのことも、戦争と比べれば大丈夫だろう

戦争も乗り越えてきた自慢の味を絶やしてはいけない。そして、試行錯誤の末、新潟直送計画の魚兵の商品ページが完成した。

「伝統を受け継ぎながら、日々新しいことに挑戦し、積み上げてきた歴史を日本料理で表現しています」

頭を悩ませた店の紹介文もクーネルワークの校正を受けながら無事まとまった。ページの公開と販売は5月中に始まる予定だ。

現在、飲食店の営業は徐々に元の形に向かいつつあるが、新しい店にとっても、老舗にとっても、今通販に取り組むことは今後に向けて大きな意味があるという。

遊亀楼魚兵 梅沢久美子さん:
知っているお客さんだけだったのが、通販だと全国に広がっているわけで、尻に火が付くじゃないですけど、前向きですね

うどん屋キツネ 中島淳店長:
こういう状況になかったら、そういうことも頭になかったと思うので、逆にそれで新しい道が見えてきたのは面白い。

(NST新潟総合テレビ)