新型コロナウイルスの感染防止に欠かせないマスクだが、聴覚に障がいがある人たちは、このマスクで意思疎通が困難になる。
聴覚に障がいがある人たちにとって、口の動きや顔の表情というのは言葉を読み取るためにとても重要。
そこで今、聴覚支援学校の先生たちが子どもたちのためフェイスシールドを作っている。
宮城・仙台市太白区にある県立聴覚支援学校。
先生自らフェイスシールドを製作
機械システム科の実習助手・板垣昌悦さん:
実際作れそうなもので使えそうなもの、その折衷案を探して、これだったらみんなが納得してもらえるかなと
機械システム科の実習助手、板垣昌悦さん。6月からの学校再開に向け新型コロナウイルスの飛沫感染から子どもたちを守るため、フェイスシールドを製作している。
機械システム科の実習助手・板垣昌悦さん:
子どもたちが一番。子どもたちのために大人が何ができますか、わたしはこれを作ることができます。それで何かしら貢献できれば
ベースとなるヒノキの角材に、ラミネートフィルムを張りつけ、首にかけるフックには折り曲げが可能な配線用のケーブルを使用。
身長や体格の違う人でも使えるように工夫がされている。
口が見えないと会話が難しい
製作のきっかけは、高等部の主任を務める伊藤朝子先生の一言だった。
伊藤朝子先生:
聞き取りの授業見ていても、普段は普通に手話だけで話している生徒も口を隠しただけで、会話が成り立たなくなるのだと驚いた。口元が見えないというのは、聞こえないみんなにとって、壁になるんだなと感じていました
聴覚に障がいがある人たちにとって、手話や筆談のほか、口の動きや顔の表情は、コミュニケーションをとるうえでとても大事なこと。
自身も聴覚に障がいがある中等部担任の羽生薫先生もマスクにより口や顔が見えないことが、生徒との意思の疎通を難しくしていると感じている。
羽生薫先生:
手話も1人ひとり個性があり、表し方が違うので、子どもたちがそこまで覚えてコミュニケーションをとることがとても難しい。顔の表情が丸見えでコミュニケーション取ることが大きなポイント
座っている生徒のことも考え試行錯誤
初めは、一般的な頭に付ける形のフェイスシールドを製作した板垣さん。しかし、「飛沫が座っている生徒に飛ぶのでは」という意見から試行錯誤の末、首に掛けて下への飛沫を防ぐ形に改良した。
これまでに製作されたフェイスシールドは教職員用の約70個。
生徒が安心できる安全な学校にしたい
学校が再開となる6月1日には子どもたちに安心して笑顔で登校してもらいたいと話す。
機械システム科の実習助手・板垣昌悦さん:
早くみんな一緒に集まって勉強したい。みんなに会いたいその気持ちが一番だと思うんです。それをサポートしてあげるのが、これ(フェイスシールド)ならいいなと思う
伊藤朝子先生:
学校は楽しくて安心できる場所と思ってほしい。先生たちは顔が丸見えですよ、大丈夫ですよと見せたい
(仙台放送)