自民保守派“尖閣諸島を護る積極的行動を求める緊急提言”

5月19日午後、自民党保守系議員による「日本の尊厳と国益を護る会」の代表幹事の青山繁晴参院議員は、首相官邸を訪れ、安倍首相に宛てた「尖閣諸島を護るわが国の積極的行動を求める緊急提言」を岡田官房副長官に手渡した。

提言では、「5月8日には、中国海警局の船が我が国領海を侵犯したのみならず、操業中の我が国漁船を機関砲で武装した船舶で威嚇し追尾するという未だかつて無い重大な挙動に出た」と指摘した。その上で、「中国が挑発行為を永年にわたって繰り返してきた事実を断じて許してはならない」とし、以下の7項目の早期に実行するよう政府に求めた。

1.尖閣諸島と周辺海域に、石垣市と政府合同の海洋自然調査団を派遣し尖閣への上陸調査も含めて調査を行い国民に、報告する

2.尖閣周辺海域で米軍との合同軍事演習を実施する

3.尖閣諸島に漁業者の安全確保のため尖の船だまり(船を停泊させる場所)等を整備する

4.尖閣地域の海保・自衛隊による日常的な領土・領海警備活動の実施、海保巡視船の大型化やレーダー無効化など非殺傷新装備の配備

5.海難救助・気象観測・海上監視など目的とした「魚釣島測候所設置法(仮称)」の制定

6.中国による領海侵犯行為を英語版を含む映像で世界に向け即時発信

7.習近平国家主席の国賓来日検討を直ちにやめ、中国に通知

尖閣諸島

提言の1番目にあげた尖閣諸島への石垣市と政府合同の“海洋自然調査団”派遣について、青山氏は、「警察官を常駐させろ等、厳しい意見もいっぱい国民にはある」としながらも「まず自然調査を海中だけでなく上陸し石垣市と一緒にやってほしい」と政府に注文した。また「魚釣島測候所設置法」についても「すぐに(尖閣諸島に)測候所を作れということでなく、“法的な土台を作りましょう”ということだ」と解説した。

仮にこれらを実際に行えば中国の猛反発は必至であり、中国との関係も重視している今の安倍政権が実行に移す可能性はかなり低いが、青山氏はそれでも、今回の提言はあくまで抑制的な内容」だとの認識を示した。

WHO改革で青山氏が持論 2022年の事務局長選挙に日本人擁立を

一方、提言を提出した後に記者団の取材に応じた青山氏は、19日に開催されたWHO=世界保健機関の総会に、台湾のオブザーバー参加が中国の反対により認められなったことを受て、“WHO改革”についての持論を展開した。

「WHOはテドロス事務局長が途中辞任をしなくても2022年に事務局長選挙だ。当然、日本は立候補をさせないといけない。安倍政権と日本がそこに狙いを定めて事務局長を送り出すことが一番大事だ」

WHOテドロス事務局長

このように述べた青山氏は、中国の影響力が強く、機能不全に陥っているとも言われるWHOについて、「内部から変えることが大事だ」と指摘した。

WHOの事務局長選挙をめぐっては、実は2006年に、現在、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長を務める尾身茂氏を擁立したが、中国が推薦した香港出身のマーガレット・チャン氏に惜しくも敗れた経緯がある。青山氏はそのことを踏まえた上で、尾身氏も務めたWHO西太平洋地域事務局長を2019年から日本人の葛西健氏が務めていることに触れ、WHOの運営を担うことができる日本人の人材はたくさんいると指摘した。そして「安倍政権が事務局長を送り出すことこそが、一番現実的だ」と強調した。

米・トランプ大統領はテドロス事務局長に書簡 米中の対立激化

新型コロナウイルスの感染を抑えるべく世界各国が模索する中で、WHOを巡っては米中の対立が激化している。WHO総会が開かれた19日には、米国のトランプ大統領がテドロス事務局長宛てに、中国よりの姿勢を批判した上で、改善がなければWHOへの資金拠出の停止や加盟を考え直すなどと綴った書簡を送った。

また総会では、日本政府を代表して加藤厚労相が演説し、「台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を参考にすべき」と述べた。中国に配慮し、台湾へのオブザーバー参加を認めなかったWHOに苦言を呈した形だ。菅官房長官も19日の記者会見で、「台湾がオブザーバー参加できなかったことは残念だ」と強調した。

菅官房長官・19日

こうした中で、青山氏が提案したWHO事務局長選への日本人擁立案。新型コロナウイルスの対応と終息への道のりの長期化が予想される中で、WHO改革をめぐる日本政府の今後の対応に一層の注目が集まることになりそうだ。

(フジテレビ政治部・門脇 功樹)