新潟県民の安心と安全を守るために捜査で活躍した警察官の功績を称える「県民の警察官」。県内全域を見回り、事件の初動捜査にあたる機動捜査隊・長岡分駐隊長の前山忍警部補を取材した。
「いつも冷静」 経験豊富な警部補
部下に送る穏やかな視線。ただ、ひとたび事件が起きれば、すぐ現場に駆けつけて初動捜査にあたる縁の下の力持ちに。

機動捜査隊・長岡分駐隊長の前山忍警部補は、約30年にわたって刑事畑を歩み、中でも機動捜査隊として長く活躍してきた。
機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
重大事件が発生した際に、大量に警察官・刑事を派遣できるのが、機動捜査隊ではないのかなと思う

事件が発生したら、その初動捜査にあたる機動捜査隊。前山さんは経験の多さを武器に、2020年、夫婦が共謀して義理の母を殺害した事件など、数々の凶悪事件の初動捜査を担い、解決に導いてきた。

機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
被害者が未成年であれば、その保護者の対応とか、被害者に精神的負担を与えないようにするとか、そういうことに気を付けてやっていた

事件現場での経験が多い前山さんのことを後輩たちは「経験が多いからこそ冷静。見習いたい」と話す。
後輩隊員:
いつも冷静に周りのことをよく見ているので経験値が違うなと。そういうところは、やっぱり見習うべきだと思っている

街に溶け込んで行う警戒業務
県内での警戒業務などに日々奮闘する機動捜査隊だが、普段の生活で私たちが見かけることはほとんどない。その理由は…
機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
普段、制服は全く着ない。私たちの場合は、街に溶け込んで捜査をするので、私服で行っている

私服で捜査を行う機動捜査隊。確かに、一目見ただけでは気づかない。人混みにまぎれながら、この日行っていたのは、盗撮犯の警戒。

機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
盗撮は意外と被害に遭っても分からないので、そういう被害者を増やさないためにも
常に注意を払う機動捜査隊。そんな中でも前山さんは後輩とのコミュニケーションを大切にしている。

機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
食べ物の好き嫌いは、人の好き嫌いにつながると思う。そういうことを話の中でして、コミュニケーションを深めるというか

後輩隊員:
うわ~、唐揚げすごい量ですね
機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
ちょっと気合いを入れて食べないと

おいしそうにほおばる前山さんだが、昼食の時間であっても気が抜けないという。

機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
無線を聞いている。110番が入ると聞こえるので。事件があれば、ご飯をやめて、そっちに向かう
「仕事ができるのは妻のおかげ」
食事中でも出動することがある機動捜査隊。
機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
刑事になると、夜も呼び出しがあるが、私は酒を飲んで寝ているので、起こされても運転できない。そうすると、奥さんに署まで送ってきてもらう
前山さんにとって、家族と過ごすひとときは心が休まる時間。

前山警部補の妻 一美さん:
バレンタインデーになると、手作りのチョコレートを私があげて、主人が手作りのクッキーを返してくれる。毎年そんなパターン

高校時代の同級生だった一美さんと結婚して35年。

前山警部補の妻 一美さん:
「俺をあてにするな」と、「職場で死んでもいい」と言っていた。そういう気持ちがあるくらいの仕事をやっているんだなと思ったので、「私はそれを応援するしかないな」という感じだった

機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
ここまで生活できたのは、妻がいたから、仕事ができたと思っている

一美さんは刑事の妻として、家庭を守り続けていた。
前山警部補の妻 一美さん:
あんまり支えてきたという感覚がない。夫と妻というよりも「同志」という感じ

家族と歩んできた警察官人生も、2023年の春に卒業する。
機動捜査隊 長岡分駐隊長 前山忍 警部補:
警察官になるのだったら「刑事が一番いいよ」と、私は言うと思う。自分でここまでやってきて、途中で諦めずに来たので、「長く続ければ、いいこともあるだろう」と

(NST新潟総合テレビ)