2004年に発生した中越地震から18年。大きな被害を受けた新潟県長岡市山古志地区では、人口減少が深刻な問題となっている。こうした中、多くの人とつながることで、地域の未来を描こうとする若者たち「山古志ネクスト世代」の取り組みを取材した。

若い世代に引き継がれる思い

10月17日、長岡市山古志地区の交流施設「おらたる」。ラジオ番組の収録に臨んでいたのは、山古志地区の活性化に取り組む団体のメンバーたち。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
小さな山古志楽舎、代表をやっております長島忠史です。今年もやってきたよ!

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表
小さな山古志楽舎 長島忠史 代表
この記事の画像(19枚)

長島忠史さん(40)が代表を務める「小さな山古志楽舎」は2020年に発足。毎年10月23日に行われる「山古志の集い」の運営や山古志の魅力を紹介するイベントなどに取り組んでいる。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
復興が進められたころから、かっこいい先輩たちの姿を後ろからずっと見てきた。いい年になってきて、僕らも何かし始めようということで立ち上がった団体

2004年10月23日に発生した中越地震。

2004年10月23日 中越地震
2004年10月23日 中越地震

震度6強を観測し、地すべりの発生などにより集落が孤立したため、全村避難を余儀なくされた旧山古志村。

大きな被害を出した地域の復興には長島さんの親世代、当時の山古志を担っていた多くの住民が力を尽くしてきた。その姿勢を引き継ぐ「ネクスト世代」が、小さな山古志楽舎だ。

「貴重な静かさ」 離れて気付いた山古志の魅力

20代~40代のメンバー11人は、9月から10月にかけ、間近に迫った「山古志の集い」の準備に追われていた。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
次の、この地域に住む人たちに、どんな地域として渡せるのか、そういう話をしていきたい

長島さんが残したい山古志地区の魅力。農業を営む長島さんに同行した。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
畑とか山のある人しか来ないので、僕も農業をやるまで、こんな広いところがあるなんて知らなかった

長島さんの畑
長島さんの畑

県道を逸れて、数百メートル進むと急に視界が開けた。静寂の中、カグラナンバンを収穫するハサミの音だけが響く。

カグラナンバンを収穫する長島さん
カグラナンバンを収穫する長島さん

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
全村避難で1回外に出たら、静かなことが貴重だと気付いて「贅沢しているんだな」と思って暮らしている

人口減少や高齢化問題… 次世代へつなぐためのイベントを企画

こうした豊かな自然や静かな環境の一方で、山古志地区は深刻な人口減少に直面。地震前、2167人だった人口は6割以上少ない802人に。高齢化率も56%にまで上がっている。

山古志地区の存続へ。長島さんたちは9月に山古志の集いに合わせた新たな企画を考える会議を開催。そこには山古志地区を離れた人たちも参加していた。

旧長岡市地域に住む 小川卓さん:
山古志の子どもが少なくなってピンチだということで、自分でも何かできることがあるんじゃないかと

横浜市に住む 星野寿樹さん:
山古志を離れて18年経って、寂しいというか、どうなっちゃうんだろうという気持ちがどんどん強くなっている

横浜市に住む 星野寿樹さん
横浜市に住む 星野寿樹さん

2023年以降も続けられる企画を総勢13人で議論した。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
その日来れば、誰かに会えるみたいな

参加者:
多世代同窓会みたいな

参加者:
体育館の中にイスや座布団を置いて座ってゆっくりできるようにする

参加者:
23日に合わせる必要ある?例えば22日にやって、ここに来た人はあしたもとか

約4時間に及ぶ議論の結果、「小さな山古志サミット」と題したイベントの開催が決定。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
今まで、あまり「山古志をどうしていきたい」とか話したことはなかったけど、そういう前向きな話をもっとしていける関係性を築けるのかなと思っている

30代・40代を中心に山古志地区の出身者など、約30人が集まり、10月22日に懇親会を開くことになった。

小さな山古志楽舎 長島忠史 代表:
より多くの人に関わってもらって、より多くの人に現状の山古志、そして僕たちの思いを知ってもらって、そういうつながりから、これからの山古志を描いていきたい

山古志ネクスト世代は小さな一歩でも積み重ね、地域の未来を見つめていく。

(NST新潟総合テレビ)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(19枚)
NST新潟総合テレビ
NST新潟総合テレビ

新潟の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。