ダウン症の息子を持つ、大分市の伊美鮎美さん。息子が生まれたばかりのころは、成長や将来に対して不安を感じることがあったという。
そんな時に救われたのは、ダウン症の子どもを持つ母親たちとの交流だった。自分と同じように「交流を前を向くきっかけにしてほしい」と取り組む伊美さんに、話を聞いた。
「家族みんなを明るくしてくれる」大手術を経験も…今では元気いっぱい

ニコニコと笑顔を浮かべるのは、大分市に住む伊美綾乃佑(あやのすけ)くん(2)。3人兄姉の末っ子で、伊美家のムードメーカーだ。
綾乃佑くんの母 伊美鮎美さん:
とても笑顔がよく出る子どもで、家族みんなを明るくしてくれる存在

綾乃佑くんは、生後1ヵ月の時にダウン症と診断された。
ダウン症とは、染色体の数が1本多く、発達に遅れが出るなどと言われている。また、心臓に疾患などを伴うことも多く、綾乃佑くんも生まれた際、心臓に3つの穴が開いていて大きな手術を経験した。

今では元気に成長している綾乃佑くん。この日は母親の鮎美さんと一緒に、大分市で開かれたワークショップに参加した。
対象は、障害や難病を抱えている子どもとその家族たちだ。音楽に合わせて体を動かしたり、手話に挑戦したり。感覚遊びを通して、子どもの発達を促す方法などを学んだ。
伊美鮎美さん:
感覚遊びの体験のところで、五感をフルに使うというか、今後の療育とかにもとても役立ちそうだなと思った
さらにプロの写真家が家族写真の撮影をしてくれるなど、参加者にとって思い出に残る1日となったようだ。
不安だった毎日 救われたのがインスタグラムの発信
息子の成長を日々実感しているという母親の鮎美さんだが、生まれたばかりのころは不安を感じていたと言う。
伊美鮎美さん:
この子は一体、どういう子になるんだろうとか、学校に行けるのかなとか。将来、働くのかな、働けるのかなみたいな。しゃべれるのかな、とか。何もわからないので、そういった不安に襲われることはあった

そんな鮎美さんが救われたと話すのが、ダウン症の子どもを持つ母親たちがSNS上で発信する、それぞれの日々の生活だ。
伊美鮎美さん:
インスタグラムの中で、ダウン症の子どもを育てているお母さんたちが、たくさん我が子の写真をアップしていたりとかして。みんなそれぞれ色んな疾患を抱えながらも、毎日笑顔で過ごしているというのを見て、本当に勇気づけられた

鮎美さんも現在、ダウン症の子どもを持つ母親たちの会に入り、交流を深めている。
そして、その会のメンバーが中心となり、「おしゃべり広場」と題した交流会を定期的に開くことになった。第1回は11月に開催される予定だ。
鮎美さんもダウン症で悩んでいる母親たちに、同じような環境の家族と交流することで、前を向くきっかけにして欲しいと話す。
伊美鮎美さん:
障害ということについては個性というか、みんなそれぞれ違っていいんだなっていうのを思った。最初は不安かもしれないけど絶対親ばかになりますよって。我が子の虜になると思う
1人で悩まないための取り組みを
ダウン症の子供を持つ家族を繋ぐアイテムとして「ファインドミーマーク」というキーホルダーがある。これをつけている人は、同じようにダウン症の子がいる家族だから、ぜひ声をかけて欲しいという意思表示だという。
1人で悩まない、悩ませないための取り組みが広がっている。
(テレビ大分)