中越地震から18年。復興が進む新潟県長岡市山古志地区で、地域を見つめ直して未来へつなぐ取り組みを取材した。

「地震から立ち上がった山古志を知ってほしい」

山古志地区木篭に保存されているのは、土砂崩れで川がせき止められ水没した家。これは2004年に発生した中越地震の記憶や教訓を伝える震災遺構だ。

中越地震で水没した家屋
中越地震で水没した家屋
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震災遺構を見た人:
年月が過ぎると、記憶が薄れる

山古志地区の情報発信や交流を目的とした施設「やまこし復興交流館おらたる」では、中越地震の記憶を伝えようと、復興の歩みを写真などで展示している。

やまこし復興交流館 おらたる
やまこし復興交流館 おらたる

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
中越地震を伝えるメモリアルがなければ、いつどこで何があったか分からなくなる。中越地震から立ち上がった山古志を知ってもらうためにも、おらたるは必要

おらたるアドバイザー 小池裕子さん
おらたるアドバイザー 小池裕子さん

おらたるで運営アドバイザーを務める小池裕子さんは18年前、長岡市の自宅で2人の子どもと中越地震を経験した。

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
私は子どもが小さいとき、風呂場で被災した

自分の経験も踏まえ、その記憶が多くの人に役立つと考える小池さんは、復興が進む山古志地区に過去とは違う価値を見ている。

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
住民が気付いていない、山古志ブランドを見せる

“究極”を目指ざして 地産ヨモギで笹団子づくり

7月、山古志地区に暮らす星野光夫さんが持ってきたのは、採れたばかりのヨモギ。

星野光夫さん:
きょうは良いヨモギが採れた

個人が草餅に入れるために採る程度で、雑草扱いだった山古志地区のヨモギ。小池さんはそのヨモギを地域の協力を得ながら集め、おらたるの食品加工施設で加工・販売する事業を立ち上げた。

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
ヨモギを洗浄して、ゆでて。冷凍や乾燥をさせて袋詰めにして、長岡市内の和菓子店に出荷している

山古志のヨモギを加工・販売
山古志のヨモギを加工・販売

その事業に協力するのが、長岡市の老舗和菓子店「江口だんご」。厳選した材料を使い、滑らかでほど良いコシが特長の笹団子を販売している。

江口だんご 江口太郎さん:
山古志産のヨモギと希少な大正餅という餅米を使って、プレミアムな笹団子を作る

江口だんご4代目 江口太郎さん
江口だんご4代目 江口太郎さん

4代目の江口太郎さんは、おらたるで収穫した150kgのヨモギ全てを買い取り、特別な笹団子「里宮大正餅 笹だんご」に使おうと試作を繰り返している。

香りと味が濃いヨモギと、希少な大正餅で作る
香りと味が濃いヨモギと、希少な大正餅で作る

江口だんご 江口太郎さん:
山古志産のヨモギは香りや味が濃い。清らかな大地で育ったヨモギの良さがそのまま出ている

新潟の名産品だからこそ、究極を目指す笹団子。試作は3カ月ほど続いている。

高齢化進み…新たな名物が地域の光に

春から初夏にかけてヨモギを収穫していた星野さん。中越地震から18年を迎える山古志地区の変化をこう話す。

星野光夫さん:
若い世代が中越地震後に山古志地区を離れた。高齢化が進んで、人口は3分の1くらいになった

だからこそ、山古志産のヨモギを使った新たな名物の開発には期待を寄せている。

星野光夫さん:
うれしいこと。お金になる

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
利益は住民・地域に還元する。この場所を保つために

笹団子の試食会
笹団子の試食会

そして10月17日、江口さんが試作した山古志産のヨモギが入った笹団子の試食会が開かれた。

星野光夫さん:
山古志のヨモギが入っているので、一段とおいしく感じる

最高の笹団子を目指すため、商品化はもう少し先。

江口だんご 江口太郎さん:
楽しみにしているお客さまに、山古志のすばらしさを笹団子と一緒に伝えたい

江口だんご 江口太郎さん
江口だんご 江口太郎さん

中越地震から18年。山古志地区に眠る宝を探して…。

おらたるアドバイザー 小池裕子さん:
まだまだ、やれることはある

復興した大地の恵みが、地域を未来へ導く。

(NST新潟総合テレビ)