管理が行き届かなくなり、閑散としていた公園。地域住民の努力とアイデアで、人気スポットとして蘇った場所が、新潟県十日町市にある。
ゴーカートも楽しめる!子どもたちに人気の公園 以前の姿は…
十日町市にある「桂公園こどもランド」。滑り台やブランコといった定番に加え、ソリ遊びができる場所や回転するジャングルジム、飛行機の形をした遊具など、10種類以上の遊具や遊び場が設置されている。

朝の公園は人影が少ないものの、カラフルな遊具にはサビや汚れは少なく、どれもピカピカだ。

この公園は、50年ほど前にオープンした交通公園が基礎となっている。土・日・祝日に利用できるゴーカートが大人気で、時には順番待ちになることもある。

子ども:
楽しかった
保護者:
ゴーカートもあり、子どもたちが楽しく遊べた

笑顔があふれる公園だが、9年ほど前の写真を見てみると、その様子が今とは違うのが分かる。遊具にはさび付きや汚れが目立ち、ブランコ周辺にはロープが張られ「使用禁止」の貼り紙があった。

訪れた人:
昔は人がいるイメージがなかった
訪れた人:
昔は遊具も寂れていて、公園としてやっていない感じだった
最初はトイレ掃除から… 公園眺めていた男性が一念発起、再生へ始動

管理する団体の高齢化などにより、施設や遊具はサビつき、雑草だらけで利用者が遠のいていたという。

そんな当時の公園の様子を、「経営する着物会社の窓から眺めていた」と話すのは、福原久八郎さん(66)だ。

福原久八郎さん:
毎日、毎日、公園の寂れている様子を窓から見ていた
少子化も進み、公園の存続自体が危ぶまれていた2015年。福原さんがまとめ役となり、公園についてのアンケート調査を実施した。

すると、「(昔は)ゴーカートもありにぎやかでした」「昔のように活気ある公園にしてほしい」といった、存続を望む多くの回答が…。
こうして、福原さんを中心に公園の再生が始まったのだった。

福原久八郎さん:
トイレ掃除はお金がかからないので、毎日やってみたのが最初の行動
その後、福原さんを事務局長に、公園を管理するNPO法人「桂公園こどもランド」を設立。

遊具の色を塗り替え、使われなくなっていたゴーカートを再生させた。

そうして少しずつお客さんが増え、公園が蘇った。
ゴーカートのコースには、福原さんたちのこんな思いも込められている。

福原久八郎さん:
ゴーカートのコースで少しずつ、子どもたちを“自然”に誘導する。人生につまずいたときに自然から学べることを、子どもたちに感じてほしい
「若い人がいないと成り立たない」 地元の高校生もお手伝い
福原さんは公園の人気を継続させるため、地域の高校生にボランティアスタッフとして活躍してもらおうと考えた。
遊具がいつもピカピカなのは、ゴーカートやバッテリーカーを動かす朝に、ボランティアのみんなで拭き掃除をしているからだ。

高校生ボランティア:
汚れていないほうが、みんな楽しく遊べる
高校生ボランティア:
たくさんの子どもに遊んでほしいなと思って、きれいになるように拭いている
また、ゴーカートの誘導をする高校生の姿も。

高校3年生の飯塚央二朗さんはこの日、先輩スタッフから、ゴーカートの操作方法を案内する接客を初めて任された。
高校3年生 飯塚央二朗さん:
今までは簡単な仕事だったけど、接客を任されたというのは、信頼されているのかなと思える

福原久八郎さん:
この公園は若い人たちがいないと成り立たない。99%頼りにしている
高校生ボランティア:
高校生とか地域の人が集まって、子どもや親子のためにやっているのは素敵だなと思う
「笑顔が一番」 遊具以外にも訪れた人を楽しませる工夫

公園の維持管理には、十日町市の助成金や寄付金などを充てているが、足りない分を福原さんが補填することもあったという。
福原久八郎さん:
お金では買えないもの。子ども、家族の笑顔が一番
そんな福原さんには目指しているものがあった。
福原久八郎さん:
田舎のディズニーランドを目指している
そう話す福原さん、園内にある木の上の方をよ~く見てみると…

子ども:
おばあちゃんみたい
子ども:
なんか目と鼻と口みたいな髭がある

公園内には隠れたオブジェが点在。福原さんは時々公園の飾りを変更して、お客さんが発見を楽しむ仕掛けを作っている。
福原久八郎さん:
偶然見つけて楽しんでもらう
訪れた人:
楽しかった。子どもと写真を撮ると、映えるなと思った
福原久八郎さん:
ここで遊んだ子どもたちが成長して都会で仕事をするか、田舎に戻ろうか、人生の分岐点に立ったとき、この公園の記憶でふるさとに傾いてくれるとうれしい

豊かな自然が魅力の公園に、努力とアイデアのスパイスを加えて、夢と希望の命が吹きこまれた。
(NST新潟総合テレビ)