安倍元首相の銃撃事件をきっかけに“世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界のつながり”が次々と明らかになっている。

7月28日に記者から答えを求められたのは、自民党の逢沢一郎衆院議員(68)だ。2018年、旧統一教会の友好団体が岡山市で主催したイベントに出席。来賓代表でスピーチをしていた。

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自民党 逢沢一郎議員:
(会場の)ジップアリーナがこんなに大勢の人でご来館の方で超満員になったのを、私、逢沢一郎は初めて、初めて拝見をいたしました。新記録であります!

このイベントが行われた時期は、岡山県内でも大きな被害が出た「西日本豪雨」の直後だった。

自民党 逢沢一郎議員:
(韓鶴子)総裁より、本当に高額な多額な心のこもったご奉仕を頂きましたこと。ご寄付を頂きましたこと。私からも心から厚く、感謝御礼を申し上げます!

旧統一教会の韓鶴子総裁の名前を挙げ、高額な寄付を頂いたと感謝の言葉を口にした。

旧統一教会の関連団体のイベントとの認識はあったのか。28日、記者の質問にこう答えた。

Q.旧統一教会の関連団体という認識は

自民党 逢沢一郎議員:
う~んとまぁ…案内状をもらって。復興ですからね、復興に関することだということだから、まぁ…参りましたけれども。け、経緯としてはそういうことですよね

Q.認識なさった上で参加したと

自民党 逢沢一郎議員:
う~~~ん…まぁ…どうだったかなぁ…3年、4年前のことですからね。十分記憶はしておりませんが。はい、よろしくお願いします

安倍元首相の国葬や追悼演説をめぐり、与野党が対立

こうした中で、9月27日に日本武道館で行われる安倍元首相の国葬。政府は7月28日、その準備を進めるため、葬儀実行幹事会の初会合を開いた。与野党の間では、この国葬や臨時国会での安倍元首相の追悼演説を巡って、激しい議論が交わされている。

28日午前に行われた衆議院の議院運営委員会の理事会。与党側は8月5日に安倍元首相の追悼演説を行うことを提案した。これに対し、立憲民主党など野党は「まずは国葬について、岸田総理が国会で説明すべきだ」と主張。結論は先送りとなった。

大きな火種は、自民党の甘利明前幹事長が行う方向で調整が進む、追悼演説の人選だ。演説に立つ人物を安倍元首相の盟友、甘利氏とするのは昭恵夫人の意向だという。しかし、甘利氏の追悼演説について、野党側は“慣例破りだ”などと反発している。

立憲民主党 長妻昭議員:
慣例っていうのがあると思いますので。仲がいいっていうだけで単純に追悼演説をするということでいいのかと

社民党の福島党首もこう批判する。

社民党 福島瑞穂党首:
弔辞をおやりになる前に、自らの政治とお金の問題について説明責任を尽くすべきだと考えます

人選がなぜこじれる?追悼演説の“慣例”とは

追悼演説の人選がなぜここまでこじれるのか。そもそも追悼演説は現職議員が死去した際に行われる。首相経験者が死去した場合は“慣例”として、野党第一党の党首や元首相が行うことになっている。これは党派を超えて哀悼の意を示すためとされている。

2000年の在職中に死去した、小渕恵三元首相の追悼演説は、社民党の村山富市元首相が行った。1988年の三木武夫元首相の追悼演説は、社会党の土井たか子委員長が行った。

最近では、同じ政党の議員が追悼演説をするケースもある。2021年に死去した竹下亘元復興相の追悼演説は、同じ自民党で当選同期の小渕優子元経産相が行った。こうしたことから、自民党内では安倍元首相の盟友である甘利氏で問題はないとの声が上がっている。

“誰一人カリスマ性がない”甘利氏の指摘に安倍派猛反発

一方で、党内からも異論が出ている。そのきっかけが、甘利氏が7月20日に発信したメールマガジンの内容。派閥の会長である安倍元首相を失った「安倍派」についてこう指摘したのだ。

最大派閥の安倍派は「当面」というより「当分」集団指導制をとらざるを得ません。誰一人現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もなく、今後どう「化けて行く」のかが注視されます。(甘利氏のメールマガジンより一部抜粋)

この“誰一人カリスマ性のある人物がいない”という指摘に猛反発したのが、安倍派最高顧問の衛藤征士郎衆院議員だ。

昭恵夫人も参加した、安倍派の会合で「こんなに侮辱されたことはない。これを黙っていたら、清和会(安倍派)はそうだと思われる」と発言。数人の派閥議員を指しながら「うちには多士済々の総裁候補がいるだろう」と話したという。

野党のみならず与党内にも波紋を呼ぶ、追悼演説。こうした中、複数の政府与党関係者によると、追悼演説の時期を延期する方向で最終調整していることがわかった。秋の臨時国会での追悼演説の実施も含めて、今後野党側と調整が行われる見通しだという。

(「イット!」7月28日放送)