学童保育の現場が「体制が崩れる重大局面」

全国の緊急事態宣言の延長が固まり、学校再開のめどが立たない中、学童保育の現場も大変負担がかかり厳しい現実になっている。4月はじめに東京都北区では学童職員の女性が感染して区が当初公表せず問題になっていたが、実際都内の学童クラブの多くは広いスペースを有しているとはいえず、「三密」になりやすいところもあるのが実情だ。

1都3県を中心に21校で開校し、平時なら約1000人の児童が通っている「放課後NPOアフタースクール」代表理事の平岩国泰さんは、「体制が崩れてしまう重大局面」として警鐘を鳴らし各方面の応援を呼びかけている。

「放課後NPOアフタースクール」 平岩国泰代表理事
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学童クラブに今も平時の1~5割の児童が通う

現在、学童保育については各自治体によって対応が異なっている。東京都の渋谷区や世田谷では、原則休室とし医療関係者や警察官らの子どもだけを預かるとしている一方で、港区や板橋区では保護者に自粛をお願いすることになっている。

東京都渋谷区のホームページより

平岩さんによると、その結果、原則休室のところは平時の1~2割、自粛要請のところは平時の3~5割の児童が利用しているという。

現場では換気や消毒、そして距離を保つよう気をつけているが、預かる人数が平時より減っているとはいえ、子どもは群がったりスタッフにくっついたりとずっと離れて過ごすことはできず、やはり感染の恐怖を感じるという。

現場で消毒の様子 「放課後NPOアフタースクール」提供

スタッフの心理的負担が「重大局面」に

さらにここにきて一番心配なのは、スタッフの心理的負担だ。

平岩国泰さん:
スタッフの心理的な負担が重大局面を迎えています。今までずっと使命感でやってきていますが、これだけ感染が治まらない中、なお電車で出勤しないといけないとなると、恐怖心が使命感を上回り始めたという感じです高齢者と一緒に暮らしているスタッフや、自身に子どもがいるスタッフもいて、実際ご両親から出勤を止められたりしたスタッフもいます。このままでは人手を確保できず閉鎖してしまう学童クラブも出てくるので、なんとか工夫してゴールデンウィーク明けも体制を維持して必要な方を支えていきたいです。

学童クラブ体制を維持するための緊急提言

休校措置がさらに続くことを想定し、平岩さんは4つの方策を提案している。

1.学校の場所と人の活用
「三密」にならないためには、児童たちを分散させるがポイントになる。
学童クラブの多くは学校の中の遊戯室など限られた部屋だけを使っているが、そこだけではなく、教室、校庭、体育館を利用できるようにしてもらえるとリスクが大きく減る。
また人手として教員の力を借りられないか。平岩さんは、教員が3人程度毎日交代で出てきてもらうだけでも大変助かるという。例えば午前中に学校、午後に学童クラブというようにするだけでも学童クラブの負担が大きく減るだろう。千葉市のように14時半まで学校で児童を預かっているところもあるが、それには自治体と教育委員会の理解と連携が不可欠になる。

2.開室時間を短くする
学童保育の時間は多くが8時から19時だが、それだとスタッフは二交代制をとらざるをえないため、例えば時間を9時から17時にすればスタッフの人数をおさえることができる。

3.土曜日を休みにする

4.開室する学童クラブの数を絞る

「放課後NPOアフタースクール」提供

平岩さんの提案を受けいれられるかどうかは各自治体の判断になるが、すでに開室時間の短縮を前向きに検討してくれているところがあるという。

対コロナの戦いは長期戦になっていく以上、どうやって分担して社会全体で回していくことが重要になる。休校が続く中、学童クラブは医療従事者やエッセンシャルワーカーといった社会生活を支える方々のお子さんを預かる重要な使命を負っている。

平岩さんは、「学童保育は、最前線で頑張る方々を支えるために準最前線にいる。なんとかして体制維持して最前線を支えたい」と訴えている。

【執筆:フジテレビ 崔 雋】