北京オリンピックでは金メダリストも誕生し、注目競技となっているスノーボード。長野・上田市には73歳のスノーボーダーがいて、1シーズンに60回以上もスキー場に通い、滑りを磨いている。原動力は「向上心」だ。

オリンピックでスノーボードに注目
北京オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプで圧巻の技を披露し、念願の金メダルを獲得した平野歩夢選手。女子ビッグエアでは、日本人女子の最年少メダリストも誕生。この冬、スノーボード競技に日本中が沸いた。白馬村のスキー場では…
スノーボーダー:
高いし、「1440」を3つ、つないだのはえぐい
スノーボーダー:
平野歩夢選手みたいに、すごい技をしたい
県内のボーダーたちも熱を帯びている。
でも、スノーボードに熱中するのは、子どもたちや若者だけではない。
73歳のスノーボーダー

上田市菅平高原のスキー場で、なめらかなターンを見せる男性。上田市の甲田康さん。73歳のスノーボーダーだ。
甲田康さん:
自分のやりたことに年齢なんて関係ない。やってみたいからやり始めた、それ以上の理由はない
甲田さんがゲレンデに足を運ぶようになったのは、会社員時代の48歳のとき。「子どもたちにせがまれて、しぶしぶ…」という状況だった。そもそもスキーが好きではなかった。

甲田康さん:
小学校の時に初めてスキースクールに連れてこられたんだけど、寒くて下手くそで、うまくならないで帰っただけなんで。「スキーは二度とやるか」で、ずっとやってなかった
スノーボードを始めたのは55歳のとき。会社の20代・30代の同僚とゲレンデに行った際、親睦を深めようと一緒に滑ったのが最初だ。
甲田康さん:
初めて板をはいた日は死ぬかと思った
それが今では、このなめらかな滑り。スノーボードは、甲田さんの向上心・チャレンジ精神を大いに刺激するスポーツだった。
来年はもっとうまく!
甲田康さん:
良い気持ちにはならない、下手くそだもん。課題が見つかることを願って滑っていて、課題が見つかればその課題をクリアしたい。クリアできればまたモチベーションが上がって、という感じ。その繰り返し
課題を解決したときの達成感もあって、スノーボードにのめり込んでいった甲田さん。退職後は1シーズンで60回以上、スキー場に足を運ぶようになった。

甲田康さん:
1日の本数でいったら3、40本は滑ってる。
(Q.伸びしろはある?)
あるどころじゃない、来年はもっとうまくなっている
現在は雪質や傾斜に影響されない安定した滑走が目標だ。
甲田康さん:
校長のレッスンを受けながら日々精進している
10年以上、甲田さんをレッスンしているスノーボードスクールの勝呂裕一郎校長は…
菅平パインビークスノーボードスクール・勝呂裕一郎校長:
ご本人はどんどん上達したいという思いでやっているので尊敬する。80歳でも90歳でも甲田さんが生きている限り、スノーボーダーを続けていってくれたらうれしい。もしかしたら、僕の方が先にやめてしまうんじゃないかなと…
オリンピックでの若い選手たちの活躍には…
甲田康さん:
目標を持ってやっている人たちってすごいなと
「もっとうまくなれる」と成長を止めない甲田さん。その姿はアスリートそのものだ。
甲田康さん:
本当は取材を来年してもらいたかった。来年の自分はもっと違ってたはず。
(Q.もっとできる?)
もちろん。来シーズンの僕は一番、見せられる…。で、来シーズンもまた同じこと言うんだよ。ただひたすら課題を見つけてクリア、その繰り返し。結果的には90でもやっているだろうな
(長野放送)