新潟県加茂市の本量寺が今、SNSで話題になっている。その理由は「畳」。日本の伝統文化に斬新な工夫を加えた職人と、畳を依頼したお寺を取材した。
「畳の可能性はたくさんある」斬新な畳を世界に発信

鋭い目に、大きな牙。畳で作られているのは迫力満点の龍だ。


踏むのも怖くなるようなこの畳を手がけたのは、岐阜県の畳職人・山田憲司さん。
畳職人 山田憲司さん:
畳の可能性って、もっといっぱいあるんじゃないかなと思って。

山田さんは岐阜県で150年以上続く老舗畳店の5代目。

5年前に友人に頼まれ、変形した畳を作ったことをきっかけに“斬新な畳”の制作を始め、SNSで発信している。

本量寺 大森舜晃 住職:
スマホを眺めていると、山田さんの畳がパッと出てきて、すごいなと。その時の衝撃は今でも覚えている。

4カ月かけて制作 ”仏教”ならではのこだわりも
山田さんの畳に感銘を受けた大森住職が制作を依頼。

通常、畳の制作は1日~2日だが、龍の畳の制作期間は約4カ月。デザイン画の制作から、い草の貼り付けまで全て山田さん1人で行った。
こだわりは見た目だけはない。

本量寺 大森舜晃 住職:
私も僧侶としては、お参りに来る方にきちんとお話して、皆さんの心にとまるキーワードを揃えておきたい。
そこで山田さんは仏教の数字に合わせて、龍の頭と胴体は煩悩の数の108枚、背景は冥土の旅路の49枚で構成した。

同じ「い草」なのに…角度によって見た目が変化
さらに、見る角度によって龍の雰囲気がガラリと変わる。
真保恵理アナウンサー:
正面から見ると力強い表情に見えますが、反対側に回ると畳の色が反転し、どこか優しい表情にも見える。

畳職人 山田憲司さん:
全て同じ色のい草で作っているけど、畳の目の向き、少しずつ角度を調整して、光の反射で色を変えている。

窓の位置や光の入り方など全て計算されているため、朝晩や季節によっても畳の雰囲気が変わるという。
山田さんがSNSに投稿した龍の畳の画像には、6万以上の「いいね」がつくなど話題になった。(2022年2月8日現在)

本量寺 大森舜晃 住職:
龍に乗って、ありがたい感動を得ていただければ。
畳職人 山田憲司さん:
アートは今まで壁を彩るアイテムだったと思うけど、床に絵を掛ける感じで楽しんでもらえたら。

本量寺の「龍の畳」は、希望すれば見ることができる。
(NST新潟総合テレビ)