新型コロナウイルスの第6波を見据え、地方の医療態勢を支える動きが出ている。
都市部から“へき地”へ医療従事者を派遣する実証実験の結果、見えてきた課題とは?

10月18日、2005年以来 定期便が就航していない札幌市東区の「札幌丘珠空港」と、北海道紋別市の「オホーツク紋別空港」間を航空機が結んだ。

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民間の航空関連事業者が行った、医師不足の地方に小型機で医師を派遣する実証実験だ。

必要とされている「へき地医療」

渡辺 由紀子 医師:
へき地は医者がいなくて困っている人がいる。へき地の方が切実に医師を求めている

実験に参加した渡辺 由紀子医師。消化器内科などが専門で、依頼を受けて各地の病院に赴く。しかし、コロナ禍による航空機の欠航や減便で大きな影響が出ている。

天候によって左右される交通事情

渡辺 由紀子 医師:
新千歳空港から稚内空港に1時間で飛行機で行く予定が、欠航したのでJRを5回くらい乗り継ぎ、約9時間半かかった

紋別市の広域紋別病院から、内視鏡を使った診療の依頼を受けたが、札幌市からの航空機の定期便はない。車で移動すると約4時間かかる。
そこで今回の実証実験が行われた。飛行時間はわずか45分だ。

小型機を運航した事業者は…

「約45分」で目的地へ

A5AIR 越島 奨 社長:
通勤時間として想定できる時間なので、朝に札幌市を出て紋別市で仕事をして夕方に帰るということも無理ではない

実験に参加し、広域紋別病院を訪れた渡辺医師は…

渡辺 由紀子 医師:
北海道は医師が札幌市に集中している。医師が求められる地域に移動できる手段があれば、へき地に赴いて診療してもいいという人もいる

医師など医療従事者の移動や、観光客の需要も一定程度あることなどから、紋別市は航路の再開を目指す。

コロナ禍の「減便」の影響も…

医療従事者の都市部から地方への派遣は、もともと航空機の定期便がなくなっていることに加え、コロナ禍による減便の影響も出ている。

第5波に見舞われた7~9月の北海道内発着便の減便数は、全日空で約5300便、日本航空が約4000便にのぼる。病院への到着が午前から午後にずれ込み、効率的な診療ができないケースも出ているという。

北海道医療大学の塚本容子教授は、「広域の北海道では天候の状況で航空機がいつでも飛べるとは限らない。オンライン診療をもっと進めていくべき。地元の医師とつないで相談できるような体制づくりの検討が必要で、なかなか進まないのが課題」と指摘している。

(北海道文化放送)

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