「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

新入社員の頃は「先輩よりも早く出社しなければ!」と張り切っていた人も多いはず。
しかし、今では働き方改革もあり、新人や若手だから早く来てやらなければいけない仕事というのも減ってきているのではないだろうか。

「始業時間には仕事を始められる状態になっておかないと…準備のためにもちょっと早く来る」という人や「始業時間ピッタリに来ても問題ないはず」という意見もあるなど、様々な捉え方があるようだが…

そこで今回のテーマは…

さっそく、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
以前は、ビジネスマナーとして「始業時間には席について、仕事を始められる状態になっておかないといけない」と言われていた時代がありました。

しかし、こういうことは、各々の雇用形態に応じて労働基準法などにも関係する内容です。以前と比較して現在はこのあたりも厳しくなっていますので、マナーの視点からは「その会社の考え方にもよるもの」という回答になります。ですから、何が正解、ということはありません。時代により、会社や上司などの考え方も変化・進化することがあります。もちろん、個人もです。

「出社時間=始業時間でもいいのでは?」 というのも、前述同様の理由から、法や規則などで定められているとおりになろうかと存じます。マナー的な視点からいえることは、それを踏まえてうえで、個人の考え方や気持ちの面でどう行動するか、によるところとなります。時給制の人と月給制の人、年俸制の人などに応じて、考え方はさまざまでしょう。

令和となったこの新時代は、規律型組織から自律型組織へと変化しているようです。職場環境も、個々の責任のもと、ますます「互いに干渉しないというビジネススタイル」になっていく傾向にあることは否めません。
現在のように、テレワークをすすめられる事態もあります。もちろん、テレワークができないお仕事に就いていらっしゃる方もいます。

西出氏:
前述のとおり、現代はそれをビジネスマナーとして言える時代でなくなったと思います。

特段、法や規則での決まりがない場合は、個人の考えによることになるでしょう。言えない理由のひとつには、職場の状況が様々だということです。例えば、制服に着替える職場なのかによっても、着替えなくてもよい人たちとの出社時間は異なると思うからです。

とはいえ、あえて私の見解でご質問にお答えするならば、制服に着替える必要のある人であれば、余裕をもって、始業時間の30分前には出社し、着替えて、身なりを整えれば安心でしょう。着替える必要のない人であれば、私が上司であれば、15分前に出社してくれていると安心します。

また、自分たちで清掃をする職場であれば、その時間も考えて、どうするか、となりますね。先週もある企業のコンサルティングでこのような話になりましたが、私は、出社時間は、職場の皆さん同士間で不満などがでないよう、皆さんで話し合い、各々の気持ちや置かれている状況などを共有し、みんなで納得をしていれば良いのでは、とご提案いたしました。もちろん、その結果を会社の責任者などに伝え、会社からOKをもらうことも、ビジネスマナーとしては大切なことと感じます。

職場でのもやもやの大半は、マナーあるコミュニケーション、マナーコミュニケーション®︎で解決できます。

早めに出社することで、始業時間までに時間ができると思います。そのときは、同僚に迷惑や不快を与えない範囲で、自身の体調管理や気持ちをこれからの仕事に集中できるような時間に費やすこともできますね。


西出氏によると、以前は「始業時間には仕事がすぐに始められるようにしておく」ということがマナーとされていたそう。
しかし、現在では労働基準法も厳しくなっており、さらに「個人の責任を重視・他人に干渉しない」というビジネススタイルが広まっているため、企業にもよるが、最近はその傾向が薄くなってきたそうだ。

確かに「定時ぴったりに動きたい」「早く出社するのはちょっと…」という人も多いはず。しかし一方で、自分ひとりだけ始業時間ギリギリに駆け込み出社!というのは少々居心地が悪いような…という人もいるだろう。

もちろん、出社時間に関して会社の規定があったりという場合は別だが、身だしなみを整えたり、仕事を開始する前のアイドリングタイムとして始業前の時間を活用してみてはどうだろうか。

ちなみに、新人の仕事といえば「先輩よりも早く出社してオフィスの掃除!」と言われてきた人もいるだろうが…

西出氏:
こちらも、現代ではその職場のルールや環境によりますね。

新人の仕事といえば「先輩よりも早く出社してオフィスの掃除!」というのは、言えない時代でしょう。こちらもその会社の方針や、自身がどう思い、どう行動するか、によるところです。このあたりは、会社がはっきりと自社の方針を示して差し上げることで、悩まなくて済む、ということはありますね。

新人とベテランの皆さんの考え方に温度差がある場合、上司の皆さんのほうが、新人や若手の方々に対し、言いたいことを言えずに慎重に気をつかわれている現状も否めません。

掃除は業者が行うという職場であれば「掃除は個人でしなくて良い代わりに、実務を効率よくこなしてほしい」と思う会社もあるでしょうし、清掃業者が入っていても、朝は掃除からスタート、ということを決まりにしている会社もあるでしょう。

清掃業者が入っていなければ、30分前には出社して掃除をするとか、朝は、すぐに仕事をしたいから、帰るときに綺麗に掃除をする、という会社もあるでしょう。

ビジネスマナーの鉄則は、自社の規則や意向に従うこと。それをベースに、その規則が明確でなく悩んでしまう場合は、直属の上司や先輩に伺う、というコミュニケーションをとること。

みなさんがモヤモヤと悩まないためには、先輩や上司に、出社時間について始業時間の何分前に席についていればいいのか、など、伺うことが一番安心だと思います。

企業のコンサルティングに入っていると、様々な企業の社員、スタッフのお方々からお悩みやご意見を伺います。現実は、本当にその会社の規則や方針、直属の上司、先輩の考え方によるところが多いようです。だからこそ、直属の上司・先輩に訊く、ということが安心できることになると思います。

実務では、個々がスマートに自律した仕事をこなす時代ですが、実務以外のことに関しては、しっかりと関係者とコミュニケーションをとり、互いに安心・信頼し合える職場環境をつくることで、不安なく実務も効率よく進めていけると思います。


「朝はまず掃除のために早く出社しよう!」というのも、マナーを伴う必須の行動ではない。
しかし、このようなルールとして決まっていない慣習については特に、上司や先輩たちと話して確認することが大切なコミュニケーションになってくる。

今回の“もやもやマナー”、余裕を持って仕事に臨めば、職場環境も良くなるかも?

(漫画:さいとうひさし)