宮崎市内、海沿いの住宅地にある崩れ落ちた斜面。断崖絶壁に建つこの西洋風の建物は、相次ぐ大雨で倒壊の危機を迎えています。「めざまし8」は、社会問題化する空き家問題に直面する現場を取材しました。
住民悲鳴…10年以上放置される空き家
この記事の画像(9枚)立ち並ぶ洋風の建物。実はこれ、すべて空き家となっています。
近年増加する空き家は、深刻な社会問題に。除去が進まなかった場合、2038年には空き家率が31%にも上るという試算もあり、決して他人事ではありません。
これは、許可を得てドローンで撮影した空き家群の上空からの映像。似たようなデザインの洋風の建物が数多くあり、屋外プールのようなものもあります。
近所の住民によると、ここは昭和40年代から50年代、高度成長期の頃に作られた結婚式なども行えるリゾート施設の一角。大規模な施設だったことが伺えますが、10年以上前に空き家になったといいます。
崩落現場の目の前に住む方に、空き家について聞くと…。
近くに住む 山田定さん:
もう完全に倒壊しかかってる。出窓の下なんかも腐って、いつ窓枠が落下してくるかわからない。こういう内部の鉄骨も錆びたり、もちろん傾いて。場合によってはこれなんかもう、この自治会の道路の方に倒れそうな状況になっている。
近所の住民は、斜面が崩れる何年も前から、宮崎市に「早く空き家を取り壊して欲しい」と要望を出してきたといいますが、取り壊しなどは行われませんでした。そんな中で、恐れていた事態が起きてしまいます。
9月中旬に台風14号が上陸。その結果、斜面が崩落し、空き家が崩れ落ちる危険性が刻一刻と高まっています。
宮崎市によると、この空き家は“放置すると著しく危険”と判断された「特定空き家」に指定。しかし、既に所有者が亡くなっていて現在、相続人の有無を調査中のため取り壊しなどに踏み切れないといいます。
宙に浮いたままの危険な空き家問題。住民の不安は、崩落だけではありませんでした。
「本当の凶器が飛んでくる」台風被害で自宅の壁に穴
崩れた斜面の上に立つ空き家が崩落する危険。近所の住民は思わぬ事態にも悩まされていました。空き家の近くに住む住人に話を聞くと、台風により深刻な被害が起きていました。
近くに住む 幸森茂雄さん:
ここに物が飛んできて、割れたままでまだ修理していないんですけど。
空き家から20メートルほど離れた家の壁に空いた穴。台風による強風で空き家の外壁などが飛ばされ、直撃したといいます。
近くに住む 幸森茂雄さん:
本当の凶器が飛んでくるっていう感じだと思います。外に出られないですね。怖くてね。
空き家をめぐっては、さらに別の問題も生じていました。
SNSで“心霊スポット化” 迷惑行為相次ぐ
青島23区災害対策本部長 大西勝さん:
心霊スポットになったりとか、実際に施設に入り込んで。夜中の12時頃から1時、2時頃までそこで騒いでいるわけですよ。睡眠障害を起こしますからね。
住民によれば、SNSなどで情報が広がり「心霊スポット」として若者が集まってしまい、迷惑しているといいます。
空き家の取り壊しが進まない中、土砂崩れが起きた現場は斜面にシートをかけて崩落をしのいでいるといいます。
権利を持つ人が判明しないまま、危険なまま放置され続ける空き家。いつ自分の身近で起きてもおかしくない事態。少しでも早く、安全のために手を打つ枠組みが求められています。
(「めざまし8」 10月22日放送より)