音楽プロダクションと女川町が共催の音楽イベント

宮城・女川町で行われた音楽イベント「ONAGAWACK(オナガワック)」
音楽プロダクション「WACK」と女川町が共催するイベントだ。

「WACK」は、楽器を持たないパンクバンドとして話題の「BiSH(ビッシュ)」など、7組のグループが所属しているプロダクション。

2020年で2回目を迎えたこのイベント。行政からの補助なしで行われ、女川町に2000万円以上の経済効果を生み出しているという。

老舗かまぼこ店4代目と音楽プロダクションがタッグ

イベントの3日前。会場では、実行委員会による準備が進められていた。

実行委員長を務めている、高橋正樹さん。

高橋正樹さん:
これバッジです。2000個です。去年は1000個だったんですけど、今年はもっと人が来るだろうということで。いろんな著名人や芸能人の方が、女川を好きになってくれるというのが、僕らはありがたいので

高橋さんは、女川町の老舗かまぼこ店「高政」の4代目社長。東日本大震災で店や工場が被災し、全国へ販路を拡大しようと奮闘を続けている。

忙しい中でも、町全体を巻き込むイベントを企画した背景には、震災で感じた“ある思い”があった。

高橋正樹さん:
正直、震災前は(女川のことを)好きじゃなかった。(震災で)初めて、どれだけ素晴らしかったか。女川から外に出て、大学に行ってサラリーマンになって、女川の外で生活をして、地元の良さってわかっていたはずだけど、(震災で)気付かされた、ぶん殴られたような思い、郷土愛に殴られたみたいなのは震災後にありました

あらためて気付いた、地元の良さ。高橋さんは、震災の翌年に行われた「おながわ秋刀魚 収獲祭」のステージ責任者を任され、現在、WACKの代表を務める渡辺淳之介さんと知り合った。

高橋さんは、自分の思いに賛同してくれる渡辺さんとともに、小さなイベントを毎年、進化させた。そして、2019年から始まったのが「ONAGAWACK」。

WACK・渡辺淳之介代表:
人の縁を大事にしていて、高橋さんが呼びたいと言ってくれて、呼んでもらえるうちは毎年来たいなと思っている

高橋正樹さん:
どうしても女川は、文脈的に震災がある。これだけひどい目に遭った分、どれだけのハッピーがこの町に訪れるのかというのがあって、「楽しい」と「うれしい」がすべてなんですよ

“被災地”ではなく“楽しい場所” に

イベントは「ライブDAY」と「遊びDAY」の2日間。「遊びDAY」では、シーパルピア女川を会場に、写真撮影会や石鹸づくり体験、タイルアートづくりなど、訪れたファンがWACKのメンバーとともに、さまざまな女川の魅力を体験できる1日になっている。

地元の商店:
元気をもらって、また頑張らないとなと思う

地元の商店:
3倍も4倍も(人が来ている)。こんなににぎわって、涙出るほどうれしい

ーー盛り上がってますね

高橋正樹さん:
おかげさまで

会場を訪れたファンは、イベントをきっかけに初めて女川町に来たという人がほとんど。被災地ではなく、楽しい場所として女川町を感じていた。

関西から訪れた人:
町ぐるみでイベントを成功させようとしている。素晴らしいなと思います

東京から訪れた人:
すごく被災地っぽくない

東京から訪れた人:
行った人から、(女川が)楽しかったと聞いて、来たいなと思って。ほんとにいい町だなと思います

2019年よりも、さらに規模を拡大した「ONAGAWACK」。
出演者からもファンからも評価され、大成功に終わった。

BiSH セントチヒロ・チッチさん:
一つの土地として女川がすごく好きで、もちろん元気になってもらいたい、強く生きてほしいという思いは根本にはあるんですけど、わたしたちも楽しんでいきたいと思ったし、きょうもすごく楽しくて、1年で楽しみにしてる日。BiSHのファン、WACKのファンの人たちにも目いっぱい楽しんでもらいたい

ーー来年も来たい?

BiSH アイナ・ジ・エンドさん:
はい。来たいです

BiSH セントチヒロ・チッチさん:
もちろん

高橋正樹さん:
被災地のネガティブなイメージを吹っ飛ばしたい。そこで生きている人って、つらいことがあったかもしれないけど、今、当たり前に生きている。それを取り戻してこその復興じゃないですか。ここで生きている人のために、この場所があって、ここの営みがあって、それが伝わればいい

「被災地・女川」ではなく、「生まれ変わった女川」を見てほしい。高橋さんはこれからも、ふるさと・女川を発信し続ける。

(仙台放送)

【関連記事:日本各地の気になる話題はコチラ】