4年に一度のアメリカ大統領選挙の時期になると必ず街中やメディアに登場してくるもの。それは、共和党は象、民主党はロバのシンボルマークです。特にアメリカの国旗の赤、青、白の3色とスターズ・アンド・ストライプスの模様を取り入れたものが親しまれています。

あっ、FNN PRIME の『2020アメリカ大統領選』特集の扉絵にも象とロバがいましたね。それです、それ。トランプ大統領がデカい顔をしていてあまり目立ちませんが。

今回はこの両党のシンボルマークについて、フジテレビの“アメリカ大統領選の生き字引”風間解説委員に教えてもらいます。

イラスト:さいとうひさし

民主党は「ロバ」マークがお嫌い?

ーー共和党と民主党のシンボルマークは、どうして象とロバなの?

風間解説委員:
その理由はちょっと後回しにして、まず意外な真相をお話しましょう。
共和党は象を気に入っているけれど、民主党は決してそうではないんです。

共和党全国委員会の公式ツイッターより

その証拠に、共和党全国委員会は1993年8月、象を『イメージ・トレードマーク』として商標登録を申請し、95年8月に認められ、現在も更新中です。この商標登録を根拠に、共和党に批判的なメッセージと象のシンボルをTシャツにプリントして販売した業者を提訴したこともあります。

一方の民主党は、ロバを党のシンボルとして公式に認めたことは一度もないんです。もちろん、世間でそう扱われていることは認めているのですが、積極的に党の象徴としてロバをプロモートしていこうという姿勢はありません。ちなみに、民主党の公式ショップを覗いてみると、民主党の推しマークはこちら!

ーー民主党のマークは「ロバ」とは似ても似つかないね。

風間:
そうなんですよ。私個人の感想ですが、なんだこりゃ?って感じ。
例のロバは、すでにヴィンテージもの扱いされています。

民主党全国委員会公式ツイッターより

19世紀の風刺画を紐解くと・・・

ーー共和党と民主党では、どうしてこんなに違いが出てきたの?

風間:
共和党と民主党のこの違いはどこから来るのかというと、やはり象とロバの来歴によると考えるのが自然でしょう。
19世紀後半の風刺漫画家のトーマス・ナストが、共和党を象に、民主党をロバにたとえた漫画多数を週刊紙に長年にわたって掲載し、象とロバが定着したとされています。その風刺漫画の一部は首都ワシントンの議会図書館に収蔵されているほどです。

議会図書館HPより

風間:
ことロバについては、更にさかのぼって1828年の大統領選挙がポイントと思われます。その年の選挙に勝って第7代の大統領となる民主党のアンドリュー・ジャクソンは、再選をねらった共和党のジョン・クインシー・アダムズ大統領の陣営から「愚鈍で強情なロバみたいな奴」と揶揄されたのを逆手にとり、ロバを自分のポスターに使っちゃったのだそうです。

「上等じゃないか。ロバで結構。私はこうと決めたら決して引かない」ということだったのかな? 選挙に勝って大統領になったのだから四の五の言うことはないと思うのですが、そこは生真面目な民主党のこと。「元を正せば、アンドリュー・ジャクソンの自虐と開き直りが発端のロバって、なんかマイナスじゃね?」などとわだかまっているに違いありません。

ーーなぜ共和党は「ゾウ」を公式トレードマークにしたの?

風間:
共和党は、「象は強さの象徴」と歓迎しているようです。
いくらトーマス・ナストが共和党員だったからって、共和党をえこひいきしていたら風刺漫画家として大成することは望めません。象はすぐにパニックを起こしあらぬ方向へドタドタと行ってしまう、まさに当時の共和党を体現するものとして描いているようです。

そうした過去の経緯をしってか知らぬか、今では象は「威厳があって強い」などと、何でも自分の都合のいいように受け止めてしまえるところが共和党の強みとも言えます。

大統領選挙の年は、選挙集会や各レベルの党大会の会場付近などは、候補者や象やロバのグッズを売る出店が並び、政党グッズをこれでもか!というほど身につけた支持者でごった返します。選挙情勢をフォローしながら、そんな様子を面白がるのも選挙イヤーの楽しみ方です。

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【解説:フジテレビ 解説委員 風間晋】
【表紙デザイン、イラスト:さいとうひさし】

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