北海道内の一部の小中学校では、8月17日から2学期が始まった。
コロナ禍で様々な制約があるなか、教育現場ではコロナについて学び、日常を取り戻そうという取り組みが行われている。

 「マスクをね 取ってしゃべると 感染だ」

 「味がない 味がなければ コロナかも」

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子どもたちがコロナについて考えた“かるた”だ。

美唄市立東小学校 村越 含博 教諭:
コロナについて知ることで、過度な不安はきっと抑えられるだろうと思いました

子どもたちはコロナについて何を不安に思い、過ごしているのだろうか。それを解消するための取り組みとは?

コロナを正しく理解することで「不安解消」へ

美唄市立東小学校の教諭・村越含博さんは、2020年6月から2021年2月にかけて、当時担任を務めていた3年生に向けてコロナについて考える授業を行った。

美唄市立東小学校 村越 含博 教諭:
知らないことが、すごく不安になってしまっていると思っていました。コロナを知ることで不安のままにしておかない。子どもたちは考えて行動できるだろうとの思いで授業をやっていました

感染経路や症状などを調べたり、感染の危険性について話し合ったりした。授業を通して不安を共感し、考え方に違いがあることも学んだ。

美唄市立東小学校 村越 含博 教諭:
話し合うことで相手の立場を考えながら、どう生活していったらよいか見えてくる

2学期が始まっても、学校生活には依然として様々な制約がある。

北陸の富山市では、教育と医療が連携する「富山スタイル」で子どもたちの日常を取り戻す取り組みが進められている。

子どもたちに日常を取り戻す「富山スタイル」

富山大学付属病院 小児科 種市 尋宙 医師:
登下校と運動時にマスクを外すこと。てんびんにかけたときに、どう考えてもコロナより熱中症の方が危険です

富山大学付属病院小児科の種市尋宙医師だ。富山市の新型コロナ対策検討会議で座長を務め、小中学校の感染対策の緩和に取り組んでいる。コロナ禍の子どもたちの体や心への影響が危惧されるからだ。

富山大学付属病院 小児科 種市 尋宙 医師:
感染対策を強化すると、子どもたちにとってはダメージが蓄積される可能性があります。うまくいかなくなったときに、『おなか痛い、頭痛い、ご飯が食べられない』と医療機関にくる

子どもの不安を和らげるために、学校行事を行うことは重要だという。

そのため医学的見地に基づいた感染対策の指針を示し、マスクを外した合唱コンクールやプール授業の再開にゴーサインを出した。

富山大学付属病院 小児科 種市 尋宙 医師:
感染対策に100パーセントはないし、ゼロリスクもない。少なくとも前の状況、普段に戻すことが子どもたちにとって一番効果的。だからこそ、「日常を取り戻す」スローガンで動いています

「富山スタイル」では市教委と医師が指針を示し、実際に実施するかどうかは現場の学校に委ねている。

富山市では、2020年に全国で初めて小学校でのコロナ感染が確認された。当時は風評被害が大きかったと言う。

富山市教委は医学的な根拠に基づき、感染リスクや対策を発信することで、子どもたちを守ろうと考えた。教育と医療の現場がタッグを組んだ「富山スタイル」というものだ。

三密の回避や換気、適切な距離をとるなどの対策をすれば…
 ・登下校や運動時にマスクを外す
 ・合唱コンクールを実施
 ・プール授業OK

種市医師によると、対策検討会議が発足した2020年5月以降、子どもの感染状況のモニタリングを続けているが、対策を緩和しても子どもの感染者数は増えていないということだ。

子どもたちのために何ができるのか、考える時期が来ているといえそうだ。

(北海道文化放送)

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