陸上男子日本代表の山縣亮太(29)が21日、五輪を終えて初めてテレビに心境を語ってくれた。

山縣亮太が明かす400mリレーの真実

東京オリンピックで日本選手団の主将を務め、100メートルでは9秒95の日本記録保持者でもある山縣。

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しかし、決勝進出を目指した100メートルは10秒15で予選敗退。

そして悲願の金メダルを掲げてきた400メートルリレー決勝では、1走の多田修平(25)から2走の山縣へとバトンが渡らず途中棄権。最後まで走り切ることができないという、あまりにも衝撃的なものだった。

「攻めのバトン」裏目に

リレー決勝でのバトンミスについては、「僕らは目印(マーク)を見て、次の受けてがスタートを切るんですけど、(調整する)歩幅を予選から一歩弱伸ばしました」と、より加速した状態でバトンをもらうため、予選よりスタートのタイミングを早める「攻めのバトン」を試みたという。

日本が走った大外の9レーンは、カーブが緩やかでスピードに乗りやすく、想定以上に加速した状態でのバトンパスとなった。「9レーンで思い切って前に出るときの、自分の飛び出しのスピードの想定が甘かったというのはあります。結果が出なかったことは重く受け止めなければいけないと思います」と振り返った。

「パリで東京の借りを返す」

それでも、五輪を終えて前向きな感情も芽生えた。「ここで立ち止まるわけにはいかないので、失敗したままにするのではなくて、具体的な反省点につなげることが必要だと思います。3年後にはパリもありますし、そこで金メダルを目指すと考えたときにしっかり思い切ってチャレンジできるメンタリティーがついていればいいなと思います」と、パリを見据えた。

「現役を続けている以上は日本記録もまだまだ更新しないといけないですし、パリでは東京の借りを返すと言ったらあれなんですけど、しっかり目標を達成したいと思っています」

パリを見据え、すでに練習を再開させた山縣。3年後に向け世界との差をどのように埋めていくのだろうか。

「1.5倍」で挑むパリ五輪

「自分が思っている以上に差があると感じました。今の自分の実力だったら100点満点で走って9秒台出るかどうか。80~90点というレースになったとしても、9秒台を出せる力が必要だと思っています。トレーニングのひとつひとつから走りもそうですけど、見直す必要があると感じています。体も小さいなと思ったのでそこを1.5倍、あとは内面的な部分も1.5倍ぐらいになりたいです」。世界との差として「筋力不足」を感じ、ウエイトトレーニングの取り組み方を変えることを視野に入れている。

「パリは自分にとって最後のオリンピックになるかもしれないので、もちろんそこで自己ベストを狙って、世界のファイナリストであったり、今回取り逃したリレーの金メダルであったり、そこをしっかり現実味を持って頑張っていきたいと思っています」

落胆のオリンピックを未来の栄光への布石とするために、山縣はこれからも走り続ける。

(S-PARK・8月21日放送より)