1月28日に第一子を出産した、お笑い芸人のキンタロー。さん、38歳。

2月20日放送の「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系)で、不妊治療の闘いについて明かした。

キンタロー。の中で結婚=子どもだった

キンタロー。さんは、2015年12月に番組で知り合ったディレクターと結婚。

両親が他界しているキンタロー。さんにとって、家族を作ることには特別な思いがあり、「(両親に)愛情をたくさん注いでもらって育ってきたので、結婚する=子どもという気持ちだった」と明かし、「自分が生まれ育ったような温かい家庭を築きたい」という思いを抱いていた。

ところが、排卵日を計算して子作りしてもなかなか妊娠できなかった。医学的に35歳以上の初産は高齢出産とされていたため、当時37歳だったキンタロー。さんは焦っていた。

そこで、知人から紹介されたクリニックで夫も検査を受けると、医師から告げられた結果は夫の「無精子症」だった。

一般的に射出された精液の中に数千万個もの精子が存在するが、キンタロー。の夫は、精液の中に精子が全くない状態と診断された。

当時の心境をキンタロー。さんは、「『どういうことですか?』というのがまずあって。分からなすぎて、赤ちゃんが授かれないのかと衝撃的な気持ちになりました」と語る。また、夫・隆史さんは「怖すぎて真っ白。子どもができないのかと、絶望しました」と話す。

不妊治療、ほぼ半数が夫に原因

では、なぜ妊娠・出産することができたのか。そこには、不妊治療における最新技術と本人たちの知られざる努力があった。

キンタロー。夫妻のように、日本で不妊に直面している夫婦の割合は6組に1組。そのほぼ半数が夫に原因があるという。

この数十年で、成人男性の精子は半分以下に減少しているという研究結果もあり、環境ホルモンや生活習慣の変化など、さまざまな理由が挙げられているが、はっきりとした原因は分かっていない。

男性不妊については「無精子症」の他にも、数が少ない「乏精子症」や、動く精子が少ない「精子無力症」、精子の形が悪く受精する可能性が低い「奇形精子症」など、さまざまな精子の問題がある。

悩んだキンタロー。さんを解決へと導いてくれたのが、東尾理子さん。夫・石田純一さんと不妊治療を行い、3人の子どもを出産している。

そこで東尾さんが最新技術を持つ「リプロダクションクリニック」をキンタロー。さんに紹介。この不妊治療専門のクリニックは、東京と大阪に拠点を持ち、1日平均500人以上もの外来患者が訪れている。

特徴は女性不妊と男性不妊、両方を一カ所で治療できることで、これができるクリニックは全国でも珍しいという。

また、日本の不妊治療における妊娠率は平均約30%(体外受精・顕微授精の場合)だが、リプロダクションクリニックは平均約40%と不妊治療の最前線を走るクリニックだ。

「不可能じゃないです。望みがないわけじゃない。今は医療も進んでいるし、一緒に頑張りましょう」と主治医から言われたキンタロー。さんは、このクリニックで不妊治療を始めることに決めた。

「ちょっと希望の光が見えました」

無精子症には大きく分けて2種類ある。

精子が射精するまでに通る「精路」が詰まって精子が出てこないケース。詰まっている原因を手術などで取り除けば、通常通り精子が出てくる可能性があり、自然妊娠できる場合もある。

もう一つは、精巣の機能に問題があるケースで、最悪の場合、精子が全く作られず、どんな治療を施しても妊娠が不可能な場合がある。

キンタロー。さんの夫は、精巣の機能に問題がある、この無精子症と診断された。

この診断にショックを受けた2人だが、医師から再度精液の検査を勧められると、奇跡的に受精可能な精子が20個見つかった。

「精巣の機能がわずかに残っている場合は、精液検査を繰り返すことでわずかに出てくることもある」と、リプロダクションクリニックの石川智基医師は言う。一度きりの検査で無精子症と診断され、諦めてしまう夫婦が多く、何度か検査を受けることも重要だという。

そして、検査を重ねても精子が見つからないという場合でも、手術用の顕微鏡を使ったマイクロTESEという手術を行う治療法もあるという。マイクロTESEとは、精巣を切り開いて精子を作っている正常な組織を顕微鏡で探し出し、そこから精子を取り出すという方法。

キンタロー。さんの夫は、この手術を受ける一歩手前で奇跡的に20個の精子を見つけることができた。

この時の心境をキンタロー。さんは「嬉しかったですね。ちょっと希望の光が見えました」と振り返る。

夫が原因でも「結局、女性が大変…」

精子はすぐに冷凍保存されたが、これで問題が解決したわけではなく、まだまだ乗り越えなければならない壁があった。

キンタロー。さんは「男性不妊と言っても、女性の方がやることが多い。卵子を同時にいっぱい育てて出すための注射を打つことからスタートして。これが結構ツラかったですね。自分で注射を打つ講習を受けて、『自分で注射打つの?』って思っちゃいました」と話す。

自然周期の場合、月に1つの卵子しか成熟しない。不妊治療では多くの妊娠のチャンスを作るため、「卵巣刺激注射」を打つ場合があり、それによって多いときは数十個の卵子ができることもあるという。

キンタロー。さんは、この注射を10日間自分で打ち続けた。

「アザができるため、太ももの外とか場所を変えて。仕事をやりながら『ちょっとトイレに行かせてください』と言って、トイレで注射を打ったり。コソコソ隠れて注射を打っていました。結局、女性が大変なんだ…と思いました」

しかし、注射を打ち、薬を飲めば必ず妊娠できるというわけではなく、妊娠しなければ、翌月の月経周期に合わせて、またゼロからのスタートになる。中には不妊治療を10年以上続けるような夫婦もいると言い、終わりが見えない不妊治療は、“出口のない真っ暗なトンネル”とも表現される。

自己注射を打ち続けたキンタロー。さんは、2019年1月に卵巣に直接針を刺し、卵子を取り出すという手術を受けた。注射を続けたかいもあり、自然だと1個しか成熟しない卵子を一度に38個、採取することができた。

その卵子を凍結した精子と授精させる「顕微授精」は、広く行われている不妊治療の一つだが、実は少しでも手元が狂えば針で卵子にダメージを与える可能性がある。しかし、最新技術では振動を与えて穴を開けるという方法が用いられ、従来に比べ、卵子へのダメージが軽減されると考えられている。

ちなみに、キンタロー。夫妻が受けた一連の治療や検査の中には、保険適用外のものも多い。例えば、「顕微授精」にかかる費用は1回平均40万円と非常に高額。使う薬や技術によっては、100万円を超えるケースもあるという。

費用が高額になるため、途中で諦める夫婦も少なくない。不妊治療は精神的にも肉体的にも、経済的にも大きな負担が強いられる。

生まれるまで常に不安と隣り合わせ…

キンタロー。の卵子は無事に受精。その後も順調に育ち、受精卵を子宮に戻して、あとは着床を待つのみ。

そして11日後には妊娠が判明。当時を振り返り、キンタロー。さんは「良かった、と。その時にようやく第一関門をクリアした、一つの山を乗り越えたかなという気持ちでした」と明かす。

出産予定日1週間前には、夫婦でベビー用品売り場に。これまでベビー用品をほとんど揃えることが出来なかったと言い、その理由は「性格上ネガティブなので、何かあったらどうしようと。常に不安と隣り合わせで、明るい方に気を向ければ良かった」と話した。

さらに出産予定日5日前には、「胎動が少なかったりしたら心配だから…」とお腹の中にいる子どもの心臓の音を聞いていた。自然妊娠ではないため、キンタロー。さんは常に不安を感じていたのだ。

出産予定日3日前には、不安を抱えたキンタロー。さんは不妊治療の大先輩・東尾理子さんとランチ。妊娠中に増加した体重や、出産後の育児について相談。東尾さんからは「育てるのは子どもだけじゃない、旦那も育てなきゃいけない」とアドバイスをもらっていた。

そして、1月28日にキンタロー。さんは3354グラムの女の子を出産。産院を一週間ほどで退院したキンタロー。さんと赤ちゃんは、医療面でのバックアップの他に、授乳や沐浴のサポートなど、産後ケアを専門的に行う医療施設へと移った。

出産を終えたキンタロー。さんは「不妊治療という最新医療の技術によって、自分の夢が叶ったので、本当に良かったなと安堵の気持ちです。本当に感謝ですね、医療に感謝」と語った。

(「直撃!シンソウ坂上」毎週木曜 夜9:00~9:54)