女子ゴルフ、東京オリンピック代表の稲見萌寧、21歳。

今シーズンツアー6勝と圧倒的な強さで東京オリンピック代表をつかんだ。そんな稲見の強さと知られざる素顔に、フジテレビ東京五輪キャスター・宮里藍が迫った。

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「ハザマ世代のダイヤモンドになる」

稲見の一つ上の1998年度生まれは、世界で活躍する渋野日向子や、東京オリンピック日本代表の畑岡奈紗などがいて、「黄金世代」と呼ばれている。

一方、国内ツアーを4勝している古江彩佳らの、一つ下の2000年度生まれは、「ミレニアム世代」と呼ばれる。

1999年度生まれの稲見は、その「ハザマ世代」。だからこそ稲見は「ハザマ世代のダイヤモンドになる」と意気込んでいる。

宮里が目前に迫る東京オリンピックに向けての気持ちを聞くと、稲見は「緊張は全然なくて結構楽しみにしている。日本でやるオリンピックに出られるのは奇跡的で、いろいろな運もすべて積み重なって出られたものだと思うので、私の“人生の名誉になる”」と力強く語った。

彼女の強さを支えるのが、“絶対距離感”と言われる正確無比なショット力だ。

昨シーズン、ショットの精度を示すパーオン率は、ツアー歴代最高となる78.21を記録。今シーズンはパッティングでもツアー屈指の成績を残している。

365日練習漬けの完璧主義者

インタビュー前、稲見の練習を見た宮里は「毎回同じインパクトで、毎回同じところに入ってくるし、ボールの乗せ方など本当にミスがない」と称賛するが、稲見は「ミスしかないというイメージです」と真逆のことを言った。

驚く宮里が「完璧主義に近いところがありますか?」と聞くと、稲見は「めちゃくちゃ完璧主義です」と頷いた。

それを顕著に表していたのが、今年6月に行われた宮里藍サントリーレディスの最終日。稲見は最終日に首位でスタートするが、勝負の18番で決めきれず優勝を逃し、涙を流した。

この大会を振り返り、稲見は“屈辱”という言葉を口にした。

「すごく屈辱。あそこまで何もできなかった自分が情けない」

一戦一戦、どの一打にも妥協しない完璧主義の稲見。その裏にあったのは、圧倒的な練習量だ。

北海道の大会に出場していた翌日も、稲見は朝9時から夕方まで、ほぼ休みなくクラブを振り続けた。

練習中ですら、うまくいかずに涙を我慢することもあった。

365日練習漬けだという稲見。

「逆に(練習を)やっていない方が疲れちゃうというか、そっちの疲れの方が嫌ですね」と笑う。

「強いんじゃなくて強く見せている」

今シーズン6勝のうち3勝はプレーオフを制しての勝利となり、宮里は「勝負強さは、メンタルから来ているのでは?」と問いかけた。

「メンタルめちゃくちゃ弱いです」とすぐに否定した稲見。

「メンタルは弱いんですけど、考え方や持っていき方で自分をコントロールできるんじゃないかと思っていて、無理矢理にでも言い聞かせたりするだけで、“自分を強く見せる”感じです。強いんじゃなくて強く見せている」

弱い自分を認めたうえで、自らを鼓舞して強く見せる。そのセルフコントロール力こそが、稲見を強くする最大のビジョンなのだ。

東京オリンピック開幕まであと3日(※公開日によって変更)。

稲見は、東京オリンピックで成し遂げたいことを「みなさんが楽しめるようなプレーをしたい。できる限り、自分の最大限を出したい」と意気込んだ。

女子ゴルフは、8月4日から始まる。東京オリンピックではどんな活躍を見せるのか期待したい。