マンションやオフィスで勢いよくドアが開き、ぶつかった…。

あるいは廊下を歩いている人にぶつけてしまった。日頃から「ドアの向こうに誰がいるかも」と気をつけていても、やってしまった経験がある人は意外と多いのではないだろうか?

ビルによっては「開閉注意、ドアの反対側に人がいます。ドアは、ゆっくり開けてください」などと、ドアの開閉の際の衝突を防止するための掲示をしていることもある。

そして今、このような“衝突問題”を解消する新たなアイテムが注目されている。

それが、こちら

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白と緑色が特色の山型の機材で、そのディスプレイ部分には「点滅したらドアに注意」という赤字の警告文とともに、人が開け放ったドアに別の人が衝突しそうになる場面が描かれている

これは「扉につけるお知らせライト(品番:TAL20)」。

「お知らせライト」には人感センサーが搭載されており、誰かが扉を開けようと近づくと、人間の存在を察知。扉の反対側にある本体のディスプレイが光り、ブザーが鳴るため、ドアとの衝突をうまく避けることができるという仕組みになっている。


センサーにはマグネットが仕込んであり、2台1組の本体同士を無線接続した上で、扉を挟んで「TAL20」を設置する。本体の電源を入れるだけでふたつの接続が完了するという。

使用用途は他にも。両面テープなどでの取り付けができることから、鉄製のドア以外にも対応可能で、死角のある曲がり角といった場所でも活躍するのだ。

また、1台で使用可能なシングルモードでは、センサーが検知した本体自身のライトやブザーが反応するので、近づくと危険な場所での注意喚起などとしても使用することができる。


発売元のキングジムは、有線タイプで同じ機能の「TAL10」を2017年に発売。当初の年間目標の6倍となるペースで売り上げ、今回新たに無線タイプの「TAL20」を12月6日に発売することとなった。

ドアや曲がり角での衝突防止はたしかに重要な問題だろう。でもなぜ新たに開発したのだろうか。キングジムの広報担当者に話を聞いた。

「無線接続できなくなる扉はないか」の検証が難しかった

――新たに無線タイプを開発したきっかけを教えて。

TAL10」のユーザーさまから予想以上のご好評をいただけたことと、電池寿命や、使用環境などについてのご要望があったことから、それらを満たすことができる上位機種という位置づけで「TAL20」の開発をスタートいたしました。

――開発で難しかった部分は?

無線通信の検証です。

技術的な難しさとは異なるところで、「一般的なビル、オフィスの環境で無線接続ができなくなるような扉はないか」、その点を検証するのが大変でした。

本社社屋や他の事業所のあらゆる扉、通常は使用が想定されない試験機の扉やシャッターなど、さまざまな場面にサンプルを持っていき、検証を行いました。

――曲がり角での設置やシングルモードを新たに設けたのはどのような動機?

TAL10」をお使いのユーザーさまから、「オフィスや倉庫内の曲がり角でも使えるようにしてほしい」との声があったことから鉄扉以外でも取り付けられるようにしています。

シングルモードに関しては、無線化によって単体での自由度が高まったため、本体の機能を活かして防犯や注意喚起のニーズも満たそうと搭載しました。

――従来品と比べて、どのくらい厚い扉に対応できる?

無線接続のため、電波を完全に遮断する扉や空間ではない、一般的な扉であれば厚みに関係なく対応できるようになりました。

Wi-FiやBluetoothなどの電波が反応に影響する可能性

――ライトとブザーだが、どのくらい離れた距離から認識できる?

水平方向に約120°、垂直方向に約110°、扉からの距離でいうと、センサーに向かって直進した場合で最大約1.5m、横切った場合で最大4.0mの広範囲で人感センサーが反応します。

――センサーはドアの内外問わず、1.5m以内に接近したら反応する仕組み?

センサーに向かって直進した場合、横切った場合で検知距離は変わりますが、いずれにしても自分から見て扉の向こう側のセンサーが反応した場合に、自分側のライトが点滅し、ブザーでお知らせします。

――人が急に扉に近づいたりする場合もありそうだが、「お知らせライト」はすぐに反応してくれる?

センサーの感知範囲内に人が立ち入ればすぐに反応
します。

――無線が上手く反応しない、という事態はなさそう?

2.4GHz帯の無線を使用しており、Wi-FiやBluetoothなどの同じ周波数帯を用いる機器が多く使用されている環境などでは、それらの電波が干渉することで反応に影響する可能性はございます。


本当は、このようなアイテムを使わなくてもお互いが気遣うことで“衝突事故”が防げれば1番のはず。しかし、従来品が当初の年間目標の6倍となるペースで売り上げた結果からも、まだまだ需要は多そうだ。

画像提供:キングジム