世界の政治家やセレブ・要人のツイートをモーリー流に翻訳・解説する「Twittin’ English」。今回は12月9日、ワシントンポストのツイート。



モーリー:

Exclusive: U.S. officials systematically misled the public about the war in Afghanistan, according to internal documents obtained by The Post.
These are The Afghanistan Papers: A secret history of the war.

独占:ワシントンポストが入手した内部文書によれば、アフガニスタンの戦争において、アメリカ政府当局者は組織的に国民を欺いた。

アメリカの軍幹部や政府高官らは、アフガニスタンの軍事作戦が成功しているかのように偽り、長年にわたり隠蔽工作を行っていたと、ワシントンポストが単独入手した米政府の内部文書で明らかになったというのです。

「アメリカに無益な戦争」と評していたトランプ大統領

内部文書は2000ページ以上にも渡り、600人以上からの聞き取り調査をまとめたもの。ニューヨークタイムズやCNNでもスタッフが読み進めている最中で(12月11日時点)、コンセンサスができてから報じようとしています。

また、ワシントンポストは文書内で隠蔽工作について発言した人物を一部特定していて、今後、その人物へ各メディアからの取材が殺到するでしょう。

その中には、オバマ元大統領も含まれているのではないかとも言われています。2016年に広島を訪問し、原爆投下について懺悔に近い言葉を発したオバマ元大統領を見た私は、感動して番組の生放送中に嗚咽をもらしました。

しかし、オバマ元大統領は一方で真実を語りながら、アフガニスタンでの軍事作戦失敗には「アメリカ国民は知らない方がいい」という判断を下し、嘘を隠していたことになります。

ヒラリー氏もアフガニスタンでの“偽物”の戦争を追行する立場にありました。オバマ政権下で行われたビンラディン氏殺害作戦の様子を会議室からモニターで見守り、口元を手で覆うヒラリー国務長官(当時)の写真は、みなさんの記憶にも残っているでしょう。

2020年の大統領選挙で民主党の有力候補であるバイデン元副大統領もその場にいました。アフガニスタン戦争の“嘘”をブッシュ政権から受け継いだ嘘のエスタブリッシュメント。

これに対して、「エスタブリッシュメントは嘘つきだ。国民の税金はアフガニスタンで無駄に使われている」と言い続けたトランプ大統領が唯一、真実を語っていたことになります。トランプ大統領は、「アフガニスタン戦争はアメリカにとって何もいいことはない。すぐに全ての米軍は撤退せよ」とも発言していました。

民主党はトランプ大統領の弾劾を求めています。しかし、「かつて政府は嘘の戦争をしていた。あなたもその一員だろう」とトランプ大統領が反論した場合、アメリカの若い軍人たちはトランプ側になびくのではないでしょうか。

証言の音声データも同時公開…日本の世論は“お花畑”化する?

今回のスクープが本当なら、ベトナム戦争の内実が暴露された時よりも大きなニュースです。 安倍首相が目指す憲法改正もこれに巻き添えとなって立ち消えてしまうかもしれません。

「戦争なんて嘘ばかりだ。軍が自己目的的に始めてやめられなくなるだけで、どの紛争に足を突っ込んでも結局、国民が損をする。だから戦争なんてしない」という考えから、日本は中立であるべきで、自衛隊を派遣すべきではないし、米軍は沖縄から撤退せよ、という意見が広がる可能性があります。さらに、中国とは良好な関係を築けるだろうし、日朝の国交回復も実現できるという安易な考えも出てくるかもしれません。

2015年に国会で大紛糾の末に成立した安全保障関連法ですが、与党の強行採決に反対してもみ合う野党の姿は不甲斐なく、リアリズムで改憲してしまえばいいと思った私は、ある番組で「“お花畑”野党の言うことなどに耳を傾ける必要はない。報道しなくていい」とも言いました。

ところが今、その“お花畑”が現実になりつつある。令和2年は「平和元年」というくらいの激震が、これから日本に降りかかってくるでしょう。

内部文書はワシントンポストが3年間、首都ワシントンの地方裁判所に2度訴えを起こして、ようやく公開されました。
文字の一部は黒塗りで隠されていましたが、音声ファイルも同時に公開され、ワシントンポストのホームページでは隠蔽工作を証言する本人の声を聞くことができます。情報はシュレッダーにはかかっていないんです。電子情報はしっかり残っている。

アフガニスタン戦争での嘘によって、日本としては憲法改正が危ぶまれることになりますが、何よりもアフガニスタンに送られようとしているアメリカ軍の若い兵士たちは異を唱えるでしょう。また、軍上層部や証言の中で「あれは無駄な戦争だったと思う」と発言した人物は問い詰められ、「嘘など言っていない」と苦しい言い逃れをしている最中です。

米軍兵士の間に動揺が走る今、さまざまな問題を抱えるトランプ大統領がヒーローになってしまう可能性もある。アメリカではしばらくの間、この大混乱が続くと思われます。

(BSスカパー「水曜日のニュース・ロバートソン」 12/11 OA モーリーの『Twittin’ English』より)