今年5月、痴漢を安全ピンで撃退することの是非を巡り、SNSで議論が活発化する中、文具メーカーのシヤチハタのこんなツイートが話題になった。
「今現在Twitterで話題になっている社会問題の件ですが、早期に対応ができるようにします。ジョークではなく、本気です」
Twitterユーザーの要望を受けて5月22日につぶやかれてから3カ月。
シヤチハタは宣言通り本気で開発を進め、8月27日に、 痴漢を抑止するためのグッズとして、「迷惑行為防止スタンプ」のテスト販売を開始した。
「迷惑行為防止スタンプ」は、ネーム印「キャップレス9」をベースに、太陽光や照明の下では無色透明な特殊インキであるUV発色インキを採用。
ブラックライトを当てると手のひらのマークの印影が浮かび上がる。
携帯用ブラックライトと鞄やポケットなどに取り付けることができるリールコード付きで、値段は2500円(税別)。販売予定数は500個。
8月27日13時に販売が開始されたそうだが、売れ行きはどうなのか?
そして、どんな思いでこのスタンプを作ったのか?シヤチハタ広報に詳しく話を聞いてみた。
発売30分で500個完売!担当者「びっくり!」
――8月27日、13時からテスト販売スタート。売れ行きは?
約30分後に完売しました。
こちらの想像を超えるスピードでびっくりしてます。
――5月にSNS上で痴漢撃退の話題が上がり、ツイッターで「早期に対応ができるようにします。」と宣言。わずか3カ月で販売。スピーディーな対応ですね?
SNS上で、社名を挙げていただき、わが社の持つ技術と既存の部品をうまく活用して、痴漢の抑止力というところで、3カ月で作業を進めました。
新しい技術などがあるわけではないので、この期間で完成できました。
手でこすっても、インキが付着していることはわかる
――開発へのこだわりは?
痴漢の抑止という部分に重点を置いて開発しています。
ボディは注意を意味する黄色。
印面のデザインは手のひらのマークで、行動の停止を意味しています。
――押されたスタンプは、手でこすっても消えない?
手でこすれば、手のひらのマークは消えるかもしれません。
しかし、インキが付着していることはブラックライトを照らせば、わかるかと思います。
ただし、通常のインキと比べ、取りにくいというものでもありません。
一番の目的は「違法行為を許さない」という意思表示、抑止力
――手についたインキが痴漢の証拠になるということも考えられる?
証拠というのは、私どもの範囲を超えています。そういうことではありません。
あくまで、抑止力のためのスタンプです。
本来は、使う機会がないことが望ましいものです。
一番の目的は「違法行為を許さない」という意思表示、抑止力です。
―ー今後、どのような流れで改良品の発売となる?
皆様のご意見をいただきつつ、抑止力として実用性はあるのか?
改良したものを発売すべきか?そうでないのか?検討していきたいと考えています。
有言実行で3か月で商品化した見事なスピード感で即完売したが、今後の発売は未定だという。
今回の取材で担当者が口を酸っぱくして言っていたのが“抑止力”という言葉。
冤罪を心配する声も一部あるものの、「痴漢行為を許さない!」という意思表示を見せるためにスタンプを持つというのも、痴漢抑止の1つの手かもしれない。