将棋界の2大スター…初対局は2014年

将棋界のスター、愛知県瀬戸市の藤井聡太七段(17)が今年7月、竜王戦の決勝トーナメントで豊島将之名人(29)と対局。

実は豊島名人も同じ愛知県の出身(一宮市)で、2人は2014年、藤井七段が小学6年生のころから「対局」していた。

当時からずっと藤井少年にとって高い壁だった豊島名人、将棋界のスター2人の知られざる物語だ。

2014年12月、小学6年生だった藤井聡太少年が盤を挟んでいた相手は、当時24才でトップ棋士の仲間入りをしていた豊島将之七段。

2019年5月、将棋界で最も歴史のある“名人”のタイトルを獲得した。

当時、まだ修行の身だった藤井少年と、異例の手合わせ。実現させたのは師匠の杉本昌隆八段だった。

藤井七段の師匠 杉本八段:
その時も午前中に私と豊島さんが指して、午後から自分の弟子を呼ぶので、ちょっと相手をしてくれないかっていうようなことを豊島さんにお願いした覚えがあります

当時、東海テレビのスタッフに杉本八段から届いたメールには、「豊島君に了解をもらい、藤井聡太と一局指してもらえることになりました。将来、間違いなくタイトル戦で実現するであろう“豊島×藤井戦”の初対局です」と書かれていた。

杉本八段:
当時、藤井七段は6年生でしたから、当然豊島さんにかなうわけはないと思いましたけど、必ずこの2人の対局というのは大きな舞台で実現すると思っていましたし、当時から将来の名人候補という呼び声が高かった豊島さんに藤井が教えてもらうことで、何か得るものがあるのではないかなという思いもありました

プロ棋士の高い壁…もちろん、豊島七段の貫録勝ちだった。

当時の豊島名人:
小学六年生でこれだけ指せたら、自分の時と比べても圧倒的に強い。普通にやってれば強くなる、どんどん強くなると思います

当時の藤井七段:
せっかく豊島先生に指していただくので、自分の力を出し切りたいと思いました

「藤井フィーバー」の中、2度目の対局

2人が次に対局したのはその3年後、2017年の5月。愛知県岡崎市で開かれた将棋のイベントだった。当時、藤井四段はデビューからの連勝記録を更新中、世は「藤井フィーバー」。

司会:
ここだけの話、負ける気がしないのでは?

藤井:
いやいやいや(笑)

非公式戦だったが、対局はこのときも豊島八段が勝利。藤井四段の前に再び壁として立ちふさがった。

当時の藤井七段(四段時):
きょうはA級棋士の豊島八段との対局ということで、もちろん気合いを入れて臨んだんですけど、中盤からこちらの攻めをしっかり見切られてしまって。やはりA級棋士の力というのを感じました

当時の豊島名人(八段時):
彼はすごい強くなっているので(対局を)楽しみにしていました。でもやっぱり取材の方も多く来られていたので、普段よりも緊張感があって公式戦とあまり変わらないような感じでした

--今後は公式戦でもあたる可能性がありますが
当時の豊島名人:
そうですね、でもやっぱり指すのは楽しみなので、自分も頑張りたいと思っています

初めての公式戦 そして竜王戦決勝トーナメントで激戦

そして2017年8月、公式戦で初めて対局。ここで豊島八段は、同じ指し手を繰り返す“千日手”に誘導。

杉本八段:
藤井七段は、ちょっと気が付かない筋で千日手に持ち込まれてしまったんですね。豊島さんがもう徹底的に、序盤から藤井七段を負かしにきてる、突き放しにきているなという印象を受けましたね

結局、豊島八段の作戦にはまり、公式戦での勝利もならなかった。

当時の藤井七段(四段時):
やはり実力の差というか、A級の壁の高さというのを改めて感じました

豊島将之という壁…。今年5月の対局でも藤井七段は敗れ、2連敗。

そして7月23日、大阪で行われた竜王戦の決勝トーナメントで藤井七段と豊島名人が再び相見えた。

竜王戦の決勝トーナメントは、各組の優勝者など11人が竜王タイトル挑戦を目指して戦う。藤井七段が挑戦者になるには、豊島名人を含むトップ棋士3人を倒さなければならない。

持ち時間は一人5時間、将棋界最高峰“竜王”のタイトル獲得へ。次のステージに駒を進めるのは豊島か、藤井か…。序盤、藤井七段がわずかなリードを保つ。

豊島名人は今年4月、藤井七段について、こんなことを語っていた。

豊島名人:
彼(藤井七段)が、5年後か10年後か分からないですけど、一番強くなるであろう時に自分もなんとか戦えるようにしたい。自分もあまり長く活躍したいという気持ちは少なかったんですけど、彼がいるのでやっぱり戦ってみたい

対局は、中盤のねじりあいで徐々に差が縮まり、終盤になると一手指すごとに攻守が入れ替わる。

藤井七段、豊島名人、どちらが勝ってもおかしくない展開。そして開始から12時間半、注目の対決を制したのは豊島名人。対・藤井戦3連勝、しかし豊島名人に笑顔はなかった。

豊島名人:
序盤でやっぱりゆったりと指されて、それでかなり苦労の多い将棋だったので、こちらが失敗したのかもしれませんが、じっくり指されてちょっと困ってしまった感じでしたかね

藤井七段:
中盤動いていったんですけど、それに的確に対応されて。読みの精度で差が出てしまったかなという気もするので、そのあたりは課題かなと思います

杉本八段:
土壇場で藤井七段にちょっと弱気な手が出てしまったんですね。いつもでしたら、ギリギリをしのいで攻めるところを、ちょっと守りの手を指してしまって、それが結果的に敗因になってしまったんですね。藤井七段はいつタイトル取るかですけども、必ずいつか取ります。ですから焦らずに力を付けてほしいなと思います

愛知が生んだ二人の天才・藤井聡太と豊島将之…。彼らの歴史は始まったばかりだ。

(東海テレビ)

【関連記事:日本各地の気になる話題はコチラ】