石灰石が地球を救う

プラスチックに代わって紙や木を使うのは当たり前。
地球にもっとやさしい素材は、“石”だった。

TBM・山崎敦義社長
TBM・山崎敦義社長
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TBM・山崎敦義社長:
これがLIMEX Bagなんですけども、石灰石からできています。エコノミーとエコロジーを両立させるというのは、この素材開発で一番、コンセプトにおいてやっています

製造業のスタートアップ、TBM。
石灰石を利用した新素材「LIMEX」を開発し、すでに大手牛丼チェーンなどのメニュー表や、イベントでの食品容器で使われているほか、G20(20カ国・地域)環境相会合でも、プラスチックや紙の新たな代替品として展示された。

G20(20カ国・地域)環境相会合
G20(20カ国・地域)環境相会合

注目は、その原料。

TBM・山崎敦義社長:
石灰石は、地球上にほぼ無尽蔵に豊富で安価。日本でも数少ない、自給できる鉱物資源の一つ

1トンの紙を生産するには、通常約20本の木と、約100トンの水を必要とする。
しかし、LIMEXで作られた新たな紙に必要なのは、石灰石と少量の合成樹脂のみで、水と木を必要としない。

さらに、こんな機能性も持ち合わせているという。

TBM・山崎敦義社長:
LIMEXの再利用・リサイクルは僕らが一番力を入れようとしているところで、LIMEXは回収して、今、アップサイクルというのをどんどん世界中で実現していこうとしています

そもそも“アップサイクル”とは、もともと使っていたものを一度回収し、一つ手を加えて、価値を高めて再資源化すること。

価値を高めて再資源化する「アップサイクル」

このLIMEXでは、使用しなくなった名刺などの紙状の製品から、スマホカバーなどの成形品にアップサイクルしている。

スマホカバーなどの成形品にアップサイクル
スマホカバーなどの成形品にアップサイクル

TBM・山崎敦義社長:
水資源の乏しい国で、LIMEXの技術を使ってアップサイクルしていただくということをわれわれはものすごいバリューだと思い、素材開発を進めている。技術・価値観・仕組み作りの3つは、日本の最大の強みだと思う

サステナビリティ革命で世界のトッププレーヤーを目指す

日本の技術が生んだ新たな資源に、海外からも500社以上の問い合わせが殺到している。

TBM・山崎敦義社長:
世界でどんなことが起きているかとか、脱プラスチック、マイクロプラスチックの問題もそうですし、水資源の枯渇の問題もそうですし、僕らは今後は、サステナビリティにフォーカスした“サステナビリティ革命”が絶対に世界で起きるし、起こさなきゃ駄目。日本の技術や価値観、仕組みを、サステナビリティ革命というのが世界で起きていく中で、トッププレーヤーになっていくというのが、会社の一番の大きな夢なんです

アップサイクルが広まるポイント

三田友梨佳キャスター:
アップサイクルに関するプロジェクトに森田さんも関わっている?

経営コンサルタント・森田章氏:
はい。アップサイクルを広めるポイントは2つ。
みんなが得をする」ことと、「消費者が選びやすい」ということ。
廃棄せずに価値ある素材として再生して消費者が利用するサイクルの中で、誰かが得をするが、誰かは損をするというのではなかなか進まない。
例えば消費者が分別ルールを守れば国や自治体からポイントが返ってくるとか、再生した素材を使うメーカーに対して国が補助金を出していくなどの取り組みが必要になる。

森田章氏
森田章氏

三田友梨佳キャスター:
アップサイクル製品は環境に優しいだけでなく、例えば石から作るストーンペーパーなどは広く普及しているが、石灰石から作る紙製品はストーンペーパーよりも遙かに軽かったり、安く作れたりと様々な利点があるといいます。
そこで、2つ目の「消費者が選びやすい」という点ではどんな工夫が考えられますか?

森田章氏:
環境に優しいというだけでは、企業が単体でマーケティングしても限界がある。
一定の基準を満たしているものには国が認証してわかりやすいマークを付けるなど消費者が選択しやすい仕組みを作る必要がある。

三田友梨佳キャスター :
社会全体でアップサイクルを進めて行かれたらいいですね。
世界的に高まる脱プラスチックの動きは、G20でも大きなテーマになります。

(「Live News α」6月26日放送分)