日常に紛れ込んだミステリー?
普段見慣れた光景だからこそ、見落としてしまっているものは無いだろうか?
今、とあるTwitterユーザーが町中で見つけた時計から「狂気が滲み出ている…」として、ちょっとした話題になっているのだ。
さっそく、その時計があるという千葉県・船橋市にある西船橋駅に行ってみると…
ビルにかけられた時計の針が指しているのは、「5」と「13」!?
よくよく見てみると、文字盤の「3」の向かい側には「9」ではなく「10」が配置されているなど、本来の位置から少しずつズレた配置になっている。
さらに、じっと見ていても針は全く動く気配がなく、「5」と「13」の文字だけが色あせてしまっているのもミステリー感をかき立てている……
写真が投稿されるやいなや、「ホーンテッドマンション感ある」「パラレルワールドに来てしまった…」と、その非日常感にゾクゾクするユーザーが相次いだこの時計。
さらには、駅のホームから見える位置にあることから「時間確かめようと思って見たらびっくりした」という体験談も寄せられた。
針が動かないのは壊れてしまっているのだろうか、それとも何かのメッセージが隠されているのか。
想像力をかき立てるこの謎の時計だが、実は投稿からわずか3分で「これは早稲田予備校のマークです」という有力情報が寄せられていた。
確かに、時計のかかっているビルには大学受験予備校「早稲田予備校」の看板が見えているが……1分1秒の勝負に挑む受験生が通う予備校のマークが時間の読めない時計とは、どういうことなのだろうか?
さっそく、早稲田予備校の広報担当者にお話を聞いてみた。
不思議な文字盤の「3つの説」
――ズバリ、この時計は一体何?
この時計は「13時時計」というものです。
13と5を指している「13時時計」の意味は、たとえばこのような説があります。
(1)小中高の在学年数の6+3+3、それに浪人時代の1年を加えて13年。この13年で合(5)格する、という意味。
(2)「いざ(13)、合(5)格!」の語呂合わせ。
(3)1日を12時間×2=24時間ではなく、13時間×2=26時間となるほどに有効活用して合(5)格してほしい、という意味。
しかし、これらの3つのどれが正解、というものではありません。
予備校とは学びの場ですので、生徒・学生の方に色々なことに興味を持ち、考えてもらうことが大事だと考えております。
早稲田予備校によると、この“謎の時計”は「13時時計」という、早稲田予備校のシンボル的な存在。
「5」と「13」を指し続ける時計に込められている意味には、主に3つの説があるという。
一つ目は、現在は現役高校生も学んでいるが、開校当初は浪人生向けだったことから「小中高の12年+浪人分の1年で合格する」というもの。
二つ目は、「いざ合格」の語呂合わせ。
三つ目は「時計が1周する12時間にプラス1時間となるほど時間を有効活用して合格する」というもの。
しかし、実は「これが正解!」という“オリジナル”のものがあるかどうかはわからないとのこと。
この3つの説も予備校生たちの間で“自然発生”したものである可能性もあるといい、これまでに生徒たちが「一体これは何なのだろう」と考えた結果の積み重ねであるようだ。
最初から「13」の文字が色あせていたわけではない
この「13時時計」だが、現在設置されているのは西船橋校と高田馬場に校舎のある東京本校の2校。
西船橋校は平成3年の開校時から、 東京本校は少なくとも昭和59年の入学案内パンフレットにこの「13時時計」の存在が確認できるといい、長い歴史を持つシンボルなのだ。
実際に見に行った西船橋校の13時時計は、「5」と「13」の文字が灰色にかすれていたが、パンフレットの写真を見てみるとそのふたつの数字は本来鮮やかな赤色に塗られており、時間とともに色あせてしまった様子が見て取れる。
こんなところからも歴史の長さを感じられるだろう。
早稲田予備校に通っていたという人からは、懐かしむ声と共に「怪しいモノではありませんので!」というフォローもされていたシンボルマーク。
毎年1~2件の問い合わせがあるというが、現在問い合わせが増えているとのことで、反響に驚いている、とコメントしてくれた。
「なぜ13時の時計なのだろうか?」
受験生なら一度は悩んだことがあると思いますが、その答えは、早稲田予備校で一年間頑張ることによって解けてきます。そして、その時、キミは少し大人になっていることでしょう。(早稲田予備校パンフレットより)
初めて見た人は「ミステリー?」と思うに違いないこの「13時時計」。
その正体は、自分で考える力を育ててくれるなんとも賢い時計だった。