警報機と遮断機のない「第4種踏切」です。長野県大町市で中学生が死亡した事故を受け、県は、県内全ての第4種踏切を廃止または改修する方針を示していて、10月30日、107カ所の一覧を公表しました。
10月4日に大町市の第4種踏切で中学生が列車にはねられ死亡した事故。
国の運輸安全委員会が事故原因などを調査しています。
阿部知事(10月14日):
「全ての第4種踏切道について、原則として、廃止または第1種化の方向で、進めていきたい」
事故を受け、県は、県内全ての第4種踏切で廃止または改修を進める方針を示しました。
取り組みの第一弾として30日、県内107カ所の第4種踏切の一覧をホームページに公表しました。
事業者別では、長野電鉄が33カ所、JR東日本が32カ所、上田電鉄が19カ所などとなっています。
今後、利用実態を調査した上で、安全対策の緊急度や地元との協議の状況、廃止の見通しなども順次公表する方針です。
「第4種踏切」を巡っては多くの鉄道会社や自治体が廃止や改修の方針を示していますが、住民の同意が得られないことや費用面の問題などから進んでいないのが現状です。どうすれば事態の解消に進むのでしょうか。
JR飯田線が南北に通る飯田市。市内には3つの「第4種踏切」があります。
飯田市 建設総務課・竹村公彦課長:
「方向性としては『廃止』」
市内の第4種踏切では、2014年にトラクターと列車が衝突する死亡事故があり、2025年の大みそかにも歩行者の男性が列車と衝突して死亡する事故がありました。
飯田市とJR東海はともに「廃止」を目指していて、市は地域住民への説明会も開いてきましたが、廃止には至っていません。
存続を望む根強い声があるからです。
飯田市 建設総務課・竹村公彦課長:
「廃止ということになりますと、地区の方からは代わりの道路を用意してくれという要望が上がってくると考えられる。3カ所とも地形的に線路をまたぐような道路を造るのは難しい」
地域住民は―。
地域住民:
「しょっちゅう通る。なくては困る踏切。隣との交流する場合に近道だから、慣れ親しんだ踏切なので、どうしても足が行ってしまう。通らないとかなり遠回りになる」
「たまにだけど、年に1、2度(渡る)。遮断機をつければいいけど、そうでなかったら閉めた方がいいような気がする。危ない」
市の担当者は、地道に危険性を訴えていくしかないとしています。
飯田市 建設総務課・竹村公彦課長:
「(第4種踏切は)日々、使っている方がいる道路ということなので、ご理解を得るのはすぐにはいかないというふうに思っているので、地道にご意見を聞いていく。そういったことを進めていかないといけない」
長野駅と山ノ内町の湯田中駅を結ぶ長野電鉄には、33カ所の「第4種踏切」があります。長野電鉄も「できる限り速やかに全て廃止したい」との立場です。
(記者リポート)
「この道路の先には第4種踏切がありましたが、現在は踏切が閉鎖されています」
小布施町の旧穴堀踏切。2024年4月に列車と軽トラックが衝突する事故がありました。
近くの住民は、事故の以前から、危険と感じていたと言います。
近所の住民:
「カーブになっているので、(電車が)一瞬で現れる。だから音で判断していると危ない」
事故後に小布施町が行った住民アンケートでは踏切の廃止を求める意見が多かったということです。
その後、自治会の同意も得られたことから、長野電鉄は2025年3月に踏切を廃止しました。
ただ、このように廃止できた踏切は、ここ2年で3カ所にとどまっています。
長野電鉄 技術課・竹腰信一課長:
「数百メートルでも、1種(踏切)の方に回ってくださいと言うと、遠回りになってしまう。面倒をおかけすることになるというところが、ご理解いただけるかが難しい」
廃止に変わる選択肢として警報機や遮断機のある第1種踏切への改修がありますが、費用や人手の面からも難しいと話します。
長野電鉄 技術課・竹腰信一課長:
「(踏切のメンテナンスに)細心の注意を払っているのですが、踏切の数が増えれば、メンテナンスする人材の確保も必要になってくる。人材を確保していくことも大変、厳しいのが現実」
進まない第4種踏切の廃止や改修。そうした中、全国で導入が広がっているのが「簡易ゲート」です。
(記者リポート)
「こちらの踏切も警報機の設置されていない第4種踏切なのですが、手で持ち上げる遮断機が設置されているため、踏切の手前で立ち止まって安全が確認できるようになっています」
歩行者が踏切の前で立ち止まるようにして、注意喚起する狙いがあり、第1種踏切より改修費用も抑えることができます。
設置を進めているJR西日本の取り組みを参考にして、長野電鉄も2026年3月に、小島の三つ家踏切に導入しました。
近所の利用者は―。
近所の住民:
「(ゲートだけでも)できていれば、もう一度確認する気持ちになる。子どもたちも、高齢者になっても理解できると思う」
近所の男性:
「自転車があると(バーを)上に上げないと大変ですよね。通行止め(踏切を廃止)にしてしまうというのは、ちょっといきすぎかなという気はする」
長野電鉄は、簡易ゲートはあくまで試験的な導入で、今後、増やすかは未定としていて、あくまで廃止を前提に進めていきたいとしています。
長野電鉄 技術課・竹腰信一課長:
「廃止というのは鉄道事業者だけで廃止しますで終わるものではないので、県の方からも自治体関係者や道路関係者に働きかけていただいて、一緒に廃止ということで進めていただければありがたい」
