議員の海外視察について特集です。
私たちの生活に関わる行政課題の解決や調査・研究のために行われる海外視察ですが、他県では最近、高額な視察費用などが問題視されています。
税金を使い議員たちはどこへ行きどんな成果をあげているのか。県議会議員に話を聞くとともに、海外視察のあり方を考えます。
福岡県議会 蔵内勇夫前議長
「海外旅行は続けます、その考えを一切変えることはございません。あっ“海外旅行”じゃありません、“海外活動”です」
今年6月の記者会見で海外視察を海外旅行と言い間違えた、福岡県議会の蔵内勇夫前議長。発端は、福岡県議が行った3年間で総額2億6000万円あまりに上る、海外視察の費用でした。
一泊16万9000円のフランス訪問や、一泊13万3000円のハワイ訪問など、高額と言える視察費が問題視され、現在、ルールの見直しが議論されています。
福岡県議会の問題を受け、厳しい目が向けられる議員の海外視察。その費用は県民などが納める「税金」でまかなわれていますが、そもそもどのようなルールで行われているのでしょうか。
県議会事務局政務調査課政務調査班 畠山幸班長
「議員の方が行う海外視察は2種類あり、1つ目は県の事業や、議案の審査のために議会が議決をして、議員派遣という形で海外に行くもの。2つ目は会派や議員に政務活動費が交付され、議員の調査・研究のために行われる海外視察がある」
議員が行う海外視察のルールはそれぞれ次のようになっていて、議会が派遣する場合は費用上限100万円の範囲内で各議員が任期中に2回まで行うことができます。
政務活動費で行う視察に回数の上限はなく、宿泊費も海外の場合4万円などと定められているものの、現地の事情に応じて上乗せが可能で、会派や議員個人に交付される政務活動費内でやりくりすることになります。
いずれの視察も事前に調査目的や日程を記載した申出書の提出、事後には報告書の提出が求められます。
昨年度は議会派遣分と政務活動費分合わせて4つの会派が9つの国と地域を訪問し、費用の合計は1508万円となり、2024年度は1951万円でした。
宮城県議会の佐々木議長は、観光振興や外国人材の受け入れなど、海外との関わりが多岐に渡るとして、海外視察の必要性を認めつつ、議員として必要なことを次のように話します。
県議会 佐々木幸士議長
「海外視察は県民の皆さんの貴重な税金を使うものなので、その目的や費用、成果に厳しい目が向けられているので、『こういったものが実は前に進んでいる』あるいは『将来的に種をまいている』、そういった県民への説明責任を議員として果たしていくことは重要だと思っている」
一方で海外視察のルールや実績について、県民は。
大学生
「(費用は)少し高いと思う。ただ視察に行くなら税金集めて行ってるのでちょっと抑えてもいいと思う」
40代女性
「なぜ行く必要あるか丁寧に説明してもらい、還元してもらえているという実感があれば納得できると思う」
女性
「2回で合計100万ですか?今、海外旅行が(費用)とても上がっているので、1回で無くなってしまいそうな感じする」
70代男性
「やっぱりいろんな所に出かけてみたり聞いたりして、気付きがあるので否定はしない」
今回、街で聞かれたのは費用や視察そのものへの批判よりも、「実感できる成果」を求める声。
その成果について、去年4月に台湾・香港を訪問した自民党会派の菊地県議は、県内で活発に行われている海外の教育関係者や学生の交流などの背景に、議員視察があると強調します。
自民党・県民会議 菊地恵一議員
「台湾の学校側が宮城県での学校交流に何を望んでいるのか、普通の交流に加えて震災以降、震災の体験を学ぶ防災教育を強く求めていることも認識できたし、香港ですと県産品の売れ方だとか、あるいは逆にインバウンドで来てもらう時の交通の不便さなど、担当者から具体的な話を聞くことができました」
Q.行かずとも知れることもあると思うが、行ったことによって分かったことは?
「宮城に対して何を願っているのか、何を子供たちに勉強させたいと願っているのか、そういったことも含めて、心の中のより深いところの気持ちというのは、行ってみないと分からなかったこと」
菊地議員によると、台湾・香港での視察にかかった費用は、通訳や航空券などを含め7日間で一人70万円ほどだったということです。
自民党・県民会議 菊地恵一議員
Q.台湾、香港、それぞれどんな感じの宿泊場所だった?
「中の・・・上レベル。とてもじゃないけど、超高級どころか高級にも届きません。もちろん誤解を招かないような内容にはしたいですけれど、(海外視察は)必要なことだと思う」
場合によっては、税金が恣意的に利用されかねない海外視察。視察の必要性を県民が理解し、成果が広く還元されるためにも、専門家は「成果を検証する仕組み」が必要だと指摘します。
拓殖大学 河村和徳教授
「成果というものは、あくまでも議員が頑張っているから評価されるんじゃなくて、頑張っていることを踏まえて県民が評価をするということ。多様なところから情報発信されることによって行く意義というものが可視化されるように仕掛けていかなきゃいけない」
