「わずか7分」で土石流到達、警報は30分後
ICIMODの調査によって、災害時の詳細なタイムラインも判明した。
午前8時37分ごろ、山頂付近で崩落が発生。濁流はわずか7分で国境付近に到達した。
一方、住民に緊急警戒SMSが発信されたのは午前9時15分ごろ。国境付近が被災してから約30分後だった。
従来の雨量や水位を監視するシステムでは、突然の山体崩壊には対応できなかった。
さらに今回の災害では、ネパール側の山で発生した崩落が国境沿いの川に流れ込み、中国・チベット側にも被害をもたらした。濁流はさらにネパールの下流域へと流れ、国境を越えて被害が拡大した。
ICIMOD タパ博士:
ヒマラヤの変化を監視していましたが、これほどの大災害は予測できませんでした。
国境を越えた災害に備えるため、中国やネパール、インドなど各国の協力が必要です。
崩れる48日前に動いていた山…見逃された「40cmの異変」
一方、今後の被害を防ぐ重要な手がかりも見つかった。
崩落前の7月7日から8月24日までの48日間に、崩落した斜面では衛星レーダーが最大約40cmの変位を記録していた。山は崩れる前から、すでに動いていたのだ。
このデータだけで崩落の日時を予測できたわけではない。しかし、危険な斜面を事前に特定し、重点的な監視につなげられる可能性がある。
タパ博士は、日本のレーダー観測衛星も、雲に覆われた山岳地帯を夜間に観測できる技術として期待できると指摘する。
ICIMOD タパ博士:
今回の災害を受け、多くの科学者が危機感を持っています。
変化を監視しながら、より強固な早期警戒システムを構築する必要があります。
災害後、ネパール当局は国境付近に新たな監視カメラを設置。川の状況を24時間確認し、洪水の早期警戒につなげる取り組みを始めた。
ICIMODも中国側の研究機関と共同調査を進め、ほかに崩落の危険がある斜面の特定に取り組んでいる。
崩れてから濁流を捉えるだけでなく、崩れる前の山の異変を察知できるか。
ヒマラヤでは、災害の教訓を次の警戒につなげる取り組みが進められている。

