愛知県一宮市で、『ポケモンGO』をしながら運転していた男のトラックに、小学生がひかれて死亡した事故から10年となりました。今もなくならない「ながら運転」の事故に、父親が思いを語りました。
■生きていればもうすぐ20歳…亡き息子を思い続ける父
10年前に撮影されたホームビデオ。楽しそうな表情を見せるのは、当時9歳の則竹敬太くんです。生きていれば、2026年11月を迎えるはずでした。
父・則竹崇智さん:
「もう生きていたよりも、亡くなってしまってからの方が、月日が長いんだなと思いながら、『父さん、今日も一日頑張ってくるから、見守っていてね』という思いで手を合わせました」
父の崇智さんは、自宅から歩いて3分ほどのこの場所で、毎朝手を合わせます。

事故が起きたのは10年前の2016年10月26日。小学4年生だった敬太君は、学校からの下校途中、横断歩道を渡っていたところをトラックにひかれて命を落としました。
原因は、運転手の「ながら運転」。位置情報を使ったスマホゲーム『ポケモンGO』で遊びながら、ハンドルを握っていました。

父・則竹崇智さん(2016年):
「『ポケモンGOかよ』というのが正直な気持ちです。本当に…誕生日ももうあとちょっとで10歳になって、楽しみにしていたのに、楽しいことが待っていたのに」
運転とは関係のない“ゲームへの操作”が死亡事故に。過失運転致死の罪に問われたドライバーに言い渡された判決は、禁錮3年でした。
父・則竹崇智さん:
「男の子が2人生まれたから、長男が20歳になって敬太も20歳になって、男3人で一杯やれるなって、敬太が生まれた時に私が思っていたささやかな幸せ。男同士、杯が酌み交わせるなと思ったんですが、実現できなかったのは非常に残念です」
■「ながら運転」厳罰化も…繰り返される悲劇
同じ悲しみを経験する人を一人でも減らしたい。崇智さんは、事故の悲惨さや命の尊さを伝える講演を続けています。
父・則竹崇智さん:
「ハッと気付いた時にはトラックは目の前。ちょうどボンネットの真ん中に、この水筒がドンッとぶつかります。数メートル飛ばされます。後方で見ていた長男が『敬太!バカバカバカバカ死ぬな死ぬな』って靴を拾い上げて、敬太のところに寄って行ったそうです」

全国の学校や企業など、この10年で登壇した回数は400回近くになりました。崇智さんの訴えもあり、事故から3年後が経った2019年には「ながら運転」が厳罰化されました。
しかし、それでも悲劇が繰り返されてしまいます。
今年3月、亀山市の新名神高速のトンネル内で大型トラックが渋滞の列に追突し、6人が死亡しました。

裁判で、トラックを運転していた女は事故直前、「TikTokで料理を特集するショート動画を見ていて、およそ13秒間脇見をしていた」などと指摘されています。
言い渡された判決は、過失運転致死罪で科すことのできる上限の拘禁刑7年でした。
父・則竹崇智さん:
「一番最初に出た言葉は『またか』という残念な気持ちでした。現行法でできる上限の7年。これが車じゃなくて刃物だったら、確実に極刑に近いのだろうなと思うんですが、過失運転であれば7年が上限ですから、それ以上出せないから7年というのは当たり前だろうなと思います」
警察によりますと、ながら運転による交通死亡・重傷事故は去年148件と、過去最多となりました。

父・則竹崇智さん:
「残念ですけど、人は良くも悪くも忘れていく生き物なんです。覚えている、啓発活動がたくさんある時は少し減る。でも、少しずつまた増えてきている。この10年で変わったのは、ほぼスマホだけ。スマホ依存が非常に増えてきたと感じます。“運転中に操作しない”、これはルールです。それが守れるのであれば使えばいいし。モラルとマナーだけに頼っていては、こういった重大な事故・事件は防げないと思います」

