今年6月、北陸自動車道で酒を飲んでトラックを運転し、2人を死亡させた男に拘禁刑6年の判決が言い渡されました。
この判決に遺族は「現状の法律・司法制度の理不尽さを痛感した。私たちの思いや声が置き去りにされた感覚」とのコメントを出しました。
判決などによりますと、福島県の運送会社・元社員、根本宏一被告(56)は、魚津市の北陸道を大型トラックで走行中に工事車両に衝突するなどして、作業中の男性2人を死亡させました。
根本被告は缶チューハイ8本を飲んで運転し、酒気帯び運転と過失運転致死の罪に問われ、今月20日の公判で富山地方裁判所は拘禁刑6年の判決を言い渡しました。
根本被告の弁護人は控訴するかについて明らかにしていません。
これに、事故で亡くなった立山町の土肥純樹さん(当時36)の遺族が、23日にコメントを出しました。
<コメント全文>
危険運転致死罪が適用されず、過失運転致死罪の上限いっぱいの刑期にもならず、控訴すらできないかもしれないなど、今回の裁判で痛感したのは、遺族の声を一切すくい上げることができない現状の法律・司法制度の理不尽さでした。大切な人を奪われた私たちの思いや声が反映されず、置き去りにされた感覚です。
事故直前の記憶がないこと、ブレーキを全く踏めていないこと、多少のふらつきがあったことなど、私たち遺族からすればどう見ても危険運転の範疇と思える内容でした。
しかし、事故直前まで車線を逸れず走れていた・ウインカーを出して車線変更をしていたといった理由で危険運転ではなく過失という判断にとどまりました。現行の法律の中で関係者の方々が最大限動いてくださった結果だということは受け止めたいのですが、それでも、一生懸命働いていた何の落ち度もない2人の尊い命を奪っておいてたった 6年という刑期が相応の年数だとはどうしても思えません。
裁判中の被告人の態度にも、強い怒りを感じました。車内で飲んだ空き缶を窓から外へ投げ捨てていたという取調べでの証言を聞き、被告人の身勝手な人間性を垣間見ることになりました。また、保釈中にもお酒を飲んでいたことなど、結局は自分の欲のままに生きている人間であり、今後も変わることはないのだろうと感じています。
法廷で口にされたのは形式的な謝罪の言葉ばかりで、心からの反省や罪の重さと向き合う気持ちは一切感じられませんでした。事故を起こしてしまったことへの後悔の素振りは見せつつも、被告人の頭にあるのはこれからの自分の人生や自分の家族のことだけだと痛感させられました。
裁判中、被告人は私たち遺族に対し、直接的な謝罪の言葉を一度もかけることはありませんでした。その上、遺族の方を見ることも、一礼をすることすらないまま裁判は終わりました。
今回の事故を通じて、過失運転と危険運転の違いや法律の壁を深く知ることになりました。だからこそ、飲酒運転やながら運転のように、「危険性を認識しながら平然とハンドルを握る」身勝手な運転により人を巻き込む事故に対しては、もっと厳罰化されるべきだと強く感じています。
先日、危険運転致死傷罪及び道路交通法が改正されました。危険運転致死罪の適用要件は変わりましたが、過失運転致死罪及び危険運転致死罪の刑の厳罰化も必要ではないかと思います。これ以上、私たちのような思いをする被害者やご遺族が出ないことを心から切望します。
